№2 ファ―ストクエスト
“金髪の少女”を含めた12人組は、[北東のギルド]に訪れていた。
建物内は割と広い。
正面の“案内所”には、5人の男女が佇んでいる。
右側には“情報屋”の窓口が一つだけ設けられているみたいだ。
なお、[|Wonder World]においては、飲食店や酒場は別に存在している。
“金髪の少女”らの先頭に立つ30代前半ぐらいでガタイのいい男が、
「本当に、オレで良かったのか?」
後ろの仲間たちに確認した。
背丈は174㎝で、金色の髪をオールバックにしており、瞳は青い。
黒色を基調とした布の長袖&長パンツに、茶色でレザーのセミロング手袋とショートブーツを、装備している。
更には[木製の大楯]を背負っていた。
おそらく【シールダー】であろう。
この男性に、
「もう、決まった事だから。」
「シリウスが、私達のリーダーで、問題ない。」
“金髪の少女”が伝え、全員が頷く。
身長152㎝でスレンダーな彼女は、10代前半といった印象だ。
白色を基調とした簡素な長袖ワンピース&長パンツといった“旅人の服”に、ブラウンで革製のショート手袋とロングブーツを、着用している。
左腰に帯びているのは[木の中剣]らしい。
きっと【剣士】なのだろう。
「じゃあ、代表して…。」
意を決したシリウスが、
「あー、こんにちは、お嬢さん。」
受け付けの女性に声をかける。
すると、
「ここは、フラルン帝都のノースイーストギルドです。」
「お客様は初めての方ですね?」
「でしたら、最初に登録させていただきますので、ソロか、パーティーかを、教えてください。」
プログラミングどおりに喋った。
「会話が成立していないんじゃない??」
「これが、“ノンプレイヤーキャラクター”というわけね。」
こう呟いた女性に、
「うん。」
「スイ、正解。」
“金髪の少女”が告げる。
スイと呼ばれた華奢な女性は、40代前半のようで、背丈は165㎝といったところだ。
銀髪ロングの黒肌で、瞳は緑色である。
イエローグリーンを基調とした簡素な長袖&長パンツといった“旅人の服”に、茶色で革製のショート手袋とショートブーツを、装備していた。
他には、腰あたりまでの長さであるパープルのマントを羽織っている。
左腰には[短銃]を帯びているようだ。
そのことから【ガンナー】だろうと推測できた。
なお、現在の銃は、弾丸を一つだけしか込められないタイプである。
ただし、発砲後は、自動的に玉が補充されるらしい。
「オレらは、パーティーだ。」
シリウスが答えたら、
「では、名称を入力してください。」
受付嬢が、[超薄型の画面]を差し出してきた。
これに表記されている文字に、
「えー、……。」
「Team…、S、と。」
シリウスが右の人差し指で触れていったのである。
「引き続き、リーダーの方の名前も登録してください。」
そう促されたシリウスが、同じような動作を行なった。
「それでは、現在この冒険者ギルドで承っている御依頼を、お知らせします。」
「……。」
「ある落とし物を探す。」
「都から南西の遺跡を調査する人々を護衛する。」
「以上の二つとなります。」
受け付けの女性が提示したところ、
「どっちだ??」
「シューラ。」
シリウスが“金髪の少女剣士”に尋ねたのである。
「ちょっと待って。」
こう返したシューラは、
「…………。」
暫く黙った後に、
「とりあえず、私たちの目標であるレベル上げを優先するためには、遺跡のほうがいい、みたい。」
そのように伝えた。
「さすがは、“女神様の愛子”だな。」
シリウスの発言に、
「その呼び方、あまり好きくない。」
「みんな、平等であるべき。」
〝ムスッ〟とした少女剣士の頭を、
「まぁ、いいじゃないですかぁ。」
「それだけ頼りにしているという事ですよ、シューラちゃん。」
穏やかそうな女性が、右手で撫でる。
身長160㎝で、標準的な体型の彼女は、20歳前後といった感じだ。
ゆるふわライトブラウンロングヘアーで、瞳は黒く、肌は白い。
布製で簡素な長袖ワンピースはホワイトであり、革のロングブーツはブラウンだ。
左手に持っている50㎝程の長さである“細めの樫”は[マジックワンド]みたいなので、ジョブは【白魔術士】であろう。
「セイラン、もう、いいから。」
シリウスが〝むぅ~ッ〟としたので、
「あら?」
「そうですかぁ??」
〝ナデナデ〟を止める“白魔術士”だった。
「じゃあ…、遺跡を。」
シリウスが告げたら、
「では、詳細に入ります。」
「……、およそ100年前に魔王が倒されたことによって、世界中のモンスターはおとなしくなりました。」
「しかしながら、ここ最近、凶暴化してしまっているのです。」
「巷では、魔王が復活したのではないか? その影響で再び活発になっているのでは?? などと噂されています。」
「また、モンスター達が人間や半獣に動物などを襲ったとの話しもあるのです。」
「一部では、魔物を弱らせるという聖なるアイテムが有り、それが南西の遺跡に納められていると、まことしやかに囁かれているのだとか…。」
「そこで。」
「真偽のほどを確かめるべく、帝都の上層部が、学者たちを派遣する運びとなりました。」
「ですが、学者さんがたは戦闘の素人であり、正規兵達は都での職務があって自由が利かないため、冒険者に護衛を依頼することに決めたそうです。」
こう説明した受付嬢が、
「ここまで御理解いただけましたでしょうか?」
「もう一度お聞きになりますか??」
と、質問してきたのである。
「いや、結構だ。」
渋い顔つきになったシリウスに、
「そうですか……。」
「ちなみに、報酬は、お一人につき金貨4枚です。」
「ただし、道中に遺跡調査団の方が一人でもお亡くなりになってしまうと、護衛失敗という事で、報酬は支払われません。」
「この案件を、お受けになりますか?」
女性が伺う。
「ああ。」
シリウスが首を縦に振ったところ、
「でしたら、都の西門に移動して、学者の方々と合流してください。」
「連絡と手続きは、こちらで済ませておきますので。」
そのように締め括る受付嬢であった―。