№121 エジットの王城
“女性アーチャーのサザミン”による[矢]が左腕にヒットした“魔人少年”は【混乱】に陥る。
“魔人少女”は右肩に“女性ガンナーのスイ”が発砲した[弾丸]が直撃して【ストップムーブ】となった。
これによって【麻痺】した女子は、直立したまま砂地に落ちる。
そうした女子に、魔法を扱った男子が直径30㎝の【アイスボール】を当てた。
ここに飛んできた“蜂のメラービ”が、少女の首を[針]で刺す。
少年の腹部を突いて【毒】を注入したのは“サソリのディズオン”である。
その男子へと、“暗黒犬のダクドニア”が直径20㎝といった【火の玉】をクチから放つ。
右膝あたりが〝ボウッ!〟と燃えた少年に、“ゴブリンのリン”が[木槍]を払う。
少女へは、“少年黒魔術士のソソ”が最大幅10㎝×長さ30㎝という【三日月状の風】を見舞った。
後ろを振り返った“男性武闘家のサイザー”が、
「助かったぜ。」
安堵したように笑みを浮かべる。
こうしたところで、
「倒そう。」
“少女剣士のシューラ”による呼びかけで、“魔人コンビ”に猛攻を仕掛けるメンバーであった……。
あれから、[Team S]は、魔人はもとより“ワイバーンA
&E”も滅している。
何度となくHPを削られてピンチになる度、[ポーション]や、“女性白魔術士のセイラン”による【魔法】で、治癒して。
また、ゲーム内では、途中で夜となり、朝を迎えていた。
「あー。」
「割と、しんどかったぁー。」
サイザーが天を仰ぐなか、“女性アサシンのシエル”が、
「隊長の頭上、金色のダイヤマークが浮いているわよ。」
“シールダーのシリウス”に伝える。
それによって、[火トカゲ]から降りたシリウスが、
「オレたちの勝利だな。」
“討伐隊の責任者”に声をかけた。
すると…、
「ありがとう!!」
「おかげで成功できた!」
「恩に着る!!」
感謝を述べた隊長が、
「これを、王城の門兵にでも渡してくれ。」
「陛下が報酬を与えてくださる約束になっているから。」
「我々は仲間の遺体を回収して都に戻る。」
[証明書]を差し出してくる。
なお、今回の戦いでは、150名あたりの兵士が亡くなっていた……。
▽
お城の門の両脇に兵が1人ずつ立っている。
どちらにも[金のダイヤ]が見受けられた。
向かって左斜め前の兵士に、シリウスが[用紙]を提出する。
「…………。」
黙読した男性が、
「陛下のもとまで案内しますので、私に付いてきてください。」
回れ右した。
こうして、城内を歩くシューラ達だった……。
[玉座の間]にて。
煌びやかな椅子に腰かけているのは、女王だ。
40歳ぐらいで、どこかクレオパトラを彷彿とさせる。
対面している一同の左右には、大臣や兵長の計10名が佇んでいた。
一歩だけ前に出た40代後半らしき男性が、
「宰相である私から話しをさせてもらおう。」
「なんでも、あの一帯で、異国の司祭が目撃されていたらしい。」
「ソヤツが南の隣国に進んだあと、ワイバーンが狂暴化したのだとか。」
「冒険者として興味があれば、その国に赴いてみるがよい。」
「ちなみに、山を通過して南西に在る町が最も近いぞ、距離としては。」
そのように教え、
「例の物を。」
誰かを促す。
これによって、“若い女性”が[装飾の施されている銀のトレイ]に乗せた[革袋]を運んでくる。
「金貨220枚。」
「陛下に感謝して頂戴するがよい。」
宰相が喋った流れで、
「大儀であった。」
そう告げる女王であった…。
▽
不用品を[換金所]で売却したシリウスは、報酬も含めて皆に平等に配る。
ここから[道具屋]でアイテムを買い揃え、[食堂]で回復した。
外で[画面]を開き、[地図]を確認したシリウスが、
「お。」
「さっきワイバーンとかと戦った場所に瞬間移動できるみたいだぜ。」
「訪れてみるか?」
パーティーを窺う。
異論が無かったことで、【テレポーテーション】するリーダーだった。
▽
兵たちは、もう居ない。
引き揚げたのだろう。
一方で、[火トカゲ]の姿はあった。
全員が跨ったところで、南下してゆく……。
西側は断崖絶壁で海が広がっており、東側は山脈の麓である。
そうした道を暫く通って、国境を越えた。
ここから南西を目指す。
町に到着するまではまだ時間が掛かるだろう。
補足として、レベルが新たに1つずつアップしている[Team S]であった―。