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ACT.11.5 「学園ハーレム。それは全DT男子の憧れ。だが実際はただただ投げ付けられるエゴを処理するだけの無理ゲー」

ネタ回の続き。


 壮絶なDT男子と妄想処女のバトルがついに終焉を迎えた。


 あとに残ったのは、無様なブス二人の涙。

 そのベショベショになった泣き面だけであった……。


 ――ところへ。


 高校生に成長した陣が制服姿で通りかかる。


 11歳の時から随分と背が伸び、身体つきもたくましく成長を始めている。

 元々綺麗な顔立ちの子供であったが、数年ですっかり美丈夫と言ってよい男に成長していた。


 しかも成績優秀、スポーツ万能ときて、誰に対しても分け隔てない優しい性格。

 こうなると当然モテにモテまくる「チーレム勝ち組ラノベ主人公的スクールライフ」を謳歌することになるはずだったのだが……


 そこは常に陣の隣にくっついている「狂犬美少女二人組」によって、日々全力で阻止されているのであった。


 とはいえやっぱり人気者。


 杏子と梓がいない僅かな隙を狙って、ハンターよろしく陣の「彼女」の座をゲットしようとする女子たちは、後を絶たないのであった。


 ――そして、いま。


 つい2分前の失恋など、段違いのイケメンの登場で、もはや忘却の彼方となった妄想処女二人。


 あり得ないほどの早さで涙を拭き、メイクを直して、全身これ「媚態」といったシナを作りながら陣にすり寄っていくのだった。


 危うし、陣!!

 杏子と梓は……なぜか、居ないっ!!


 学生3 「あぁ~~~!! 」


 学生3・4 「陣く~ん」


 陣  「あ。えーと……やぁ、佐野さん、久保さん。こんにちは」


 学生3 「アタシ山下」


 学生4 「北村よ」


 陣  「あ。なるほど」


 学生3・4 「ヤダ、おもしろーい」


 別に陣はジョークを言ったのではない。

 素で、女子二人の名前を間違っていたのだ。


 実のところ陣は、杏子&梓以外の、自分の周りにいる女子たちほとんど全てに興味がなかったのである。


 イケメンイケメンと周囲が騒ぎはするものの、当の陣は狂犬美少女二人の相手で常にいっぱいいっぱい。


 当然、他の女子に気を回す余裕などまるでない。


 また杏子と梓もクレイジーではあるが美少女なのであって、並大抵の女子ではこの二人のブロックを超えて、陣の気を引くことなど出来なかったのである。


 その狂犬美少女二人の姿が、陣の周囲半径5メートル以内に見えないいま、モブとは言え、恋に飢えたハンター系女子二人にとっては絶好のチャンスなのであった。


 学生4 「なになに、どこ行くの?」


 学生3 「クラブぅ?」


 人好きのする無防備な笑顔で、ゆるゆると首を横にふる陣。この愛想がいいところもモテる理由の1つであった。


 陣 「ううん。帰るとこ」


 学生3・4 「キャーーッ!!」


 色めき立ち、素早く陣の両脇に移動。そしてスマホのカメラ(自撮り側)を起動し、陣の許可などおかまいなしに写真を撮りまくる女子たち。


 学生3 「ウッソー!(写真を撮る)」


 陣  「え? ウソじゃないよ」


 学生4 「カワイイ!(写真を撮る)」


 陣  「カ、カワイイんだ?」


 戸惑い、困ったような笑顔でされるがままの陣。

 ここでまた怒ったり、うざったそうな顔をしないところが、モテるイケメンの特徴である。


 ひとしきり写真を撮りまくり、満足した女子たち。すかさず自分のカバンの中からプレゼントを引っ張り出して、陣に押し付けてくる。


 学生3 「はい陣くん。コレ、プレゼント~」


 学生4 「私からも~!! 」


 陣   「わぁーー……。ありがとう。何だろう」


 無理やり手渡されたプレゼントを、物珍しげに見詰める陣。


 学生3 「これ、自作のポエムよ」


 学生4 「私のは、私の写真!! 」


 陣  「うわぁ」


 要するにゴミだ。

 ゴミをプレゼントと称して押し付けてきた。

 とは思いながらも、けして鉄壁の愛想笑いは崩さない陣。


 学生3・4 「うれしい?」


 畳み掛けてくる女子二人。

 さすがの陣も、その想定していなかった質問に鉄壁の笑顔を崩されかかる。


 陣  「き、聴くんだ? うれしいのか。……いや、もう、思春期って、驚きの連続だね、って感じ」


 学生3・4 「キャーーッ!! やったぁあああーー!! 」


 抱き合って黄色い声を喚き散らして喜ぶモブ女子二人。


 それを合図に、とうとう陣の笑顔も崩壊するっ!!


 学生3・4 「私と思ってぇ、それ、大事にしてね!!」


 トドメだった。

 すーーっと、陣の顔から笑顔が消えていく。


 陣 「ごめん。ホントごめん。それに関しては……うん、ごめん。先に謝っとく」


 それでも怒鳴ったりツバを吐いたりすることはせず、ただただ死んだ目で感情なく返事をする。


 学生3・4 「やーーだーー!! 陣くん面白い~~~!! 」


 拒否されない=喜んで受け入れている。

 という、自分にとっての激甘ご都合脳。


 左右から陣の腕をとって跳びはねながら、ケタケタケタ、キャッキャッキャッキャッと壊れた猿のように笑うモブ女子2人。


 陣は女子2人にされるがまま揉みくちゃにされながら、ただただ早くこの時間が過ぎ去ることを願うばかりだった。


 ーーところへ!!


 狂犬美少女コンビが阿修羅の表情で駆け込んでくるっ!!

ここまで読んで下さって本当にありがとうございます。


よろしければブクマ&ポイント評価をっ( ;∀;)


そして誰か私にファンアートを!!


次回更新は今日の夕方以降に予定してます!



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