プロローグ
どうも天王寺と言います。初投稿です。よろしくお願いします。
ザアー。
そう激しく雨が降り注ぐ。雨に打たれながら私はポツリと独り言のような、それにしては大きいような声で言った。
「誰かいないの!?」
最悪ね。せっかくの休日で、本能寺跡に聖地巡礼をしに来たというのに。途中でみんなと離れて、しかも雨が降ってくるなんて。
「ふふ。あの乙女ゲームの最初のシーンみたい。まあ、実際に起こるわけはないんだけど」
私はゲームの冒頭のシーンを思い出して微笑んでから周りを見渡した。だが、建物が全く見つからない。何でだ。
そう考えていると誰かが走ってきた。この人も建物を探しているのかな?
そう考えているとその人影が近づいてきた。
高校3年生くらいの男の子だ。大地のようなこげ茶色の髪の毛に、少し白く、整ったような顔立ちをし、すらっとして服のセンスも良かった。
かっ、かっこ良っ!
私が少し熱のこもった目でその男の子をジッと見つめていたら、男の子は少し身をかがませ、手を私に差し出した。
「良かった。やっぱりいた。これでもう大丈夫だからね。寒かったでしょ」
外見だけでなく中身もイケメンだ。完璧。
「あっ、ありがとうございます」
そう言って、男の子の手を取ろうとすると、ドッカーン!とものすごく大きな音が大地に響いた。
私は上を見て、雷の音だと言う事が分かった。近くに落ちたのだろうか。
何が起こったのか把握し、顔の位置を戻したら少しびっくりするような事が起こっていた。いや、少しではないかもしれない。
何故こうなったのかは全く理解ができないが、男の子と私の足元に、金色の光っている魔法陣らしきものがあった。
「な、何これ」
私は男の子の方をチラッと見ると、言いたいことが分かったらしく顔を横へとふった。
「本当にこれは一体」
男の子の声が聞こえた瞬間、魔法陣みたいなものは、さっきも光っていたがもっと光を発し、私は目をギュッと閉じた。
「氷室知花、神宮寺葵。両名確認。タイムスリップをします。行先は戦国時代」
そう機械音みたいな声がすると、隣りの葵くん?は消えた。
「到着場所は武田領」
私の周りがキラキラと光っていった。私はまたもや目をつむった。
「貴方に力を授けましょう」
現代ですね。これから先は現代出てこない。と思う。出てくるかもしれないし出てこないかもしれない。葵くんはしばらく出てきません。でもいつかは出てくるので楽しみにしてくれたら嬉しいです。