№105 行ったり来たり②
合言葉を教えてくれて、
「それじゃぁのッ!」
〝ニカッ〟とした“男性老人”が、去っていく。
そうしたところで、
「皆、覚えたか??」
“リーダーのシリウス”に確認され、仲間が頷いた。
これによって、
「よし。」
「じゃ、もう1回、飲食店に入ってみよう。」
シリウスがメンバーを促す…。
“二代目 リーハ”の頭上に改めて[金色のダイヤマーク]が現れている。
「なぁ? いいか??」
再びシリウスが声をかけると、
「ん?」
「また来たのか??」
「仕方ない。」
「では……、弱火で?」
リーハが訊いてきた。
「コトコト。」
すかさずシリウスが返したら、
「ふむ…。」
「中火で??」
更に質問してくる。
「グツグツ。」
またもやシリウスが答えたところ、
「ほぉう。」
感心した様子のリーハが、
「……、強火で?」
そのように尋ねてきた。
「えっと…、あれ?? なんだったけ?」
首を傾げたシリウスの左斜め後ろから、
「グラグラ、よ。」
“アサシンのシエル”が述べる。
これによって、
「うむ!!」
「全て間違いない!」
そう認めたリーハが、
「で、何を知りたい??」
「本来であれば情報料として銀貨5枚を貰うところだが、初顔だから2枚で構わんぞ。」
このように告げた。
「ここでもカネを払わないといけねぇのか。」
目を細めたシリウスの正面に、
銀貨2枚を渡しますか?
・YES
・NO
そう書かれた[画面]が自動で展開される。
「ま、〝イエス〟しかねぇよな。」
シリウスが選択したら、
「……、確かに。」
「それじゃぁ、なんでも聞いてくれ。」
こうリーハが促す。
「んじゃ、王都で頻発している犯罪について。」
シリウスが伝えると、
「あー、最近、荒らしまわっている連中か。」
「それなら、アジトを教えてやる。」
「地図に印を付けるから少し待っててくれ。」
「…………。」
「おし、できたぞ。」
「また何かあったら、利用してくれな。」
そのように喋ったリーハの[ダイヤマーク]が消えた。
「取り敢えず、行ってみっか??」
シリウスの勧めにて、“少女剣士のシューラ”などは再び屋外へと向かうのだった…。
[MAP]を開き、
「……、闘技場からが最も近いようだ。」
こう呟いたシリウスによって、[Team S]が【テレポート】する…。
渡ったのは、[コロッセウム]の南側みたいだ。
[地図]を見つつ、
「こっちだ。」
「付いて来てくれ。」
歩きだしたシリウスに、誰もが続く。
南東にやや進むと[宝石店]が在った。
その左側に面した道へと入る。
幅は2Mあたりだ。
人間や半獣などが往来している。
更に南東へと向かい、途中で左に曲がった。
ここは、まさに[路地裏]といった感じで、1人分の幅しかない。
そのまま東へと歩き、今度は右に折れる。
道幅は1.5M程になっていた。
これを南に進むと、何本もの細道が見受けられる。
「左から二番目だ。」
そう述べたシリウスを先頭にして、またも南東へ歩く。
縦一列で、
「こいつぁ、迷子になりかねないな。」
眉間に軽くシワを寄せた“武闘家のサイザー”に、
「ラビリンスってやつね。」
“ガンナーのスイ”が頷いた。
「次は、こっちだ。」
ふと告げたシリウスによって、[Team S]は南への脇道に向かう。
少し行ったところで、道幅が徐々に広がり、3Mぐらいになった。
両サイドには、当然、建物が並んでいる。
どれもこれもが[石造り]だ。
こうしたなか、
「お。」
シリウスが左斜め前方の男性に[金色のダイヤ]が浮いていることに気づく。
その男は、とある家屋の玄関で仁王立ちになっていた。
まるで侵入者を阻もうとしているかのようだ。
ちなみに、家は、二階建てである。
さておき。
男性は、褐色肌で、ガタイがいい。
[薄鉄の甲冑]を装備しており、逆さに立てた[バトルアックス]の先端に両手を置いていた。
察するに【戦士】であろう。
こうした男に、
「オレ達は、犯罪組織を探しているんだが…。」
シリウスが話しかける。
すると、
「あぁん?!!」
いきなり凄んできたのであった―。