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Arousal of NPC‘s  作者: ネコのうた
Chapter 1/最初の国
18/129

№18 差異

西門に【テレポート】した[イッチューズ]は、帝都からフィールドへと出たのである。

土路(どろ)を歩きながら、

「なぁ。」

「念の為に、フォーメーションを決めとかないか?」

リーダーに訊かれて、

「うん、そうだな。」

頷いたニケが、

「まず…、オレとヤトは前線で、その後ろがセブンだろ。」

「カリンとエイトが最後尾だとして……、女性陣の間にクマッシーが入るので、どう??」

そう提案したのだった。

「おぉ、いいねぇ。」

ヤトが賛成したところで、

「その振り分けって、なんか意味があるの?」

カリンが質問する。

「あー、…、戦士と武士は“近距離型”で、(しのび)は“中間タイプ”なんだ。」

「で。」

「アーチャーと精霊術士は“遠隔戦型”なんだけど防御力が低いから、シールダーに護ってもらう、て感じだよ。」

ニケの説明に、女性陣が〝ほう ほう〟と理解したのであった。

なにはともあれ。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


            戦士のニケ    武士のヤト


                 忍のセブン


              シールダーのクマッシー


        アーチャーのカリン    精霊術士のエイト


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

このようなポジションになった[イッチューズ]である。

ちなみに、ニケは、“サウスポー(左利き)”らしい……。


6人が暫く進んだら、前方から魔物たちが向かって来たのだった。

顔ぶれは、[アルミラージ]と[ダークマウス.Jr]が二匹ずつで、[食人花]が一体の、計五数である。

「皆、ストップ。」

「武器を構えろ。」

リーダーの指示にて、全員が立ち止まる流れで臨戦態勢に入った。

それぞれの[ダークマウス.Jr]が、ニケとヤトに、“木槍(きやり)”を払う。

二人が[木製の棍棒(こんぼう)]や[木刀]で防ぐなか、アルミラージ達が中央を突破したのである。

セブンが、

「え?!」

「ちょ…。」

どっちに対応すべきか戸惑ったところ、

「セブンは左を!」

「右のは僕に任せて!!」

即座にクマッシーが判断したのであった。

これで冷静になったセブンが、

水遁(すいとん)の術!」

そう発するのと共に“右の(てのひら)”を正面に出すなり、最大直径5㎝×長さ20㎝といった[水の(もり)]が、“アルミラージ”の眉間あたりにヒットする。

別の一匹には、クマッシーが[木の大楯]を下から上へと振るった。

どちらもの攻撃によって、バランスを崩した[一角兎(いっかくうさぎ)]たちではあったが、急ぎ体勢を整え直したのである。


ヤト&ニケは、身長80㎝ぐらいのネズミらと、一進一退になっていた。

ここへ、隙を窺っていたらしい食人花が“ピンク色の霧”を放ったのである。

それによって、二人は〝ガクンッ〟と両膝を屈しながら眠ってしまう。

左頬を槍で殴られたニケが、目を覚ます。

“ヘッドギアタイプの兜”に守られたお陰で、ダメィージは少ないようだ。

すぐに状況を把握したニケに、武器で右膝を叩かれた敵が、しゃがみ込む。

一方のヤトは、喉の下あたりを槍で突かれて意識を取り戻すも、横倒れになってしまった。

どうやら、【クリティカルダメージ(致命傷)】を負ったらしい。

体が動きづらくなっているヤトに、[ダークマウス.Jr]が武器を振り下ろそうとする。

これを、

「させるかぁあ―ッ!!」

ロータックル(低い体当たり)”で阻んだのは、ニケだった。

彼らが地面に転がるなか、

「HP、回復、ポーション。」

かろうじて呟いたヤトの眼前に、“小瓶”が転送される。

左手で掴んで、右手で(ふた)を開けたヤトが、“スカイブルー色の液体”を飲み干していく。


その間に、クマッシーがアルミラージと睨み合ったままで、

「カリンとエイトは、あの花を攻撃して!」

と、促した。

「う、うん!!」

カリンが[木製で短い弓]の(つる)を引いたところ、ホワイトに輝く“一本の矢”が自動的に形成されたのである。

彼女が矢を()るのと同時に、

「雷の精霊!」

エイトが唱えたら、背丈20㎝ほどで、全身は黄色く、ツンツンヘアーの“人型”が、宙に現れた。

目つきは悪いものの、案外かわいらしい。

その精霊が、食人花めがけて〝ビュンッ!〟と飛んで行く。

再び()を吐こうとしていた敵の、顔か頭かは不明な箇所に矢が刺さる。

更に、【雷の精霊】がぶつかったことによって、[フラワーモンスター]が〝ビリビリィーッ〟と感電した。

食人花が痙攣するなか、役目を終えた精霊が〝フッ〟と消える。


ニケとネズミは、どちらも起立して、対峙していた。

ヤトが【治癒】されるなり、瓶が“沢山の細かい粒”となって無くなったのである。

「サンキュー、ニケ。」

「助かった。」

お礼を述べながら立ったヤトが、

「あっちは俺が引き受ける。」

膝を怪我したほうの[ダークマウス.Jr]に近づいてゆく。

このネズミも、既に起き上がっていた……。



跳び掛かってきたスライムに、

「とぉう!!」

[木の中剣]を左から右へと払ったのは、“金髪少女のシューラ”である。

それによって[コア]を破壊された敵が、“薄紫色の粒子”となって、死滅したのであった。

[Team(チーム) S(エス)]もまた、バトルを展開している。

前線では、シューラだけでなく、武士のソリュウ/騎士のサーガ/シールダーのシリウス/アサシンのシエル/武闘家のサイザーも奮闘していた。

黒魔術士のソソ/白魔術士のセイラン/ガンナーのスイ/陰陽師のソウヤ/アーチャーのサザミン/召喚士のサキは、援護に専念している。

この後ろに、“調査団の4人組”が待機していた。

もともと十四数いた“魔物の群れ”は半分ぐらいに減っているらしい。

それなりに結束力があるシューラ達は、戦いに割と慣れてきているみたいだった。



[Team S]や[イッチューズ]が戦闘を繰り広げている頃、都の“西門”をくぐった一同がいる。

日が暮れ始めるなか道を進むのは[Team(チーム) Z(ゼット)]であった。

振り向いて、

「トロトロしてんじゃねぇぞッ!」

味方に怒鳴ったのは、当然、“戦士のゾース”である。

「ったく、どいつもこいつも。」

ゾースが、文句を言いつつ、改めて歩きだす。

パーティーメンバーは、少し離れて付いてゆく。

「ほんと、どうにかならないかしら、アイツ。」

“女性武闘家のジリ―”が何気なく本音を口にしたところ、

「とりあえず、“厄難(やくなん)の日”まで耐えよう。」

「チャンスがあるとすれば、多分そこだから。」

“白魔術士のゼシュー”が告げたのだった―。



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