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Arousal of NPC‘s  作者: ネコのうた
Chapter 1/最初の国
15/129

№15 彼らの旅支度

“地図”を見ながら、

「結局のとこ、防具を優先すべきか、武器をチョイスするか…。」

ヤトが悩む。

「まずは、攻撃力よりも守備力のほうを重視したがいいだろうね。」

ニケの意見を、

「んー、……、やっぱ、そうすっかぁ。」

受け入れたリーダーが、

「じゃ、移動するぞ。」

メンバーに告げたのである。



イッチューズは、帝都の[北東地区]に【テレポート】したようだ。

正面には“防具屋”が存在している。

ここは、住宅街の一画(いっかく)らしい。

少し西に進むと[北の大通り]に出るみたいだ。

逆の東側に〝フ〟と顔を向けたエイトが、

「あの遠くに在るのって、お城だよね?」

仲間に質問したところ、

「うん、そうだよ。」

「クエストによっては、あそこに行く事があるかもね…。」

「まだ分からないけど。」

クマッシーが答えたのだった。

「お喋りは、そのへんにして、中に入ろうぜ。」

そう促したヤトが、[木製の扉]を奥へと押していく。


店内には、いろいろな商品が飾られていた。

大きめの台に置かれていたり、棚に陳列されている物もあれば、防具立てを用いて壁際に展示されていたりと、さまざまである。


「おぉー。」

「割と豊富ねぇ。」

感心するセブンに、

「まぁ、都だからね。」

「町や村だと、規模が小さくなる筈だよ。」

ニケが伝えた。

「どれを選んでもいいの??」

カリンに尋ねられ、

「いや、今の俺たちだと所持金に限界があるから、あまりにも高価なものは買えない。」

こう教えたヤトが、

「ま、見てろよ。」

[会計所]まで足を運び、

「ちわ。」

頭上に[金色のダイヤマーク]があるNPCに挨拶したのである。

「いらっしゃい。」

「なんにする?」

「取り敢えず、うちで扱っている品々を確認するかい??」

そのように喋ったのは、50代後半ぐらいの男性であった。

スレンダーな体型であり、オールバックヘアー&鼻の下の(ひげ)白髪(しらが)交じりだ。

風貌からして、おそらくは“マスター(店主)”であろう。

「ああ、よろしく。」

頷いたヤトに、

「では、ゆっくり吟味してくれ。」

男が応じる。

すると、個々の眼前に[縦長(・・)の薄型画面]が自動的に現れたのだった。

「指先でスワイプするとページをめくれるんだけど……、どんな素材で生産されているかや、金額を、チェックしてみくれ。」

ヤトに従い、全員が目を通していく。


各項目の一番上には“薄革・厚革・木・薄鉄・鉄・鋼・胴・銀・金・その他”と書かれている。

また、これら材料で造られた品物と、価格も、表記されていた。


“狼の耳と尻尾”たるエイトが、

「どれも、現実だと、いくらぐらいなんだろう?」

素朴な疑問を口にしたら、

「日本であれば、金貨一枚が壱万円で、銀貨一枚が千円、銅貨一枚が百円ってとこだと思うよ。」

クマッシーが説明したのである。

“白猫の耳に尾”といったカリンが、

「となると…、結構な値段がする物ばかりね。」

半ば唖然としたところ、

「だろぉ??」

「現時点での俺らに購入できんのは〝木製まで〟なんだよ。」

ヤトが述べたのであった。

「で?」

「どれにするのがいいの??」

セブンに訊かれて、

「木……、いやぁー、それだと新しい武器を買うのが厳しくなりそうだから、薄革にするか?」

自身の腕を組んだヤトが、

「あー、でも、なるべくポーション類を揃えておきたいんだよなぁ。」

「初回ログイン時のボーナスとして付与された数だけだと、いささか心もとないし…。」

「参ったな。」

悩みだしたのである。

そんなリーダーに、

「まぁ、武器は“現状維持”でも大丈夫なんじゃない??」

ニケが声をかけた。

これによって、

「んー、…、そうだな。」

「おしッ!」

「“木製”にしよう!!」

と、まとめるヤトだった……。


[イッチューズ]は、ジョブごとに防具を購入した流れで、装備させてもらったようだ。


【武士】のヤトは“額当て/胴丸/籠手(こて)/腰回り/(すね)当て”である。


【シールダー】たるクマッシーと【戦士】のニケは“ヘッドギアタイプの兜/鎧一式”だ。


【アーチャー】であるカリンに【精霊術士】のエイトは“額当て/胸当て/(ひじ)当て/腰回り/(ひざ)当て”となっている。


(しのび)】たるセブンは“額当て/胴丸/籠手/脛当て”であった。


なお、金貨1.5枚~1.8枚の(あたい)みたいだ。

結果、[銀貨]を、ヤト・クマッシー・ニケは2枚、カリン&エイトは4枚、セブンは5枚、お釣りに貰っている。


「よーし、次は“アイテム”だな。」

そう告げたリーダーによって、外に出ていく一同だった。



道具屋の近くに[テレポーテーション]したところ、店主が、【武闘家】と【騎士】の男性に肩を貸してもらいながら、“裏庭”へと移動している最中だったのである。

彼らの真後ろで、

「これが“ネコちゃん”の情報に繋がるといいわねぇ~。」

キエラが微笑み、

「きっと、そうなるよぉー。」

クーガも〝ニコニコ〟していた。

この“12人組パーティー”は、間違いなく[Team(チーム) K(ケイ)]である。

そんな光景を眺めつつ、

「あのオジサン、また捻挫(ねんざ)しちゃったのかなぁ?」

首を傾げたエイトに、

「ああいうのは、誰かしらが依頼を受ける度に発生するんだよ。」

クマッシーが伝えたところで、

「〝何回でも繰り返される〟ってこと??」

カリンが不思議がった。

「ん、正解。」

このように肯定したのは、ニケである。

〝それはさて置き〟といった感じで、

「早いとこポーション各種を購入して、ギルドに行こうぜ。」

「冒険するために!」

皆を()かすヤトであった―。




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