№113 諸般⑧
“窓口のNPC”に、
「では、詳細に入ります。」
「王都から徒歩で二日ほどの最南端にカラーストーン洞窟があるのですが、そこに魔物が住み着いてしまい、作業できなくなった鉱員の方々が困っているそうです。」
「カラーストーンは、この国における資金源の一つなので、洞窟を奪還していただけると非常に助かります。」
「ここまで御理解いただけましたでしょうか?」
「もう一度お聞きになりますか??」
そのように伺われ、
「んあ?」
「フラルン帝都でも似たような依頼があったな。」
ふと呟いた“シールダーのシリウス”が、
「まぁ、いい。」
「話しを先に進めてくれ。」
こう告げた。
それによって、
「そうですか……。」
「ちなみに、報酬は、お一人につき金貨10枚となっています。」
「なお、期限は四日です。」
「この案件を、お受けになりますか?」
こう確認される。
後ろを振り返ったリーダーに、
「いいと思うわよ。」
“アサシンのシエル”が述べた。
誰も反対しなかった事で、
「じゃ、手続き、よろしく。」
“受付の女性”にシリウスが声をかける……。
クエストを発注してもらった[Team S]は、外に出た。
そこから[換金所]に【テレポート】して不用品などを売却した後、[道具屋]へと渡る…。
「HPとかの回復は、ポーション類で済ませるか??」
こうシリウスが尋ねたところ、
「ご飯にしてみない?」
“ガンナーのスイ”が提案した。
それに全員が賛成したので、[飲食店]に【瞬間移動】する……。
テーブルに配膳されているのは[パン/コシャリ/ターメイヤ/ムルキーヤ/ハマム・マシュイ/ダウ―ドバシャ/ケバブ/マハラベイヤ]だ。
他に[飲み物]がある。
こうして、暫し団欒する[Team S]だった…。
▽
[エジット王都]の南門あたり。
夜のフィールドにて、スカーフをマスク代わりにしている皆が、[火トカゲ]に跨る。
「それじゃぁ、行こうぜ。」
シリウスの指示で、出発しだす。
おさらいとして。
[火トカゲ]は、フクイラプトルという恐竜に似ており、皮膚が赤い。
砂を蹴って〝ぐんぐん〟と走る[火トカゲ]に、“少女剣士のシューラ”が「おぉー♪」と、“少年黒魔術士のソソ”が「うわぁ~♬」と、瞳を輝かせる☆
2人以外のメンバーも、楽しそうにしていたり、気に入ったようだ。
その数十秒後、魔物たちと遭遇した。
“接近型の面子”が[火トカゲ]から降りるなか、“サキ”がサーヴァントを召喚する。
こうして、バトルが始まった。
なお、[火トカゲ]は、オートで、クチから【火の玉】を発したり、尻尾で敵を薙ぎ払ったりして、モンスターらと戦っている……。
一方その頃。
[イッチューズ]は、王都を目指して南下していた。
すっかり機嫌が直っている“アーチャーのカリン”は絶好調だ。
逆に“戦士のニケ”は精細さに欠けている。
そんな[中学生六人組]は、ユニコーンがバテたので、自ら歩いていた…。
▽
魔物集団を殲滅して何分か経っている。
「冷え込んできたな。」
こう喋ったのは“武闘家のサイザー”だ。
「確かに。」
頷いた“騎士のサーガ”が、
「シリウス。」
「寒くなりすぎる前に休憩しないか??」
そのように意見した。
「あー、そうだな…。」
「よし。」
「テントを張って、ログアウトすっか。」
こうしたリーダーの考えに、誰もが従う。
更には、
「朝の九時に再開したいから、それまでには戻ってこようぜ。」
そうシリウスが伝える。
補足として、現在のゲーム内はPM20:55ぐらいであった―。