Act.15 「メンチは気合だから極めればビームにだってなると地元の西村先輩が言っていた」
久方ぶりに更新しました。
よろしくお願いいたします。
ダバァンッ!! バギッ!! ッッッッッダァァアアアーーーッンン!! ……パキッ。
けたたましい音と共に跳ね飛ばされ、破壊された屋上出入口の鉄扉。
狂乱怒濤。
見参するは狂犬美少女、杏子と梓。
傲岸不遜。
スマホをいじくる、まりんの余裕。
萎縮震慄。
固まり動けぬモブ女たち。
出入り口の暗がりの中、狂犬美少女コンビの赤々と光る眼が、ロックオン!! まりんを捉えた。
次の瞬間!!
ピキィンッ!!
ビュゥィイイイイイイーーーーーーーッ!!
ビーム音である。
誰がなんと言おうとビーム音である。
これは「メンチビーム」の放出音なのである。
純粋な殺意で、ある意味「くもりなきマナコ」となった2人の眼。
そこからほとばしる赤い怪光線が、まりんに向け一直線に飛んでゆく。
「うっっぎゃぁあああああっ!! 」
モブ女の絶叫。運悪くビーム線上にいた動きの鈍い1人が、避けきれずに自らの目でビームを受けてしまう。
「モ、モブ美ぃいいいいっ!? 」
「あばばばばっ!! 目があづぅぃいいっ!! おがああざぁああああああん!!」
バチィンッ!!
グルグルッ……ワシャンッ!!
「ウギィッ……!! 」
憐れモブ美。
ビーム圧に耐えられず、物凄い勢いで弾き飛ばされた彼女は、直立不動のままタテに2回転して屋上を囲う緑の金網にめり込んだ。
無惨なモブ美の姿に、他の3人(モブ子・モブ代・モブ花)の顔から一気に血の気が失せて「青く」なってゆく。
じわぁっ……。
じわっ。じわぁああっ。
あまりの恐怖に思わず緩んだ膀胱括約筋。
3人の下着は「黄色く」濡れた。
「ちぃぃいいいっっ!! 」
シンバルをスティックで打ち鳴らしたような梓の舌打ち。
恐る恐るモブ女たちが振り返ると、狂犬美少女2人の殺意あふれる眼、略して殺意眼から再び「赤い」ビームが放たれようとしていた。
どういうわけかこのとき、あまりの恐怖によってモブ女たちには、狂犬美少女が「信号機のオバケに見えた」のだと後に述懐している。
まぁそれはさておき。
「うっっひゃぁあああっ!!」
これ以上にない情けない叫び声を上げながら、3倍速で蜘蛛の子を散らしたように逃げるモブ女たち。
ピキィンッ!!
ビュゥィイイイイイイーーーーーーーーーーーーーッ!!
ビーム照射ァアッ!!
射線を遮る障害物が無くなり、今度こそ2人のメンチビームは一直線に、まりんに向かって飛んで行く!!
「まりん!? 」
「まりん、よけてぇえっ!! 」
屋上の隅で叫ぶモブ女たち。
だがしかし、まりんは悠然とベンチに腰掛けたまま微動だにしない。
それどころか未だにスマホをいじくって、周りの騒ぎなどまるで眼中に「ない」といった様子である。
グリィッ!!
杏子と梓の心の中で「業を煮やす鍋」が置かれたガスコンロ。その火力調整つまみが捻じ切られる勢いで「強」の方へと回された。
一瞬でビーム線が倍の太さになって、まりんへと迫る。
直撃の寸前。フイッとスマホを下ろし、嘲るような、いや完全に嘲った「表情」でメンチビームを見る女王ビッチまりん。
フン。と、鼻をひとつ鳴らした。
するとどういうわけか!?
次の瞬間、パァアアアッ……と、メンチビームが、まりんの眼前30センチのところで拡散消失させられたのである。
まさに鉄面皮。
いや、むしろこれは「鏡面仕立ての対メンチビーム用乱反射顔」といった方が正確であるわけだが、長いから「射顔」でいい。
「射顔」
けしてひっくり返して読んではいけない。
とにかく、まりんはその射顔でもって、スペシウム光線をスペルゲン反射鏡でかわす2代目バルタン星人よろしく、受け流したのであった。
暗がりで鋭い唸り声をあげる狂犬美少女。
見下す視線の女王ビッチ。
屋上という逃げ場のない空間で対峙する両雄。
――と。ここまでが前哨戦。
次回、JKガチギレ痴話バトル。開幕!!
読んでいただきありがとうございました!




