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Arousal of NPC‘s  作者: ネコのうた
Chapter 1/最初の国
14/128

№14 謝礼

道具屋の弟子たる“NPC”の案内にて、[イッチューズ]は、図書館の西側を通過していく。

そこから南の“住宅街”を進んでいったところ、お目当ての場所に到着したのである。

家は“石造りの二階建て”だった。

“セミロングでボサボサ茶髪の女性”が、緑色の鉄扉(てっぴ)に備え付けられている[呼び鈴]を〝カラン カラン カラン カラン〟と鳴らす。

数秒後に、内側からドアを開けたのは、“サラサラ黒髪ロングの男性(・・)”であった。

背丈は170㎝くらいで、スラッとしており、白色を基調とした服装に、青色で薄いロングコートを羽織って、茶色のブーツを履いている。

この30代前半あたりのNPCが、

「おや?」

「貴女は、道具屋さんの……。」

「もしや。」

「昨日、納めた商品に、何か問題でもありましたか??」

いささか不安そうにした。

それに対して、

「あー、いや、そうではなく。」

「実はっすね…。」

もう一人のNPCが、経緯を説明していったのである。


「……、そのネコであれば、確かに、保護していますよ、三日ほど前から。」

「他の野良猫たちに攻撃されたのか、あるいはカラスによるものなのか、傷を負っていたので、治癒してあげました。」

「飼い主が分からなかったので、その後も、こちらで世話していたのですよ。」

「少々お待ちくださいね。」

そう述べた男性が扉を閉めたら、

「あの人は、うちの師匠と仕事上での契約を結んでいるんだ。」

「採った薬草などを、錬金術でポーション類に変えてくれるのさ。」

「で。」

「それを、師匠たちが、お店で販売しているってわけ。」

“女性のNPC”が一方的に知らせたのだった。

六人組が〝へぇー〟とリアクションしていたところで、さっきの男性が再び出てきたのである。

「このネコで間違いありませんか?」

彼が抱きかかえていたのは“黄色いリボンをした灰色の猫”であった。

「おー! 聞いていた特徴どおりだ!!」

瞳を輝かせたヤトが、両手で受け取る。

これによって、

「ふむ。」

「では、飼い主さんに、よろしく。」

男性が自宅へと戻り、

「じゃ、アタシも、ここで。」

軽く右手を挙げた女性が、〝シュンッ!〟と消えた。

「え!?」

「どういうこと??」

目を丸くしたセブンに、

「道具屋に“テレポート”したって事だと思うよ。」

ニケが教えてあげたところ、

「成程。」

と、納得したのである。

「それで?」

「私たちは、どうするの??」

「依頼者のとこまで歩く?」

「それとも…、走っちゃう??」

カリンが尋ねたら、

「いや、このパターンは、多分、瞬間移動できるようになっている筈だから……。」

そう予想したヤトが、

(わり)ぃ、誰か、このネコ、代わってくれ。」

メンバーを窺った。

「じゃ、私が。」

新たに“シャトルリュー”を抱っこしたのは、エイトである。

「うわぁー、実物みたい。」

エイトが重量や毛並みと体温に驚いたところ、

「ホントに?」

カリンと、

「どれどれぇ~??」

セブンが、同時に猫を撫で、〝おぉー!〟と感動した。

この間に、[超薄型画面]から“MAP(マップ)”を選択したヤトが、

「やっぱり、あの家に何かしらのマークが出現しているな。」

「これは…、“ネコの顔”か?」

「ま、いいや。」

「すぐにでも“テレポーテーション”するぞ。」

周囲に告げたのである。



[イッチューズ]が門から進んだら、庭を(ほうき)()いていた“若い女性のメイド”が、

「あら?!」

「まぁ!!」

「お嬢様の猫ちゃんじゃありませんか!」

「見つけてくださったのですね!!」

「さぁ、どうぞ、中へ!」

興奮気味で邸宅内へと先導していくのだった……。


[応接室]にて。

身長160㎝/ゆるふわセミロング金髪/青い瞳/白肌に、ピンク色のワンピースドレスで、10代後半ぐらいの令嬢が、

「お帰り!!」

「シャル!」

大喜びでネコを引き取る。

その側に控えていた父親たる“資産家”は、

「諸君らに任せて正解だったようだな。」

「それでは…、報酬を支払うとしよう。」

革袋を渡してきた。

リーダーのヤトが、これ(・・)を手にしたタイミングで、

「皆さん、本当に、ありがとうございました!!」

お嬢様が満面の笑みを浮かべたのである。



改めての庭で。

袋を開けたヤトが、

「じゃあ、一人につき金貨2枚な。」

全員に配っていく。

これを貰いつつ、

「次は??」

「また一緒のギルドに行ってみる?」

「ヤト待望の“冒険”を受注しに。」

クマッシーが訊ねた。

「そうなると……、あらかじめ防具だけでも買い揃えておいたほうがいいかもね。」

「特に女性陣は初心者だから、このまま旅に出るのは厳しいかもよ。」

ニケの提案に、〝ふむ〟と頷いたリーダーが、

「だな!」

「まずは幾つかの店を巡ってみっか!!」

そのように決めたのであった…。



[Team(チーム) S(エス)]は、何度目かのバトルになろうとしている。

敵集団は、[ダークドック.Jr]と[ダークマウス.Jr]に[アルミラージ]が2匹ずつで、[スライム]が4体の、計10数だった。

【陰陽師】のソウヤが、

「草よ。」

こう唱えたところ、10㎝ほどの長さだった数本の草が〝グングン〟と伸びていきながら、一匹の[ダークマウス.Jr]の両腕・腰・両脚に〝ぐるぐるぐるぐるッ〟と巻き付いたのである。

サキは、

「ダクドニア!」

「ラウス!!」

続けざまに“サーヴァント”を召喚した。

なお、シューラ達のフォーメーションは以前と同じである。

今回の魔物らは、自分たちより少なかったので、落ち着きをもって仕留めていけた[Team S]だった―。


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