水を作ろう
水を得る方法だが、オブジェクト壁面のフィルター機能を使う。要するに水だけを通すようにすればいいのだ。そうすれば生水だろうとなんだろうと、純水だけが下に溜まる。多分、味も素っ気もないだろうが、それでも腹を壊したり寄生虫やらにやられるよりはマシだ。
水そのものは、houseを先程みつけた川の上まで動かしてから得た。新たなオブジェクトbucketを作成する。形を円筒形にして、上面以外の物理干渉をTRUEにして着色すればバケツになる。重さは絶対重量で10グラムほど。あたりを伺いながら壁面を消して水を汲み、また壁面を復活させた。汲んだ時に気づいたが、絶対重量を10グラムにすると、中に何が入っていても10グラムにしかならない。これはもしかしたら、異世界物の定番無限カバンにならないか?
そのことを心に止めながら、予め作っておいたbucket2オブジェクトの上にbucketオブジェクトを乗せる。そしてbucketオブジェクトの下面を、完全な水だけを通すフィルターに変化させた。重力に引かれて水がフィルターを通り、水以外の物質はbucketに置き去りになった。数秒でbucketは空になり、bucket2は水で満たされた。bucketの中は空ではなく、何か白い粉のようなものが底についていたが、bucketの上面を作り完全な密室にして封じた。調べるのは後でできるだろう。
少々大きいが、絶対重量10グラムのお陰で持ち上げるのは簡単だ。bucketを脇に置き、bucket2を持ち上げ、口につける。傾けて水を飲む。生温い純水は決してうまくはなかったが、生命を感じさせる味だった。次は温度調整してから飲もうと決意した。
「さて、最後は食か」
声に出して考える。