№117 ワイバーン討伐戦①
[Team S]は【HP】や【MP】に【SP】をポーション類で回復し終えた。
そうして、“リーダーのシリウス”が、
「オレたちはOKだ。」
「すぐにでも出発できる。」
“40代前半の男性である隊長”に声を掛ける。
「……、よし。」
「では、向かうとしよう。」
こう“隊長”が喋った次の瞬間、誰もが暗闇に包まれた…。
2秒後。
明るくなる。
パーティーメンバーは[火トカゲ]に跨っていた。
どうやらゲームのシステムによって自動的に乗せられたみたいだ。
眼前には二百人の兵士が整列している。
先頭で、
「ぜんッしぃーん!」
そう命じて小走りで駆けだした隊長に、兵達が続く。
勿論、最後尾の[Team S]も……。
ゲーム内はPM14:30 現実ではAM11:25ぐらい。
目的地付近で、
「止まれぇー!!」
隊長が指示を出す。
いくらか離れた位置にワイバーンらを確認できる。
ソイツラは、砂地や、山の一合目あたりに、屯していた。
山脈は溶岩が固まって出来たらしく、ゴツゴツしていて、黒い。
ワイバーンは、ざっと六体いるみたいだ。
どれも、皮膚は赤く、前足の部分が翼になっており、ツノは無い。
こうした連中が、攻撃態勢に移る。
いささか湾曲している武器[シミター]を掲げた隊長が、
「怯むなぁ!」
「かかれぇいッ!!」
そのように号令した事で、兵らが全力でダッシュを始めた。
シューラなどが、[火トカゲ]を走らせだしたタイミングで、二体のワイバーンが低空飛行してくる。
躱しきれなかった約40名の兵士たちが、弾かれた。
ここに、別の二体が徒歩で寄って来る。
そんなワイバーン達は、尻尾を含めた全長が10Mありそうだ。
ともあれ。
先程のワイバーンの一体が〝ぐるん!〟と回転しつつ、尾で10人の兵を薙ぎ倒す。
もう一体はクチから1.5M大であろう【火の玉】を放ち、5名ほどの兵隊を〝ボウッ!!〟と燃やした。
こうしたなか、“サキ”が全てのサーヴァントを召喚していく。
その最中、“ガンナーのスイ”は、向かって右端のワイバーンへと、【ストップムーブ】を用いて[ライフル]を発砲する。
右後ろ足に[弾丸]がヒットした個体の移動が止まったところで、シリウスが振り返って、
「サザミン!」
「隣のヤツを混乱させてくれ!!」
このように頼んだ。
それによって、すぐさま【スキル】を付与した彼女が、「りょー」と言いながら弦を引き、「かい!」で[矢]を射った。
鼻あたりに直撃したワイバーンは、自身の左隣にいる仲間に頭突きする。
右脇腹にくらった個体が若干ふらついたところで、[Team S] が距離を詰めてゆく。
流れで、“少女剣士のシューラ・アサシンのシエル・武士のソリュウ・騎士のサーガ・武闘家のサイザー”が[火トカゲ]から降りた。
さて。
ここからは、ワイバーンたちの呼称を“A/B/C/D”としよう。
それを踏まえ、【ストップムーブ】の効果が切れたDの左顔を、キラービーの“ラービー”が[針]で刺す。
痺れてしまったDの左後ろ足に、サイザーが【正拳突き】を当てる。
右後ろ足には、ソリュウが【逆袈裟斬り】を見舞った。
こうしたなか、Cの【混乱】がタイムリミットを迎える。
正気に戻ったCの右翼を、シエルが[サイフォス]で切った。
どうやら【麻痺】を発動していたらしい。
そこに、砂の所為でいくらかスピードが落ちながらも駆け寄ったシューラが、Cの右後ろ足へと、【二連突き】を繰り出す。
Dの左後ろ足には、サーガの【一点集中】がクリティカルヒットした。
なお、兵士らはAやBと戦っている。
しかし、あちらは、劣勢であった―。