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Arousal of NPC‘s  作者: ネコのうた
Chapter 1/最初の国
10/129

№10 ひと悶着

40代前半の女性騎士・40代後半の男性アサシン・50代半ばの男性アーチャーを連れたゾースが、

「ザイラ!」

「そっちはテメェに任せてやっから、負けんじゃねぇぞ!!」

10Mほど後方へと走っていく。

これを受けた[剣士のライザ]は、

「近距離型は前へ!」

「他は、それを支援してくれ!!」

急ごしらえながらも陣形を整えていった。


[小太りの男性NPC]を襲っていた魔物らが、標的を変えようとしている。

残りの三人は、

「ひぃッ!」

「こっちに来るな!!」

といった感じで、うろたえていた。

そこへ、

「うぉらぁッ!」

[戦士のゾース]を筆頭とした4人が、モンスター達に攻撃していく…。


ライザたちの方は互角に渡り合っていたものの、一体の[食人花]が吐いた“ピンク色の霧”によって、3人が寝てしまったみたいだ。

しかし、魔物らにダメージを与えられたことで、目を覚ました。

ここからは、ライザが指示を出していき、どうにか連係していったのである。


ときに魔法やポーションで回復しつつ、敵を殲滅した[Team(チーム) Z(ゼット)]が、“ノンプレイヤーキャラクター”のもとに集まったところで、

「調査員の一人が命を落としてしまったので、ここで終了じゃ。」

「当然ではあるが、報酬は支払えん。」

「儂らは帝都に戻る故、お前さんがたは好きにせい。」

「それではのッ。」

そう喋った団長が、仲間と共に[テレポーテーション]した。

怒りで〝ワナワナ〟と震えたゾースが、

「もう一回だ!」

「オレたちも都に帰るぞ!!」

パーティーメンバーに告げたのである……。



[西通り]の途中で、

「あ!」

「ヤト、ほら、“ダイヤのマーク”じゃない??」

【シールダー】たるクマッシーが、“中年の女性”を指差した。

「んん~?」

これを目で追った【武士】のヤトが、

「おおー!!」

「本当だ!」

「ナイス、クマッシー!!」

満面の笑みを浮かべる。


[中学生男女6人組]は、小走りで女性に寄っていた。

「あのッ!」

「猫…、“シャトルリュー”について聞きたいんだけど。」

ヤトが声をかけたら、

「なんだい??」

「ネコだって?」

「そうだねぇ……。」

「南東地区の図書館あたりで、猫たちが集会を催しているとか、そんな噂を耳にした事があるわよ。」

そのように教えてくれたのである。

これにて、

「よし!」

「早速、テレポートしようぜ!!」

[超薄型画面]を開くヤトであった…。



【白魔術士】たるゼシュー達は、ゾースの我儘(わがまま)によって、再び[ノースイースト(北東)ギルド]に訪れている。

「改めて、遺跡調査団の護衛を受注するという事で、よろしいでしょうか?」

[受付嬢]に確認されたゾースが、

「ああ、そうだ!」

イラつきながら返す。

「それでは詳細を説明させていただきます。」

「こちらの依頼は、一度、失敗なさっていますので、報酬が半分となります。」

「内訳としましては一人につき金貨2枚です。」

「それでも、よろしいですか??」

[女性NPC]に確認されるゾースの右隣で、

「ええ~?」

「やっぱりぃ、“探し物”がいいんじゃなぁい??」

「だってぇ、遺跡に行くってことはぁ、〝冒険する〟というわけでしょぉ?」

「いきなりは危険かもよぉー。」

〝金髪ロングあざと可愛い系〟の[女性アーチャー]が述べ、

「じゃあ、キエラの意見を採用するかぁ。」

「なんてたってボクらのリーダーなんだしぃ。」

〝茶髪ショート〟たる[男性ガンナー]が応じた。

「でもぉ、クーガたちが、遺跡のほうがいいんだったらぁ、そぉうするよぉ~。」

キエラが伝えたタイミングで、我慢できなくなったらしいゾースが、窓口のカウンターを、両の(てのひら)で〝バンッ!!〟と叩き、

「さっきからゴチャゴチャうっせぇぞ!」

「迷惑だから、余所(よそ)でやりやがれ!!」

ブチギレたのである。

それを、

「なぁに?? この人ぉー。」

「チョー恐いんですけどぉ。」

キエラが茶化す。

「んだとッ!?」

今にも殴りかねなさそうなゾースに、

「どこの誰かは知らないけど、やめてもらえ」と言いかけて黙ったクーガが、

「…………。」

「へぇー、君たちも(・・・・)、そうなんだぁ。」

〝ニィ〟と笑みを浮かべた。

「あん?!」

眉を段違いにしたゾースの背後で、

「どうやら、貴方も“女神様の愛子(まなご)”のようですね。」

ゼシューが、クーガに伺ったのである。

「まぁねぇ~。」

〝ヘラヘラ〟しながら肯定したクーガは、

「うるさくしてしまったのは悪かったよ。」

「すまなかったねぇ。」

「ちゃんと謝ったから、もう、いいかい?」

肩をすくめたのだった。

「いぃーやッ、勘弁ならねぇな。」

「オメェに“決闘”を申し込むから、承諾しろ!」

あっち(・・・)でボッコボコにしてやんからよ!!」

ゾースが宣戦布告したところ、

「嫌だから断るよぉ。」

「そういう野蛮なのは、ボクは苦手だしさぁ~。」

クーガ拒否ったのである。

「なにッ!?」

「この、腰抜けが!」

「だったら、ここで、ぶっ飛ばしてやらぁあ!!」

暴力に訴えようとしたゾースに、

「これ以上はダメだよ。」

「女神様に“強制終了”させられてしまうから。」

永眠(・・)しても構わないのであれば、無理に止めはしないけど。」

ゼシューが冷静に述べた。

「くッ!」

ゾースが眉間にシワを寄せて諦めたら、

「ボクらは、もう一つのギルドに移ってあげよう。」

「ここは獣臭くて仕方ないしね。」

クーガが仲間を先導して、屋外へと向かったのである。

この去り際に、

「いつか吠え(ヅラ)かかせてやっから、覚えてろよ!!」

ゾースに怒鳴られるも、視線を合わせないままで、

「はい、はぁーい。」

軽く挙げた右手を〝ひらひら〟と振る“クーガ”であった―。




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