№100 オアシスでの攻防戦・序
砂丘の頂上から[オアシス]が見える。
まだ距離があるようだ。
その[砂丘]を降って、なおも進む……。
割と広いオアシスの周囲には、まばらに木々が生えている。
こちらに気づいた魔物らが、向かって来だす。
改めて、鎌形の剣身といった武器の[ケペシュ]を右手で掲げ、
「止まれぇー!!」
「ここで迎え撃つ!」
そう命令した“褐色肌の女性指揮官”によって、ストップした全員が構えだした…。
モンスターは、“サンドワーム・|ディザートビッグリザード《砂漠の大トカゲ》・|ディザートポイズンスコーピオン《砂漠の毒サソリ》・サンドクラブデビル・サンドグラスホッパー・|ディザートウィーヴィル《砂漠のゾウムシ》・サボティンガー”だ。
これらの面子と戦闘が開始される。
が。
兵隊の多くは完全に押されていた。
“武闘家のサイザー”が後ろを振り返り、
「この状況……、どうする?」
素朴な疑問を投げかけたところ、
「取り敢えず、魔法やスキルでの遠距離攻撃が可能なメンバー、頼む!!」
「他は、ひとまず待機!」
「サキも、まだサーヴァントを喚ばずに!!」
そう“リーダーのシリウス”が指示する。
これに、“少年黒魔術士のソソ/ガンナーのスイ/アーチャーのサザミン”が応じてゆく…。
数十秒後。
兵たちが徐々に亡くなりだす。
それによって隊列が崩れ、いくらかの魔物が[Team S]に迫ってきた。
「倒すぞ!!」
“シールダーのシリウス”による号令で、皆がバトルに参加してゆく。
こうしたなか、“サキ”は、当然、【召喚】を行なう。
ちなみに、サーヴァントの活動時間は1分だったのが、サキのレベルが10を過ぎたことで、2分になっている。
それと、5分だった[リキャストタイム]は、4分となっていた……。
暫く経ち、兵士の半数くらいが命を落としている。
“女隊長”は無事だった。
彼女を中心に、まだ生きている兵らは、奮闘している。
草場がなく、砂に足を取られるなか、[Team S]と[ユニコーン達]も善戦していた。
敵側は四割ほどが死滅している。
[銅製ハリケーンナックル]の右手で、
「ぅおッらッ!」
【正拳突き】を当て、“砂漠の大トカゲ”にダメージを与えるのと共に1M程ノックバックさせたサイザーが、
「限りが無ぇな。」
眉間にシワ寄せた。
この近くで、“サボティンガー”に【一点集中】を用い、サイザーと同じ効果をもたらした“騎士のサーガ”が、
「それでも着実に減っている。」
「この調子でいこう。」
そう励ます。
これによって、
「サーガの言う通りだ。」
「皆、頼んだぞ!!」
パーティーを鼓舞するシリウスであった…。
更に時が過ぎている。
兵士たちは25人ほどまでに減少していた。
モンスターは、あと30体くらいだ。
そのなかに“魔人の少年少女コンビ”が見受けられる。
どちらの背丈も150㎝といったところであろう。
こうしたなか、“白魔術士のセイラン”が仲間に【ソロヒール】や【インタフィア・リリース】を施していく。
“少女剣士のシューラ”は“砂蟹悪魔”に【二連突き】を、“武士のソリュウ”が“砂漠のゾウムシ”に【逆袈裟斬り】を、各々に扱う。
リキャストタイムを終えたサキが、
「ダクドニア!」
「リン!」
「メラービ!」
「ラウス!」
再び喚びだす。
それを合図とばかりにラストスパートを掛ける[Team S]だった―。