№112 沈静①
頭領たる“人間の男性騎士”と、“人間の男性戦士”が、跪いて項垂れた。
そうした彼らは、装備ごと半透明になっている。
【戦闘不能】に陥ったようだ。
ここまで“女性ガンナーのスイ”と“女性アーチャーのサザミン”による攻撃を[大楯]で阻んでいた敵に、他のメンバーが迫りゆく。
ただし、“女性白魔術士のセイラン”や“女性召喚士のサキ”は、待機している。
その二人の前方へと“リーダーのシリウス”が移動した。
万が一に備え、彼女達を護るために。
けれども、どうやら心配はなかったようだ。
対する“人間の女性シールダー”もまた、“少女剣士のシューラ”などによって、【戦闘不能】となったので。
[Team S]が勝利に安堵して〝ふぅー〟と息を吐いたところで、外から勢いよく扉が開かれる。
流れで十名ほどの兵が駆け足で突入してきた。
最後に徒歩で入ってきた“人間の男性”は、装着している[防具]が若干は立派なので、きっと隊長だろう。
室内に広がるようにして整列した兵隊が止まるなり、
「これは、どういう状況だ??」
このように喋った隊長の頭上に[金色のダイヤマーク]が現れる。
シリウスが代表して、
「あんたらは?」
質問したところ、
「この建物から争う音が響いてくると、近隣の住民による報せがあったので、出動して来た。」
「何があったのか説明してくれ。」
そう述べた。
「あー。」
「オレたちは犯罪集団を倒したんだ。」
簡略的にシリウスが答えると、
「……。」
「つまり。」
「コイツラが最近いろいろと悪さを働いていた連中ということか??!」
一旦は驚いた隊長であったものの、
「お手柄だったな!!」
〝ニカッ〟と笑みをこぼす。
次の瞬間、シューラ達は闇に包まれる…。
2秒後。
[Team S]の視界が戻った。
屋外に移っているようだ。
あれから太陽が一層に沈んでいる。
空は薄暗くなっており、町には[篝火]が灯されていた。
[犯罪組織の一同]は、上半身を縄で縛られた状態で立たされている。
こうしたところで、
「我々の調べでは、別室に、盗んだ物と思われる品がいくつもあった。」
「自分はそれらをギルドに持って行く。」
「君たちの事を証言してあげるので、むこうでまた会おう。」
そのように語った隊長が、
「では、あとで。」
【テレポート】した。
これによって、
「じゃ、オレらも。」
シリウスが[画面]を開く……。
▽
[サウスイーストギルド]の玄関あたりに、隊長が佇んでいる。
シリウスを認識すると、
「よし。」
「参ろうか。」
踝を回らして、建物内へと進みだしたのである…。
“窓口のNPC”と何やら話した隊長が、
「それでは、自分は失礼する。」
「犯罪者どもを一網打尽にできたこと、改めて感謝いたす。」
そうシリウスに伝え、この場より去ってゆく。
「えっと……。」
「報酬、貰えるんだよな?」
シリウスが[受付]に確認したら、
「ご苦労さまでした。」
「こちら、金貨になります。」
女性が[革袋]を差し出してきた。
これをシリウスが掴んだタイミングで、
「現在、新たな依頼がございますが、お聞きになられますか?」
そのように女性が尋ねてくる。
シリウスが振り返って窺ったところ、仲間達が頷いた。
よって、正面を向き直し、
「それじゃ、念のため。」
こう“窓口の女性”に声をかけた。
ちなみに、先ほどの戦いによって全員が1つずつレベルアップしている―。