№108 懲らしめるべく①
薄暗くなっていきつつある夕暮れ時。
“戦士の男性”が[木製ドア]を開けながら、
「付いて来い。」
[Team S]に指図する。
そうした戦士と共に“シーフの青年”が〝ニヤニヤ〟しながら屋内へと入りだす。
「いきなり攻撃されるかもしれないから、ここは俺が最初に。」
仲間に告げた“リーダーのシリウス”が、男たちに続く。
「では、重装備の我々も、先に行くとしよう。」
“武士のソリュウ”に声をかけられ、“騎士のサーガ”が頷いた。
ここから、なんとなく防御力が高い順で足を進める…。
それなりに広めの[フロア]は、天井も壁も床も[石造り]だ。
ただし、梁や柱であったり、部屋の奥に在る扉と階段は、[木製]であった。
これら以外に、幾つか見受けられる[丸テーブル]と[椅子]も、木で作られたものだ。
その何脚かの椅子には、人間や半獣の男女が座っている。
“剣士らしき男性”が、
「何事だ?」
こう訊ねたところ、[Team S]の正面にいる戦士が、
「俺らの活動内容を知られちまったみてぇだから、口を封じとこうと思ってな。」
そのように伝えた。
これによって、お酒を飲んでいたソイツラが立ち上がる。
全員で8人はいるみたいだ。
そうした流れで、
「おい。」
「頭領を呼べ。」
戦士に指示されたシーフが、小走りで離れていき、階段を駆け上がる。
この間に、
「くッ。」
「また体が動かねぇ。」
“武闘家のサイザー”が眉間にシワを寄せながら呟いた。
再び自動でストップが掛かっているらしい。
数秒後。
さっきの盗賊はもとより、新たな男女5人が二階からゆっくりと下りてくる。
[騎士みたいな鎧]を纏っている男性は、威厳を感じられるので、“頭領”なのだろう。
その男が、一階に辿り着いたところで、
「やっちまえ。」
こう命令した。
犯罪集団が戦闘態勢に移るなか、シューラ達が自由になる。
すぐさま、
「ダクドニア!」
「リン!」
「メラービ!」
「ディズオン!」
「ラウス!」
最後尾のサキが“サーヴァント”を喚ぶ。
そうして、バトルが開始された。
ちなみに、室内は手狭になっている。
いずれにしろ。
戦士が振るう[バトルアックス]を、シリウスが[大楯]で受け止めた。
ソリュウは“虎であろう半獣の女騎士”と刃を交える。
“人間の男性アサシン”に翻弄されているのは、サーガだ。
これを“ガンナーのスイ”が射撃で救援した。
ダッシュしてきたシーフには、“少女剣士のシューラ”が対応している。
他にも、人間の男である剣士と、“狸の半獣らしき女性武闘家”が、近づいてきた。
そうして、サイザーが剣士と、“アサシンのシエル”が武闘家と、闘いだす。
一方、階段の途中あたりから、“狐の半獣であろう男性ガンナー”が[リボルバー銃]を発砲した。
なお、階段は、側面が壁にくっついており、シューラなどから見て左から右に上がる形状となっている。
この階段の下に[別室に繋がるドア]が設けられていた。
それはさておき。
弾丸がシエルの左肩にヒットする。
「ぐッうッ。」
表情を歪める彼女に、
「ソロヒール。」
“白魔術士のセイラン”が【回復】を施す。
これで、シエルは、傷が治り、削られたHPは戻ったものの、どうやら【スロー】が付与されていたらしく、動きが通常の二割は遅くなっていた。
その所為で、“狸の半獣”による[パンチ]や[キック]をまともにくらってしまう。
よって、
「インタフィア・リリース。」
急ぎ【障害解除】も使うセイランだった―。