ACT.11.75 「狂犬美少女の女子力(物理)とモブスのテンプレじゃない捨て台詞」
もういい加減に終えようと思うネタ回です。
スパパパパと流し読んでください。
あと、多分、女性はドン引きする可能性があるので注意してください。
クラスのモブス女子にもみくちゃにされる陣。
――ところへ!!
学校敷地のコンクリート塀の上に、突如として狂犬美少女コンビが姿を現す。
梓 「待ぁぁあて、ゴルァアアッ!! 」
ドスの効いた大声で威嚇する梓。
その声にビクリと身体を震わせ、思わず固まるモブスたち。
陣 「あ。杏ちゃん。梓ちゃーーん」
見れば、塀の上で腕を組み、阿修羅のような表情で仁王立ちする杏子と梓。
名前を呼びながらヒラヒラと手を振る陣。
2人はこっくりと頷くことでそれに返事をした。
陣同様、2人の容姿も高校生になって色々と成長がみられる。
一言でいえば、「子供」から「女子」へと変貌していた。
膨らむものは膨らみ、また、顔付も随分と「女性らしく」なっていた。
高校指定のブレザーをだらしなく着崩してはいるが、そこはそれ、なんだかんだいって元々が美少女である。それなりに様になっているところがニクイ。
学校の塀の上で腕組んで仁王立ち。
だらしなく服を着崩していて。
でも、美少女補正でそれなりに見える。
モブス女子からすれば、これほど面白くないものもなかった。
しかしそんな相手の気持ちなどおかまいなしに、鋭い狂犬の眼差しを差し向けてくる美少女狂犬コンビ。
杏子 「テメェら……誰に断って、陣にまとわりついてやがんだ?アァン⁉ 」
動揺し、怯える女子2人。
学生3 「ひっ……!! 」
学生4 「ちょっ、ヤバイって」
後ずさりし、どうにか逃げ出すタイミングを計ろうとするモブス女子。
だが次の瞬間、機先を制した2人が、同時に塀の上からジャンプ!!
膝上の短い制服のスカートを思うさま翻し、惜しげもないパンチラ……というか、パンモロ(杏子:ピンク、梓:オレンジ)を披露して地面に降り立った。
と同時にダッシュ。
凄まじい勢いでタックル。
ズサァアアッ!! とアスファルトの上で転がるモブス女子たち。
学生3 「いっっったぁあ!! ちょっ⁉ なにすんのよぉ!! 」
学生4 「やだっ⁉ スマホ割れたしっ!! どうしてくれんのよっ」
恐怖よりも、先に手を出されたことで頭に血が上った女子がいきり立って言い返す。それを受け、狂犬美少女2人は貫禄たっぷりにタンカを切る。
杏子 「テメェ、コラ。誰に断って陣にちょっかい出してんだ、コノヤロー」
梓 「だ、オルァ!! 同い年だからって安かねぇんだぞ、コノヤロー」
転がる相手を見下ろしながら、威嚇するその姿は、もはや女子高生でもなんでもない、ただのチンピラそのものである。
そんな女子たちの諍い(物理)を見ながら、陣は笑って後ずさる。
陣 「あはは。思春期だねーー」
思春期だねーーじゃない。
だが、ここで陣を責めることは出来ない。
いくら男子とはいえ、4人の女子同士の諍い(物理)である。
しかも、その原因は誰あろう自分自身。
下手に仲裁などしようものなら、矛先が途端に自分に向く可能性が高い。ゆえにここは傍観の一手が賢明である。
それに。フツーのモブ女子相手なら、杏子と梓がケンカで負けるはずがなかった。
おもむろに学生4が立ち上がり、ヴァキヴァキに割れたスマホの画面を突き出してがなりだす。
学生4 「ちょっと、どうしてくれんのよ!? アンタたち、コレ弁償……あっ!! 」
杏子 「ヒュッ……!! 」
目にも止まらぬ鮮やかな杏子の回し蹴り(パンチラ付き)。
カツーン!! ……と、数メートル先の地面へと落ち、今度こそガラストップの液晶を粉々に弾け飛ばしたスマホ(最新機種)。
それが決戦の合図となった。
学生4 「なろうっ!! 」
学生3 「あっっったぁ、キタ!! 」
学生4が杏子に掴みかかる。
すぐさま後を追って、学生3も低い姿勢から梓にタックルをかまそうと動いた。
しかし杏子と梓は、相手の動きを読んでいたように巧みにこれをかわし、逆に相手の懐深くへと潜り込んだ。
そして、流れるようなコンビネーションで、左ローキック→右ストレート→両手でネックをホールドしての膝蹴りを打ち込む。
極めつけは杏子の投げ技。
梓は長い足を活かしての足四の字固め。
勝負は瞬く間に、そして一方的な蹂躙で幕を閉じたのであった。
ボコボコにされたあと、モブが口にするのはお約束の捨て台詞である。
学生4 「ち、ちっっきしょう!! 」
学生3 「こんなことして、ただですまないんだから!! 言いつけやる。いや、パパに頼んで訴えてやるんだからっ!! 」
ほら言った。
捨て台詞。
そんなテンプレに対して、いつだってロックに斬り返すのが狂犬美少女の手腕(物理)である。
杏子&梓は、2人同時に目にも止まらぬ速さで、モブス2人にビンタをかました。スパンスパーン!! 往復である。
学生3・4 「ひぃいいぃいいぃいぃぃい……!! 」
杏子 「おぉおぉおぉ、捨てゼリフが昭和だよ」
梓 「安いVシネだよ。哀〇翔も出ないよ」
杏子 「もちっと、こう、捻りってものを、見せてつかぁさいや」
梓 「さいやさいや」
唐突に飛び出す広島弁。
いや梓の「さいやさいや」は広島弁ですらない。
怯える2人は互いに身体を抱き合いつつ、ズリズリと後ずさりしてゆく。
そんな2人をゆっくりと楽しむように追い詰める狂犬美少女。
生3 「くっそぉ!! くっそぉ……うっ⁉ うううううううっ……」
唐突に学生3がお腹を押さえて苦しみだす。
怪訝そうに見る杏子と梓。
実は、2人は相手をボコボコにしてはいるものの、けして急所は打っていなかった。
特にお腹は絶対に避けている。
それは同じ女としての武士の情け的な配慮であった。
なればこそ、打ってないハラを痛がるのには別の理由があるはずだった。
学生4が慌てて問い掛ける。
学生4 「どどど、どうした!?」
学生3 「ぐぐぐぐぐっ………………生理が……始まった……」
学生4 「マジでかっ⁉ いまっ⁉ 」
学生3 「マジ」
学生4 「あばばばば、アンタ、今日のパンツ、何色⁉ 」
学生3 「今日に限って……白」
学生4 「エマージェンシィ!! 」
まさにエマージェンシィ!!
世の男性諸君。
覚えておいて欲しい。
これはエマージェンシィ!! な事態なのである。
ここに至って、杏子と梓は完全にこの2人を攻める気持ちを失せさせていた。
いやもはや、憐れな者を見るような気持にさえなっていた。
学生4、3を助け起こしながら、改めて捻りのある最後の捨て台詞を口にしようと考えを素早く巡らせた。この子は本来とてもマジメな子なのである。
学生4 「こ、この!! ……格好悪いとこ忘れて、この、格好良いとこだけ覚えてろ!! バッキャロー!! 」
精一杯だった。
学生3はお腹を。
学生4は真っ赤になった顔を。
それぞれに両手で押さえながら、走って逃げていった。
杏子 「……んだよ。やりゃあ、できんじゃねぇか」
その後ろ姿を眺めながら、杏子はそう呟いたのであった。
最後まで読んで下さってありがとうございました。
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