№115 玉響③
ゲーム内はAM07:00で、現実はAM10:55あたり。
モンスターらの討伐を終えた[Team S]は、外に出ている。
内容としては[フラルン帝国の宝石洞窟]とあまり変わらない。
出現する魔物たちが異なるぐらいだ。
ただ、まぁ、例の如く“魔人の少年少女”が存在していた。
“ウルフカットの男子”は[ハルバード]で、“ロングヘアの女子”が[クレイモア]である。
“親方”を護りつつ、そうした敵どもを殲滅し、[エジット王国のカラーストーン洞窟]を攻略したのだった。
この結果、全員のレベルが1つずつアップしている。
貰った報酬を分配した“リーダーのシリウス”が、
「一旦、王都に戻って、宿屋で休憩するか?」
「他の店とかはまだ開いてないだろうし。」
皆を窺う。
反対する者がいなかったので、【テレポート】するシリウスであった…。
▽
ゲーム内でのAM09:00頃。
宿に泊まっていた[Team S]は、ギルドを巡る事にした。
しかし、二つとも新たな依頼はなかったようだ。
(これからどうしたものか??)と誰もが考えだしたところ、
「“闘技場のイベント”に参加しようぜ!」
“武闘家のサイザー”が嬉々として提案する。
「あー。」
「じゃ、まずは“換金所”と“道具屋”に赴こう。」
そのように方針を定めたシリウスは、改めて【瞬間移動】するのだった……。
▽
いろいろと済ませた流れで、コロッセウム内に入る。
すると、その廊下にて、15歳くらいの少年が、
「おかしいだろ?!!」
「こっちは“Team B”だぞ!」
「負けるなんて、ありえねぇッ!!」
こう喚いていた。
身長は168㎝あたりで、“オールバックの髪”や“眉”に“瞳”はブラウンだ。
装備からして【騎士】であろう。
そんな彼の背後には、仲間らしき人々が立っている。
こうしたなか、正面に対する少女が、
「実際に勝てなかったんだから仕方ないじゃない。」
「素直に認めなさいよ。」
「みっともないから。」
そのように返す。
こうした“黒魔術士の女子”の後ろにも佇んでいる人らがいた。
シューラ達は、それらの顔ぶれを見たことがある。
以前この王都で遭遇した[Team C]だ。
なにはともあれ。
「んだとッ??!」
怒りが爆発しかけた男子を、
「もうそこら辺にしておけ。」
「罰せられるぞ、“女神様”に。」
同じパーティーである30代前半といった“戦士の男性”が止めた。
更には、
「そうよ。」
「いい加減に落ち着きなさい。」
20代後半らしき“白魔術士の女性”が窘める。
そこから、「すまなかったな」や「ごめんなさいね」と謝ったメンバーが、
「ほら、行くぞ。」
“オールバックの少年”を連れて、この場を離れだす。
ちなみに、男子は、不服そうだ。
こうした状況にて、
「あら?」
「いつだったか、会ったわよね??」
先程あの少年と言い争っていた“黒髪でポニーテールの少女”が、シューラに気づいた。
“剣士のシューラ”が〝ん〟と頷いたところで、
「大丈夫か?」
「口論になってたみたいだけど。」
そうシリウスが尋ねる。
これに、40代半ばぐらいだろう“武士の男性”が、
「あぁ、問題ない。」
「ありがとな。」
穏やかに返した。
「何があったの??」
素朴な疑問を投げ掛けたシューラに、
「試合を申し込まれたから、受けて立ったのよ。」
「で。」
「私たちに敗北したところ、アイツが噛み付いてきた、というわけ。」
「ほんと、いい迷惑よね。」
“ポニーテールの女子”が苦笑いする。
そうして、
「じゃ、私達はこれで。」
「いつかまた、ね。」
優しく述べた“黒魔術士の女子”が、仲間と共に去ってゆく。
これを眺めつつ、
「イベント参加の手続きを済ませようか、俺たちは。」
“騎士のサーガ”に勧められた事で、一同は[Eクラス]に挑むのであった―。