№129 オンゴーイング③
“少女剣士のシューラ”などは、南西区の[商店]に訪れている。
ここはクスエストを受けない限り出入りできない。
内は割と広めであり、複数の“店員”と“客”が存在していた。
その全員が“NPC”のようだ。
[雑貨屋]みたいで、いろいろ置いてある。
こうしたなか、端に立っている“男性ドワーフ”の頭上に[金色のダイヤマーク]が浮いていた。
ちなみに、髪も眉も髭も白い。
そのドワーフへと、
「これを。」
“男性シールダーのシリウス”が[用紙]を差し出す。
これを手にした男性は、
「…………。」
黙読した後、
「おお! 受注してくれたのか!!」
「ありがたい!」
喜びの表情となった。
そこから真顔に変わり、
「いや、実はな…。」
「儂の店には、北のエジット王国からも品々が流れくるのじゃよ。」
「要は輸入じゃな。」
「それ目当ての来客もいるおかげで繁盛しとる。」
「なかでも大口の取引先が、この国のキャラバン隊で、さまざまな商品を箱買いしてくれておるのじゃよ。」
「こないだ、いつものように、購入してもらった幾つもの品を、従業員たちと馬車に積み込んだのじゃが、そのとき、売却する予定になかった物まで誤って……、という経緯じゃ。」
「気づいた頃にはキャラバン隊が出発しておったので、どうする事もできなんだ。」
「そこで!!」
「ギルドに依頼したという訳じゃよ。」
「彼らは南に赴くと言っておったので、これから追い掛けて商品を返してもらってほしい。」
「そうすれば、儂が一人につき金貨5枚を支払おう!」
説明を終えた“経営者のドワーフ”が、
「よいかな??」
こちらを窺う。
すると、シリウスの眼前に、
承諾しますか?
・YES
・NO
そのように書かれた[画面]が自動的に展開される。
「ま、勿論…。」
シリウスが〝YES〟を指でタップしたら、
「実に助かる!!」
再び嬉しそうにする経営者だった……。
▽
[南門]あたりに【テレポート】して、町の外へ出る。
[火トカゲ]に乗り、岩石の陸地を、とりあえず進みだす。
所々には植物が生えている。
なお、ゲーム内はPM14:00になっていた…。
ゲーム内がPM21:00で、現実はPM14:30ごろ。
魔物に襲われている集団を確認できた。
おそらく野営していたのだろう、何個かの[焚火]が夜を照らしている。
これらの側には、数台の[荷車]が在り、そのどれもが[幌型]だ。
馬ではなく[火トカゲ]に引かせていたらしく、モンスターどもに応戦している。
あと、10名ほどの冒険者も。
そうした場には、20人ぐらいの遺体が横たわっていた。
「シリウス!」
「加勢しよう!!」
振り向いて促した“男性騎士のサーガ”に、
「ああ! 当然だ!!」
リーダーが応じる。
これによって、[Team S]が突撃しだす。
魔物は、“バブルスライム・ジャッカロープ・ダークマウス・ダークドッグ・バジリスク・ストーンスコーピオン・ロックタートル”で、ざっとではあるが計35匹のようだ。
もしかしたら、それ以上いたのを倒して、ここまで減らしたのかもしれない。
いずれにせよ。
“女性召喚士のサキ”がサーヴァント達の名前を順番に呼んでいく。
最後に現れたのは、15M級の赤竜である“レッドラ”だ。
そのドラゴンが、空中で【咆哮】を放つ。
これによって、モンスターらは、恐れをなし、固まった。
そこへ、竜が【火炎】を吐く。
味方が浴びてもダメージは負わないよう設定されているらしい。
こうした【スキル】によって、魔物たちの半分くらいが消滅する。
その光景に、男性陣とシューラが〝おお―ッ!〟と瞳を輝かせた☆
女性陣は威力にビックリしている。
まぁ、おいといて。
バトルが楽になる[Team S]であった―。
To Be Continued・・・・