Episode.69 依頼達成
ドーランに戻る前に、ゼロさん達に何があったのか話を聞いた。
一年前。
ゼロさんは確かに、仕事を終えて帰る途中だった。
だが、その日の天候は…ドーランでは曇りだったが、山の天候は変わりやすい。ドーランに近付けば近付く程、天気は悪くなり雷雨に。
最悪なことに、ゼロさんの命を狙った連中に追われてもいた。
なんとか一掃させられたものの…生憎の天候で体力を消耗し、そして雷に打たれた。(ワンスさんの言う通り、ある意味不死身だった)
不時着した衝撃でゼロさんは記憶喪失に。ミカエルは「最強の女剣士と謳われているとはいえ、記憶がないなら危険」と考え、「ニーオ(由来は00かららしい)」として隠したらしい。
ちなみにミイルは不時着の際に生まれたとのこと。
そして現在…。
「ゼロ!」
「えっ?あ、ホントだー、おかえりゼロ姉ちゃん!」
「…あ…。ゼロ姉さん…おはよ…」
「ゼロ姉様、怪我とかしてない?私、心配で心配で…」
「私、ゼロお姉様がいなくて、ずぅーっと寂しかったのですのよ?」
「でも、ゼロ姉上が元気そうでよかったー」
「お、おー。大人気だ、長女は大変だ…」
ゼロさんは無事、皆の所に戻ってきている。
依頼を終えたのを確認して、そっとエレメントに戻った…。
あ、そうそう。
ミイルはそのあと「ゼロといっしょじゃなきゃヤダー!」ということで、ゼロさんの竜になったらしい。
…本当。
これで、良かった…。
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エレメントに戻ってすぐに私は自室に籠った。
旭さえも部屋に入れず、一人で籠った。
一人に…なりたかった。
リュー「『完璧過ぎる化物』。かつての彼女がそう呼ばれていたんだったね、旭?」
旭「…うん」
リュー「ひどい言葉かもしれないけれど、君が心配しても彼女の苦しみは消えない。
刀を使いこなし、強くなる以外に手はないんだ」
旭「…うん」
リュー「まあ、あの刀は君達式神の魔力も使ってる。全部彼女の責任ってわけじゃないよ。
君達が強くなれば、ほんの少しだけど彼女が刀を使いこなす可能性は上がるよ」
旭「…うん」
リュー「…さて。今夜は君を入れてくれなさそうだけど…、どうする?俺のところは男子寮だし」
旭「うーん…。一回カミハラに戻るしかないかな…」
リュー「君も大変だね…」