№116 危殆に瀕す①
闘技イベントにおける[Eランク]の推奨は“LV.15”である。
現在のレベルが14~15である[Team S]が、これに挑む。
結果、どうにか勝利を収めた。
ゲーム内でのPM14:20頃。
窓口で[賞金]と[賞品]を貰う。
それらは1人につき[金貨五枚&宿屋代半額券五枚]だった。
「じゃぁ、ギルドに行ってみるか?」
こう提案した“シールダーのシリウス”を先頭に、一同は[コロッセウム]から外に歩いて出る。
その頃。
王都の西に在るオアシスを奪い返すために[イッチューズ]が戦っていた……。
▽
【テレポート】した[サウスイーストギルド]にシューラ達が入る…。
そこの[受付]にシリウスが声をかけた。
こうしたところ“男性のNPC”に、
「大変なことが起きています。」
「王国の南東、山の麓あたりにワイバーンの群れが現れたそうです。」
「通行していたキャラバンなどが襲われたらしく、厳戒態勢が敷かれました。」
「ここ王都や、南の町から、兵隊が向かっていますが、負ける危険性のほうが高いようです。」
「そのため、冒険者の方々に協力してもらうべく、国から依頼がきています。」
「ここまで御理解いただけましたでしょうか?」
「もう一度お聞きになりますか??」
そう質問され、
「いや、大丈夫だ。」
シリウスが答えた。
「そうですか……。」
「ちなみに、報酬は、お一人につき金貨20枚となっています。」
「なお、期限はございません。」
「この案件を、お受けになりますか?」
こう確認された“リーダーのシリウス”は、後ろの仲間を窺う。
“騎士のサーガ”が、
「やるしかないだろうね。」
そのように述べ、誰もが賛成した事で、
「手続きを頼む。」
シリウスが“窓口の男性”に告げる。
すると、
「では、少々お待ちください。」
「…………。」
「こちらを隊長に渡していただければ理解してもらえますので、よろしくお願いします。」
[証明書]を差し出してくる“NPC”であった…。
▽
シューラたちは、[南の町]に【瞬間移動】している。
ここから、[東門]を抜け、砂漠に待機していた[火トカゲ]に跨るのだった……。
南東に赴いた[Team S]は、半日以上が過ぎた頃に、[野営地]へと辿り着く。
なお、ゲーム内はAM08:25 現実はAM11:20あたりだ。
太陽に照らされるなか、“アサシンのシエル”が、
「あれ、金色のダイヤマーク。」
ふと気づく。
シューラなどの左斜め前に、他の兵隊よりも少なからず立派な装備品を纏った“男性”が佇んでいる…。
一同は[火トカゲ]から降りた。
そうした流れで、シリウスがギルドで渡されていた[用紙]を“40代前半の男”に提示する。
これを開いて黙読した男性が、
「おー、参加してくれるのか??」
「それはありがたい!」
笑顔になった。
そうして、
「ひとまず説明させてくれ。」
男は状況を語りだす……。
この“隊長”によれば、国の最西端から東にかけて山脈が連なっているのだそうだ。
最東端は馬車5台ぶんのスペースが空いており、[荒野]になっていた。
山脈の向こう側には[別の王国]が存在しており、“行商人”や“旅の者”が陸地を往来するのであれば、そこを通るしかない。
更に東は断崖で、海が広がっている。
ちなみに、船でも貿易しているとの話しであった。
あと、野営している兵は200人とも…。
とかく。
「ここから徒歩で4時間ほど南に進んだ所をワイバーンどもが封鎖している感じだ。」
「そっちの準備が整い次第、すぐに出発するから、今のうちに回復とかを済ませてくれ。」
こう隊長が伝えてくる。
それによって、個々に[アイテムボックス]からポーション類を選びだすパーティーメンバーだった―。