№3 いざ、冒険へ。
シューラ達が“ノースイーストギルド”で受注していた頃、[イッチューズ]は広場で方針を決めていた。
「まずは、ギルドで登録したいから、地図をチェックしようぜ。」
【武士】であるヤトが、右の掌を、宙で、左から右に〝スッ〟と動かしたところ、[超薄型画面]が出現したのである。
更に、クマッシーとニケも同じ事を行なった。
身長168㎝かつライトブラウンでスポーツ刈りの“クマッシー”は、若干ふくよかな体型をしている。
黒色を基調とした布製の長袖&長パンツに、茶色でレザーのセミロング手袋とショートブーツを、装備していた。
更には[木製の大楯]を背負っている。
彼もまた【シールダー】なのであろう。
背丈165㎝に、金色サラサラショートヘアーで、青い瞳の、“ニケ”は、標準的な体つきだ。
布製の長袖と長パンツに、レザーのセミロング手袋&ショートブーツは、ブラウンである。
左手に[木の棍棒]を持っていることから、ジョブは【戦士】だと推測できた。
男性陣の動作を見て、
「へぇー。」
興味を示した様子の少女を、
「カリン。」
「お前たちも、やってみろよ。」
ヤトが促す。
それに、
「分かった。」
と、カリンが頷く。
スレンダーな彼女は、身長162㎝で、ブラウンセミロング三つ編みに、白猫の耳&尻尾が付属している。
ホワイトを基調とした簡素な長袖&長パンツといった“旅人の服”に、ブラウンで革製のロング手袋とロングブーツを、着用していた。
左手には[木製で短めの弓]を握っている。
間違いなく【アーチャー】だろう。
「“地図”って書いてある箇所をタッチしてみ。」
ヤトに従い、誰もが、この文字を、指先で触れた。
次の瞬間、フラルン帝都の[MAP]に切り替わったのである。
「地図は、拡大と縮小が出来るから、割と便利なんだぜ。」
ヤトが伝えたら、
「流石は、過去二作品をプレイしただけあって、詳しいわね。」
別の女子が、少なからず感心していた。
そのリアクションに、
「まぁな、セブン。」
ヤトが嬉しそうに微笑んだ。
“セブン”は、背丈164㎝で華奢な、黒髪ショートの少女である。
長袖&長パンツの甚平みたいな和装に、足袋と、草履は、黒色を基調としていた。
背中には[短めの木刀]を備えている。
きっと【忍】だろう。
「ここの都には、ギルドが二つ在るみたいだね。」
「北東と南西に一つずつ、て、感じで。」
「どっちにする? エイト。」
クマッシーに訊かれた女子が、
「え?!」
「私??」
いささか驚きながらも、
「んー、……、南西、かな?」
このように答えた。
標準的な体型の“エイト”は、身長157cmで、ゆるふわセミロング金髪に、青い瞳をしており、狼の耳と尾が付いている。
布製でホワイトの長袖ワンピースに、スカイブルーのマントを羽織り、ブラウンでレザーのロングブーツを履いていた。
どうやら、【精霊術士】らしい。
「いや、クマッシー。」
「リーダーは俺なんだけど!」
「何故、エイトに意見を求める!?」
ヤトのツッコミに、
「あ、ごめん。」
「エイトのほうが、ヤトより、僕の近くに居たから、つい。」
クマッシーが弁明する。
「そっか。」
「なら、まぁ、いいけど。」
ヤトが納得するなか、ニケが、クマッシーの左耳あたりで、
「今のは、ちょっと露骨だったんじゃない?」
〝ボソッ〟と指摘した。
それにクマッシーが〝ギクッ!!〟として、
「いやいや、そういんじゃなく、その…。」
口ごもってしまったのである。
周りは何があったのか理解できず、不思議がっていた。
クマッシーは、エイトに恋心を抱いている。
現段階で知っているのはニケだけのようだ。
要は、エイトと会話したくて仕方ないクマッシーと、これを察しているニケ、といった図式である。
ちなみに、[イッチューズ]は、中学二年生になって間もない13歳の集まりだった。
「じゃあ、南西を採用するとして……。」
「地図上に幾つかのシンボルマークがあるだろ。」
「それらのなかで、行きたい場所をタッチすると“瞬間移動”できるから、あっちで合流しようぜ。」
ヤトが、仲間に告げたのである。
▽
ほぼ同時刻に、[Team S]は、“ノースイーストギルド”の建物から外に出てきたところだった。
それなりに離れた北側に聳える城が視界に入り、パーティーメンバーが足を止める。
「おっきいねぇー。」
独り言かのように述べたのは、ある少年であった。
「そうだね。」
「いつか機会があったら、もっと近くで見てみよう、ソソ。」
シューラの提案に、
「うん!」
この男子が満面の笑みとなったのである。
背丈144㎝の彼は、10歳前後の年齢だろう。
ショートの髪に、瞳は、ブラックだ。
簡素な長袖&長パンツといった“旅人の服”は黒色で、革のショートブーツは茶色である。
右手に50㎝程の長さで“細めの樫”といった[マジックワンド]を持っていた。
そんな“ソソ”は【黒魔術士】みたいだ。
「とりあえず、先を急ごう。」
シューラの求めに応じて、シリウスが[超薄型画面]を操作するなり、全員が“テレポート”したのである…。
開かれた[アーチ状の西門]の両脇には、長槍を所持した兵士が一人ずつ直立していた。
この近くに、老人たちが待っていたのである。
三人は男性で、一人は女性だ。
身長や、体型に、ヘアースタイルは、様々だった。
なお、四人とも白髪である。
「なんか、一人だけ、頭上に“金色のダイヤ”みたいなのが浮かんでいるんだが……。」
リーダーたる“シリウス”が瞼を〝パチクリ〟したら、
「…………。」
何やら考え込んだシューラが、
「〝あの人に話しかける〟っていう“目印”らしい。」
そう教えたのであった。
この情報によって、
「ふむ…。」
「あんたらが“遺跡の調査団”か??」
シリウスが、腹部あたりまで白髭を伸ばしている男に尋ねたところ、
「お主らが護衛してくれる冒険者たちに相違ないな?」
「もし、装備品や回復薬に不安があるのであれば、南西の遺跡へ向かう前に、まずは、西の町に進むのが良かろう。」
「途中で襲ってくるであろう魔物たちを倒せば、ジュエルやアイテムが手に入るからのぉ。」
「それらを町で売却して、得た通貨で、いろいろと買い揃えるべきじゃろうて。」
「その程度の寄り道であれば、差し支えないから、心配はいらん。」
「では……。」
「儂らは、お前さんがたの後ろを付いて行くので、よろしく頼む。」
一方的に喋り倒されてしまったのである。
「そういう事らしいんだが…、いいんだよな??」
「西の町を目指しても。」
確認してきたシリウスに、
「…………。」
暫し黙って、
「問題ないみたいだから、出発しよう。」
そのように返す“シューラ”だった―。