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Arousal of NPC‘s  作者: ネコのうた
Chapter 1/最初の国
12/128

№12 WWにおける設定②

ちょっとした庭にて。

[木製の背戸(せど)]から、

「旦那さん!」

「容体は!?」

15歳ぐらいの女性が飛び出してきた。

身長は160㎝程で、スレンダーである。

“セミロングの髪”は茶色で〝ボサボサ〟していた。

「なぁに、ちょっと捻っただけだから、そんなに心配する事ぁない。」

そのように[オジサンNPC]が喋ったあたりで、合流してきた奥さんが、

「まったく…、すまないねぇ。」

「うちの人が迷惑かけちまって。」

申し訳なさそうにしたのである。

「いやぁ~、助かったよ。」

右足を引きずりつつ、クマッシー&ニケから離れて、

「荷物は、そこらへんに置いといてくれ。」

「あとで弟子に運ばせるから。」

「何か困ったことがあれば、いつでも訪ねてくれよ。」

「私にできそうな事であったら、お礼に協力させてもらうからさ。」

こう述べた店主が、二人の女性と共に、屋内へと去っていく。

日が沈み始めるなか、

「一旦、これで終わりみたいだな。」

「……、しょうがねぇから、“南通り”に行ってみようぜ。」

と、改めて方針を決めるヤトであった。



平原では、[Team(チーム) S(エス)]が再びのバトルになっていたのである。

魔物らは、前回の顔ぶれと変わらないようだ。

まだ不慣れであるシューラ達は、それなりに手こずりながらも、どうにか敵を殲滅したのだった。


全員が武器などを収めたタイミングで、

「行こ。」

[金髪の少女剣士]が催促したところ、

「ちょっと待ってくれ。」

リーダーである“シリウス”が止めた。

【騎士】のサーガに、

「どうかした??」

そう問われて、

「いや、さっき…、紙? みたいなのがドロップされていたみたいでよ……。」

シリウスが、答えつつ、[イベントリ]を操作したのである。

「あー、やっぱ、これ(・・)かぁ。」

「え~っと??」

「説明文によれば、〝契約の書〟つーアイテムで、〝召喚士だけが扱える〟ってなってんな。」

「て、事で…。」

「サキに送るから、確認してくれ。」

このように伝えるシリウスであった。

〝ふむ〟と頷いて、出現させた[横長の超薄型画面]をチェックしたサキが、

「“ダークドック.Jr”を使役できるようになるらしい。」

「ただし、名前を付けてあげないといけないみたいだね。」

「……、知ってのとおり、アタシは、こういうの苦手だから、誰か代わりに考えちゃくれないかい?」

「補足として、性別は“メス”とのことだよ。」

そう述べたのである。

パーティーメンバーが〝うぅ~ん〟と頭を捻る流れで、〝ハッ!〟としたシューラが〝シュパッ〟と右手を挙げた。

「何か閃いたようだねぇ。」

サキと目が合ったシューラが、

「ダークドックジュニア…、略して、ダクドニア!!」

なんだか楽しそうに告げたら、

「良いんじゃないかしらぁ~。」

「素敵よ、シューラちゃん。」

【白魔術士】たるセイランが、軽く〝パチ、パチ、パチ、パチ〟と拍手したのである。

「他に意見がないようであれば、それに決めるけど……、構わないかい??」

サキが尋ねたら、仲間が首を縦に振ったのだった。


現在のサキが、カラドリウス以外の“サーヴァント”を()び寄せられている制限時間は1分である。

これを過ぎると、自動的に消えるらしい。

なお、[リキャストタイム]は5分との事だ。


ちなみに、[Team S]におけるカラドリウスの名は“ラウス”である。

それもまた、シューラの案だったらしい。


とにもかくにも。

「じゃあ、出発するか。」

シリウスに従って、改めて西へと向かう一同であった…。



[イッチューズ]は、“南の門”あたりに【瞬間移動】している。

暫く“大通り”を北上しつつ、周囲を観察したところ、頭上に[金色のダイヤマーク]が浮かんでいる“若い男性”を見付けたのだった。

彼によれば、

「今は、まだ、ここら辺に猫はいないよ。」

「近所に住んでるネコ嫌いの名物じいさんが、すぐに追い払うから。」

「ただ、深夜になると、その爺さんが寝静まっているのが分かるのか、あちらこちらから猫が集まってくるみたいだね。」

との話しである。

「んんー。」

「……。」

腕を組んで、悩んだヤトが、

「一度、図書館に戻るとすっか。」

[MAP(マップ)]を開いたのであった。


ヤトたちが“図書館の南側”に[テレポート]するなり、夜を迎え、満月と星々が現れたのである。

「結構キレイねぇ。」

カリンを軸に、セブンとエイトの女性陣が感心していたら、

「フィールドであれば、もっと幻想的なはずだぜ。」

こう教えたヤトが、

「さ、それよりも…、“シャトルリュー”を探そうぜ。」

皆に声をかけたのだった。


[イッチューズ]が、図書館の外側を回っていく。

周囲の住宅からは(あか)りが漏れている。

また、幾つかの“篝火(かがりび)”が、点在していた。

「なんか、肌寒いんだけど、気の所為かな?」

セブンが呟き、

「あぁー、若干だけども風が吹いてるよ。」

ニケが伝えたところ、

「え?!」

「そうなの??」

カリンが目を丸くしたのである。

「ん。」

肯定したニケが、

「過去作と一緒なら、雨が降る日もあると思う。」

「あと、国によっては、気温が高かったり低かったりと、それぞれ特徴が異なっているだろうね。」

そのように語ったら、

()って……、“濡れる”っていうこと?」

エイトが疑問を投げかけたのであった。

「感触はあるけど、実際に濡れるわけじゃないよ。」

優しく告げたのは、無論、クマッシーだ。

これに、少女三人組が〝へぇー〟と理解を示したのである…。


建物の西側にて。

あれ(・・)、ネコ達じゃない??」

セブンが、北西を指差した。

その方角を全員が注視するなかで、

「ゆっくり近づこう。」

「こっちが走ったりすると、驚いて逃げられるかもしれないから。」

クマッシーが提案したのである。

これによって、誰もが〝そぉ~っ〟と距離を詰めていたのだった。


木陰に(たむろ)している猫の数は、15匹前後といったとこだろう。

そんな“ニャンズ”を慎重に確認してみたものの、

「ダメだな。」

お目当てのシャトルリューは居なかったらしく、ヤトが渋い表情になったのである。

「どうする?」

「また、“南の大通り”に行ってみるか??」

ニケに訊かれて、

「うーん…。」

「だなぁ。」

同意したヤトが、

「今度は、中央広場から南下してみようぜ。」

気分転換を促す。

これに、

「いいわね。」

カリンと、

「うん、そうしましょう。」

エイトや、

「僕も“オッケー”だよ。」

クマッシーが、賛成した事で、新たに[テレポーテーション]を発動するリーダー(・・・・)であった―。


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