迷宮からあふれる怪物の暴走、巻き込まれたが九死に一生を得ることが出来た、けど?
「やっちまった」
仕方がなかたとはいえ、最悪だった。
仕方が無いとはいえ、この乗用に探索者は頭を抱える。
いつものように地下迷宮に潜った。
いつも活動してるあたりで活動していた。
そこで、普段なら出会わないような危険な怪物に遭遇した。
慌てて逃げだした。
だが、怪物の方が能力が上。
追いつかれて仲間が殺されていく。
「全員、バラバラに逃げろ!」
リーダーがそう叫んだ。
その声に従って、間借り道で仲間は別方向に逃げていく。
怪物の目標を分散するために。
追いかけられた者は可愛そうだが、それ以外の者は逃げる事が出来る。
運良く逃げる事は出来た。
その場はなんとかなった。
分散したので仲間はいない。
単独で行動しなくてはならなくなった。
それでも足を動かしていく。
あらかじめ決めていた集合場所に向かって。
迷宮内で仲間からはぐれた場合には、そこで合流する事になっていた。
ただ、今日の迷宮はとことん性格が悪い。
戻る道には何かしら怪物がいる。
普段のこのあたりでは見ないような怪物だった。
事前に様々な情報を集めていたので分かる。
それらは本来、もっと迷宮の奥にいるものだと。
能力も高い。
少なくとも、はぐれて単独行動してる探索者よりは強い。
それと戦って勝てるとは思わない。
やむなく、それらから離れるように動いていく。
結果として、迷宮の奥へ奥へと進む事になった。
そちらの方しか道があいてないのだ。
(誘い込まれてるのか?)
わざと逃げ道を作って誘導してる可能性を考えた。
怪物の中には人間並かそれ以上の知能を持つ者もいる。
そういう奴等は作戦をたてて襲ってくる。
滅多にそういう者とは遭遇しないと言われているが。
今の迷宮ならそういったものが出て来る可能性もあるだろう。
いつもより強力な怪物が出回ってるのだから。
それでも怪物がいない方向に進むしかなかった。
戦って突破できるなら良いのだが。
自分より強力な敵と戦って勝てるわけがない。
隙を突く事が出来れば逃げられるかもしれないが。
追いつかれて殺される可能性の方が高い。
戦って勝つ。
それ以外に方法は無い。
それが出来ないから危険な迷宮の奥へと向かっている。
目の前の危険から逃げて、もっと危険な場所へと。
せめて仲間がいればと思う。
そうすれば連携して戦う事も出来ただろう。
だが、それでも勝つ可能性は低い。
仲間の強さもだいたい同じくらい。
そんな人間があつまったところで、より強い敵に勝てるのか?
幾らか勝つ可能性はあがっても、もともとも不利なのだ。
1パーセントだったのが2パーセントになっても大差は無い。
仲間といても、それほど状況が良くなる事は無い。
いないよりはマシなのは確かだとしても。
そんなわけで探索者は最悪の方向に向かって歩み続けている。
どこかで怪物をやり過ごして出口に向かいたいのだが、その隙がなかなかない。
本当に智慧のある怪物が作戦を立ててるのかもしれなかった。
そんな中で必死になって生き残る道を探す。
どうにかして外に戻る方法はないかと。
無いのは確かだと分かっていてもだ。
そんな時だった。
迷宮の奥の方から地響きが聞こえてきたのは。
それが膨大な数の怪物の足音なのはすぐに分かった。
慌てて探索者は、隠れられそうな物影を探す。
通路の構造で、通らなくてもよい場所というのが迷宮にはある。
そこに入って怪物をやり過ごそうとした。
予想通り、地響きは大量の怪物の足音だった。
それを物影から目にして震えた。
大型から小型まで、様々な怪物が列をなしていた。
それらが出口へと向かってる。
当然、迷宮前の町に向かっていくだろう。
そうなったら町はどうなるのか?
考えるまでもない。
怪物の群れが見えなくなるまで物影に潜む。
いつまで続くのかと思った列もやがては消える。
そうなってから探索者は出口へと向かった。
迷宮の外は、やはり悲惨な事になっていた。
あふれる怪物によって町は瓦礫になっていた。
人々の姿などあるわけもない。
その怪物も、各地に散らばっていったようだ。
姿は見えない。
探索者にとっては運がよいと言えるだろう。
だが、生き残れた事を喜ぶ事は出来なかった。
自分が生活していた場所が廃墟になってるのだ。
それをどうして喜べるのか?
それでもその場から動いていく。
迷宮の出入り口である、怪物がいつあらわれるか分からない。
そこから少しでも離れ、安全な場所を見つける。
そこでようやく落ち着き、探索者は呆然となっていった。
「どうしよう……」
これから何をすればよいのか。
それが分からない。
ただ、今は何も考えたくなかった。
考えるだけの余裕もなかった。
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