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第1話 ????との対話 その1

作者の桁くとんと申します。

2作目の作品となります。


前作で自分の作った物語を読者様に読んでいただく楽しさに目覚めてしまいました。

ということで、また読者様に読んで少しでも楽しんでいただければなあ~っと夢想しております。


主人公はとある事故で死にました。

謎空間で謎存在との対話が始まります。

では、どうぞ。


 気が付いたら、白い、だだっ広い空間にいた。


 床?地面?は白く、周囲に壁はなく、ひたすら広い。空?も真っ白。

 空も地面も同じ白。なのに地平線のように空と地面の境目が解る気がする。

 辺りを見渡しても360°地平線である。

 少しうろうろしてみたが、目的がある訳でもない。歩く地面はショッピングモールの床のように平らで硬質な感触だ。

 歩く目的がある訳でもないので、あぐらをかいて座り込む。床は床暖房が入っているかのようにほんのり暖かい。

 そういえば季節は冬だと思っていたが、ここは気温も寒くもなく丁度いい。

 

 うーん。

 多分。

 俺は死んだんだろうな。

 でなきゃ瀕死か。

 そうでなければいきなりこんなワケがワカらない場所にポツンと一人でいる理由がない。

 でも死んだ理由がさっぱり思い当たらない。

 下を向いて自分の体を見てみるが、怪我してる様子はないし頭や顔を触っても手に血はつかない。普段通り仕事で外出する時の服装で破れているところもない。トラックに轢かれたんなら少なくとも衣類はボロボロ、ドロドロだろう。

 急病か?急性くも膜下出血とか大動脈解離とか。

 ありうる。もう俺も50を過ぎていい歳だし。

 でも急性くも膜下出血だったらひどい頭痛と吐き気、大動脈解離だったらシャレにならない胸の痛みがある筈だが・・そんな覚えもない。


 憶えている自分の行動を振り返ってみる。

 職場へ出勤した後仕事をしていた。

 仕事はケアマネジャーだ。

 今日の業務内容は担当している老人宅への定期訪問だった。ケアプランのモニタリングと来月の介護計画予定の確認をしてもらうための定期訪問だ。

 午前中に大崎さん宅。午後は山田さん宅と永田さん宅へ訪問した。

 そうだ、3軒目の永田さん宅で相談を受けたのだ。

 内容がこの仕事をしていれば何度も遭遇した、でも受け止めるには自分の感情がすり減るような、ありがちな重い内容だった。

 その場で一発解決!なんてことにはならず、後日早急に対応する、ということで事業所に帰所しようとした。途中で重い気分を変えようと河川敷でタバコを一服したんだった。

 寒いから車のエンジンは掛けたまま、雪が10㎝程積もった河川敷に歩いて降りて、もう日が沈んで西の山の影が僅かに夕日の残光でわかるくらいの暗さ。

 で、何か明るくなってきたと思ったら対岸を自転車で走ってきた、おそらく帰宅途中の女子高校生が自転車を漕ぐのを止めて立ち止まり、こっちに視線を向けてるように見えた。

 「うわー、喫煙者ってここまで肩身狭くなっちまったかー対岸までは副流煙も届かんだろうに。エチケット灰皿出してるけどなー。しかし若いなーこの寒さの中スカートで良く頑張ってんなー」と呑気に考え、翻ってでっぷりと運動不足で出っ張った自分の腹がダウンの隙間から入り込む冷気に晒され、あ、やべ、もう5分もここにいたら腹冷えて下痢ピーになるわ、と思ったところで。

 「ゴッ」と音がした。

 一瞬で視界が真っ暗になった。



 あー、そこまで憶えてるけど、その後はここで気がついたんだな。

 「ゴッ」で何かあったんだな。


 目を閉じて床に横になる。

 ん~、トラックが河川敷に降ってきた?いや堤防道路からそこそこ離れてるし。堤防道路のガードレール突き破ってトラックが飛んで来たら、流石に音で気づくだろう。ガシャドカーンて感じの音の筈だし。一瞬で真っ暗になる直前に聞いた「ゴッ」はもっと鈍くて重い感じの音だったしな。


 しかしこの床硬いけど痛くないなー、温かいしこのまま眠るのもいい感じだなー、などと考えているうちに、ふと枕はないけど枕元に誰かいる気がしたので目を開けてみる。

 あ~。

 お約束だなあ。

 周囲の色と同じ白い色だが、うん。人の形をしたナニカが枕はないけど枕元の位置に立っている。

 昔名古屋駅前の名鉄百貨店前に立ってた巨大マネキン「ナナちゃん人形」のポーズだ。

 ついつい股間を見てしまうが、ん~、つるっとしている。「ナナちゃん人形」のようだ。

 胸を見ると・・・ぺったりだ。「ナナちゃん人形」どうだったっけ・・忘れた。

 お顔は・・ぼんやりしていてワカラン。眼をこらして見てもワカラン。目、鼻、口があるのかもさっぱりワカラン。

 そうゆうものなのであろうな。

 寝ころんだままでも別に踏んだりされたりもなさそうだ。敵意は感じない。枕元に仁王立ちしているこの存在が神だとして、敵意を抱かれていたら俺なんぞが何をどうしても太刀打ちできるもんでもない。ただまあ寝ころんだまま誰かと、それも初対面の相手と話すのは流石にお行儀が悪いだろう。

 という訳で起き上がった。

 職業病なのか、つい正座してしまった。


 「何で正座なん?」

 最初に聞かれたのはそれだった。

 「はあ」

 「何で正座?」

 「いや~、仕事柄といいますか・・いや正直に言いますと、加齢で関節痛がありまして、特に腰が。あぐらだと腰が曲がって痛むんですよ。それと股関節が変な感じで、特に右が。何か抜けそうな感覚になるんで、はい。でいつも仕事で担当してる方のお宅訪問する時は正座で。でも正座に強くなくて、もう20分で足しびれちゃうんですよね。で、辞去する時に必死でしびれた足で歩くんですけど、10回に1回はしびれた足に自分でつまづいて転ぶっていう。でバツが悪いもので、こうやって何気ないところで転倒することもあるんで注意してくださいね、って担当のお年寄りに教訓めいたこと言って、見透かされて苦笑されてました。」

 「あ、そーなん?でも多分、今、君、腰も股関節も痛くないと思うよ。うん。まあずっと正座してても足しびれたりしないと思うし。」

 「えーっと、それはつまり・・?」

 「そ。きみが思ってるとおり。」

 「瀕死?」

 「ブブー」

 「死んだ・・・?」

 「ピンポーン! おまぃらのいのちはなくなりますた。かんねんしてくだちい。」

 「え・・・○い玉の部屋ですか・・・」

 「ではないです。そっち期待してた?すまんそん。」

 ん~、この神?この存在、ノリ良し。


 相変わらず、全っ然表情は見えないけど。

 全っ然表情は見えないんだけど、何でかわからないが感情の雰囲気は伝わってくる。楽しんでいるようだ。

 ここまでの会話中この存在を観察しているが、身長は2mくらい?ナナちゃん人形だと思ってたけど、真っ白でノペッとしたペ〇シマンの方が近いか。

 俺がさっきまで寝てたから見えなかった足元は床にくっついてる。というか、床が風船だとしたら風船内部から人型がニョキッと突き出したと言う感じで足と床が完全に一体化している。どう見ても足が上がらない造形だ。股間蹴りしたら避けられない筈。股間もノペッとしてるので急所じゃなさそうだが。

 「おっと、攻撃しようなんて考えない方がいいよ。股間蹴りを足を上げてブロックできないって考えてるんだろう?甘いな。足が閉じない、と何故思った?」

「いやいや、蹴った足の方が痛そうなんで、そんな大それたことしませんって。」

 そりゃあ神ですものね~。考えてることなんぞ丸わかりですよね~。

 まあ真剣に怒ってるって雰囲気ではない。からかってるって感じだ。


 「で、何か聞きたいことない?」

 向こうからわざわざ尋ねてくれる。んー、フレンドリー。


 「色々とありますが・・・何がどうして俺は死んだんですか?ここに来る前の事を思い出してみても全然心当たりがないんですよ。トラックから誰かを庇おうとしてなかったし。河川敷でタバコ吸ってたまでしか覚えてなくて。 自分で記憶を消したいくらい酷い死に方って訳じゃないでしょうし。」

 「ん~、相当珍しい死に方だったよ。地球人類が歴史を記録に残し出してから2人目? 何かね、100億分の1の確率らしいよ。」

 「あー、解りました。隕石直撃だ。」

 「え・・・何ですぐ解るの?隕石マニア?世界の変な死に方に興味があってダーウィン賞取りたいな~とか思っちゃってる人?」

 「いや、たまたまこないだ仕事中の息抜きにテケトーにネット見てたら出てたんで。本当にたまたまです。」

 「まあ仕事中堂々エロサイト見るようなおっさんも偶にいるから、それに比べればおっさんのお茶目と言ってもいいんじゃないかって気はするね。うん。つーか、普通辺りが暗くなった時間に、急に明るくなったら光源確認しようとしない?そしたら直撃は避けられたかも」

 「うーん、何ですかね、諸行無常を思ってたっていうか、まあそれだけ心がすり減ってて周りを見渡す気力が無かったっていうか。」

 「その割に呑気に女子高生眺めてたでしょ。」

 「まあ、心の内は自由でいいじゃないですか。絶望の中でも美を愛でるってことで。ていうかどうして女子高生はあれだけ寒いのにスカートで自転車に乗れるのか不思議なんですよね。スカートの下はストッキング一枚でしょ?寒さに強すぎじゃないですか?」

 「あれもねえ、結構我慢してるらしいよ。まあ昔の西洋貴族のコルセットとかみたいな?カワイく美しく見られたい女心みたいだよ。」

 「いやもうおっさんにはわかりませんわ。寒さがホント堪えるんで。何か40超えたらわかるんですよ自分の体温が大気中に散っていくのが」

 「わかる。その感じ。そーなんだよ、ホント30、40、50の節目で自分の老いがハッキリ体に出て、否応なく自覚させられちゃうんだよな。」

 「そうそう50になったら一気に手指の油分?水分?がなくなってもう紙に指が引っ付かなくなって本読んでても全然ページめくれないし、爪なんかシワシワで脆くなって、て・・・え?神も老化経験してるんですか?」

 「あ、ごめん。何か勘違いさせちゃって。神じゃない神じゃない。ゼンチゼンノー?じゃないし転生を司ったりとかは特にしてない。」


 オイオイオイオイ、転生神じゃないのかよオイ。


会話を書いていて楽しくなってしまいました。

どうでもいい話が長くなり申し訳ありません。


作中の年齢話は作者の実体験なのか?

それは読者様のご想像に委ねたいと思います。


第2話はこの後1時間程したら投稿したいと思います。

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