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Arousal of NPC‘s  作者: ネコのうた
Chapter 1/最初の国
8/125

№8 横柄な輩・前編

▽▼▽▼

話しは少し前に遡る――。

“フルダイブMMRORPG”たる[|Wonder Worldワンダーワールド]が、オンライン配信を開始して間もない頃だ。

AM09:00を回り、帝都の“中央広場”から、プレイヤー達が、あちらこちらに[テレポート]していくなか、

「絶対に認めねぇ!」

「リーダーはオレ様に決まってんだろうが!!」

といった具合に、わめき散らす者がいた。

場所は、広場の中心より北東あたりのようだ。


荒れているのは〝ボサボサ赤髪〟の[男性戦士]である。

身長180㎝ぐらいのソイツは、30代前半といった感じだった。


「いや、だから、女神さまが〝最も相応しいのはザイラだ〟って…。」

背丈155㎝あたりで〝サラサラ茶髪ショート〟の少年が、ビビりながら返す。

痩せ型の本人は【白魔術士】らしく、年齢は10代の半ばみたいだ。


「けどよー、そのとおりにしなくてもいいんだろ?!」

「女神のヤツが言うには!?」

「だったら、このゾース様こそが、“Team(チーム) Z(ゼット)”を率いても問題ねぇだろうがよ!」

「寧ろ、最も相応しいんじゃねぇか?!」

「あぁッ!? コラぁあ!!」

ヒートアップする【戦士】に、

「だったら、アンタと、ザイラで、ひと勝負したら?」

「闘技場で。」

「それで〝文句なし〟にすれば??」

こう提案したのは[女性武闘家]であった。


彼女は、身長170㎝くらいで、細マッチョである。

セミロングの金髪を“三つ編み”にしている本人は、20代半ばといった印象だ。


「あぁー、悪くねぇな。」

納得した様子のゾースが、[横長の超薄型画面]を操作して、

「“果たし合い”に応じろ!」

「ザイラ!!」

相手を睨みつける。

軽く〝ふぅー〟と息を吐いて、自分の“スクリーン”を開いた[男性剣士]は、

「いいだろう!」

「受けて立つ!!」

毅然とした態度で[許可]をタッチした。

それによって、二人が“コロッセウム”へと一瞬で転送されたのである。

「私らも行くよ、ゼシュー。」

「見届けに。」

武闘家に促され、

「う、うん。」

「そうだね、ジリ―。」

焦りながら応じる白魔術士だった。


いささか南に離れた位置では、

「えぇ~?」

「私には無理だよぉー。」

「クーガこそがリーダーになるべきなんじゃなぁい??」

「だってぇ、“女神様の愛子(まなご)”なんだしぃ~。」

〝金髪ロングあざとかわいい系〟の[女性アーチャー]が述べたのである。

これに、

「いやいやぁー。」

「その女神さまが〝キエラが一番いい〟って仰られているんだから、そうしなよぉ~。」

〝茶髪ショート〟たる[男性ガンナー]が伝えた。

どちらも10代後半であろう。

クーガが、

「皆も、それでいいよね?」

ニコニコしつつ仲間に確認したところ、

「まぁ、儂らは、どっちでも構わんよ。」

「お前さんがたの好きにするがええ。」

長めの白髭(しろひげ)といった70歳ぐらいの[男性黒魔術士]が微笑んだのであった……。



帝都の“北西地区”に設けられている[闘技場]は、四階建てのようだ。

試合を行う場は“砂地”になっており、[ゾース]と[ザイラ]が対峙している。

観戦席には、彼らの仲間である10人が[テレポート]してきた。


武器を構えている二人の眼前には、直径50㎝で極薄の“サークル”が出現している。

その“円”のなかで、〝5〟〝4〟〝3〟と、カウントダウンが進んでいく。


黒髪ショートのザイラは、背丈175㎝といったとこだ。

スレンダーながらも筋肉質な彼は、20代後半あたりである。


二人の間にある表示が〝GO!!〟と告げて、消えた。

いきなりダッシュして距離を詰めたゾースが、[木の棍棒(こんぼう)]を縦横無尽に振るう。

ザイラは[木製の中剣]で防ぐものの、次第に押されていき、

「くッ!」

「ぬッ!!」

厳しそうな顔つきになったのである。


客席にて。

「ザイラが追い込まれてるわね。」

こう呟いたのは[女性の陰陽師]だった。

「…………。」

何やら考えた素振りの[白魔術士のゼシュー]が、

「どうやら、戦士のほうが剣士よりもパワーがあるみたいだよ、ゼン。」

そのように知らせたのである。


華奢な体型の【陰陽師】は、身長160㎝で、〝黒髪サラ艶セミロング〟だ。

年齢は20代前半のようだ。


このゼンが、

「〝ゾースが有利〟って事ね。」

忌々(いまいま)しそうにしたのであった。


防戦一方のなか隙を窺っていたザイラは、右の爪先(つまさき)で、相手の左(すね)を、〝ガツンッ!〟と蹴ったのである。

「つッ!!」

眉間にシワをよせて、よろめいたゾースの胸元に、

「もらったぁあ!」

ザイラが[木剣(ぼっけん)]を突き出す。

ゾースは、

「舐めんなッ!!」

かろうじて左に躱わすのと同時に、右膝を、ザイラの腹部にヒットさせた。

「ぐふッ!」

背中を丸めて苦しそうにしたザイラの動きが止まる。

そういった好機を逃がすまいと、ゾースが、

「うおらぁッ!!」

「おりゃッ!!」

「うらぁッ!!」

「おらぁあッ!!」

ザイラの後頭部を何度となく棍棒で〝ゴンッ! ゴンッ!〟と殴打していく。

まだ“LV.1”のため、ただでさえ低めの[ヒットポイント(HP)]を、かなり削られたザイラが、

「が、ぁッ?!」

耐え切れずに両膝を着いたタイミングで、ゾースの目の前に“YOU WIN!!”との文字が現れたのだった。

ザイラのほうは“YOU LOSE”となっているみたいだ。

いずれにせよ、〝ニィ~〟と口元を緩めたゾースが、

「ざまぁみやがれ、身のほど知らずがッ!」

「ふはははははははは!!」

あからさまに勝ち誇ったのである。

こんな状況に、

「私が決闘を勧めてしまった所為で〝最悪なパーティー〟になってしまいそうね。」

〝ギリィッ!〟と歯ぎしりする[武闘家のジリ―]であった―。


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