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Arousal of NPC‘s  作者: ネコのうた
Chapter 1/最初の国
7/125

№7 WWにおける設定①

[Team(チーム) S(エス)]が戦闘を行なっている頃――。

ヤトたち[イッチューズ]は、それなりに豪華な“執務室”に通されていた。

アンティークで木製のディスク席には、身長170㎝くらいで、金髪を七三(しちさん)オールバックにしている40代前半の男性が、座っている。

鼻の下の立派な(ひげ)もゴールドで、瞳は青い。

この紳士に、ヤトが、ギルドで貰っていた“誓約書”を渡したところ、

「おぉー、そなたらが、我が娘の猫を探してくれる冒険者たちか?」

「とても頼りにしておるぞ。」

「ただ…、日が経ちすぎるのは好ましくない。」

「悲しみのあまりふさぎがちになっている娘を、早いとこ喜ばせてあげたいからな。」

「うぅ~む、そうだな……、人数からして、これより二日の期間としよう。」

「それまでに娘のネコを連れて来られなかった場合は、任務失敗という事で、報酬は支払えない。」

「ちなみに、その猫は、シャトルリューという種類で、灰色の毛並みをしており、首に黄色いリボンが巻かれている。」

「では、よろしくな。」

そういった条件にされてしまったのである。

「やべぇ。」

「〝タイムリミットあり〟の発注だったか。」

「うっかり、このパターンを忘れちまってた。」

苦い表情となったヤトに、

「んん??」

「48時間もあれば大丈夫でしょ?」

「割と余裕なんじゃないの??」

カリンが首を傾げる。

「いや、“ワンワー”は、過去の二作品と同じようなシステムになってるから…、現実世界の1分が、こっちでの1時間だ。」

ヤトの説明に、女性陣が〝えッ!?〟と目を丸くした。

「つまり……、〝ゲーム内では24分で1日が終わる〟ってこと?」

エイトが尋ねたら、

「うん、そうだね。」

クマッシーが肯定した。

更には、

「あと、言っておくとしたら…、おそらく、都の全てを回るには、一時間半以上は掛ると思う。」

「町だと45分、村は20分、といった感じかな。」

「どれも、現実で(・・・)。」

ニケが伝えたのである。

「そうなの??」

セブンが唖然としたところ、

「ん。」

軽く頷いたニケが、

「過去作と一緒ならだけど。」

こう補足した。

「とりあえず急いだがいいよね?」

「どうするの?? ヤト。」

カリンに問われ、

「何かヒントが欲しいな。」

「ネコに関する。」

「多分、あのオッサンからは、これ以上の情報を仕入れるのは無理だろうから、部屋を出てみよう。」

そのように返したヤトが、先頭で退室していく。


廊下には、先程の給仕と、一人の若い女性が、並んで立っていた。

“初老のNPC”の頭上にある[金色のダイヤマーク]が視界に入り、

「脱走したペットの事を、教えてほしいんだけど。」

ヤトが声をかけたら、

「こちらのメイドが、先日、お嬢さまの猫ちゃんを、お見かけしたそうです。」

こう述べたのである。

すると、今度は、若い女性の頭上に“ダイヤマーク”が現れた。

引き続きヤトが訊ねたところ、

「西の大通りを、そっくりなネコちゃんが、うろついてしました。」

「私が近づいたら、走って逃げられてしまい、それっきりです。」

「もしかしたら違う猫ちゃんだったかもしれないので、誰にも教えなかったのですが……。」

「旦那様がたに報告しなかったことがバレたら、ここを辞めさせられてしまうかもしれませんので、内緒にしておいてください!」

頭を下げてきたのだった。

有力な手掛かりを得たヤトは、

「よし。」

「“テレポート”するために、外に行こう。」

そう皆を促したのである。


敷地内の庭で、“地図”を開いたヤトが、右の人差し指で[西門]のマークに触れるなり、【瞬間移動】するメンバーであった。



門あたりで、

「あん?!」

「オレ様に指図すんじゃねぇよ!!」

「テメェらは黙って従うって事になったんだろうがッ!」

とある男が、自分の仲間たちに怒鳴っている。

背丈180㎝くらいで〝ボサボサ赤髪〟の男性は、装備品からして【戦士】のようだ。

彼らの側には、[遺跡調査団の四人組]が佇んでいた。

おそらく、このパーティーは、[Team S]と同じクエストを受けたのだろう。

「なに、あれ?」

「内輪もめ??」

「ちょっと物騒じゃない?」

目を細めたカリンに、

「あんまりジロジロ見ちゃダメだよぉ。」

「こっちに飛び火するかもしれないから。」

エイトが不安がる。

それによって、

「ヤト、すぐにでも、ここを離れよう。」

クマッシーが提案したのだった。

「あ、ああ。」

「そうだな。」

理解を示したヤトは、

「じゃあ、こっから東に進んでくけど…、目的のネコは当然ながら、ダイヤマークがあるかもしれねぇNPCも、見落とさないようにしようぜ。」

このように方針を決めたのである。



「ふんッ!!」

【武士】のソリュウが左から横に払った[木刀]が、右側頭部に当たった[ダークマウス.Jr]が“薄紫色の粒子”となって、消滅した。

そこの地面には、ピンク色で直径10㎝ほどの[(いびつ)な宝玉]と、“木製の短槍”が、遺されている。

シューラが“木の中剣”で、[ダークドック.Jr]の眉間を突いたら、こちらも絶命し、ジュエルのみ(・・)が現れた。

他の魔物らも、[Team S]によって、倒されている。


なお、モンスター達が落としたアイテムこと“ドロップ”は、リーダー(・・・・)たるシリウスの[イベントリ]へと自動的に送られるらしい。

品物としては、宝玉や、武器に、ポーション類、であった。

ジュエルは必ずGET(ゲット)できるが、それ以外の入手はランダムとなっているみたいだ。


後ろを確認した【召喚士】のサキが、

「調査団は、全員、変わりないみたいだね。」

「一つも怪我していないようだし。」

そうパーティーメンバーに知らせる。

【シールダー】のシリウスが〝ふぅ――っ〟と息を吐き、

「それじゃ、改めて西を目指そうぜ。」

このように告げたことによって、再び歩きだすシューラ達だった―。


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