Episode.58 竜を祀る里ドーラン
蓮花「…なーラトナ、一つ聞いて良いか?」
ラトナ「ん?」
蓮花「なんでドーランに鳥で行ったら駄目なわけ?」
ラトナ「ああ。竜種は鳥と比べたらゴツいだろ?」
蓮花「うん」
ラトナ「竜種はあまり争いを好まないが…たまーにいるんだよ、ちょっかい出すの」
夕陽「月火。太陰は烏天狗だ、万が一気性の荒い竜種に目を付けられた場合…最悪、死に至るほどのダメージを受ける」
蓮花「……」
竜種恐っ。
カイア『なんだ、怖いのか?』
蓮花「いや当たり前でしょ」
カイア『…そうか。素直に怖いと言えることだけは誉めてやろう』
蓮花「?」
カイア『(この娘…明るいのに暗い、何か…歪だ)』
ラトナ「…あ、お前まさか…」
蓮花「え?何?」
カイア『無駄口叩いている暇があるのなら…さっさと行くぞ』
夕陽「(竜種は人の心が見える…。何か見えたのか…?)」
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──竜の里ドーラン
蓮花「カミハラとはまた違う雰囲気の田舎だ…」
シャナ「ドーランは竜神族といった古い民族だからな。カミハラは日本文化の方だから違ってて当たり前だ」
蓮花「ま、そうだね」
ちなみに竜達は人間の姿になるのも可能なようで。
…つーか皆クッソイケメンだな。…チッ。
カイア「小娘、こっち来い」
蓮花「いや」
カイア「ほう。なら無理矢理」
蓮花「え?………いにゃあああああっ!?」
高い!地面に足が着かない!中途半端に高い!
そして襟を掴むな!!
蓮花「ぎゃーごめんなさいごめんなさいクッソイケメンと思ったの不服なら謝りますのでおろしてください!うちの家計代々身長クッソ高い筈なのに何故か低身長なうえに一回木の上から落ちて死にかけるわ毎日のようにヒモなしバンジージャンプのようなたっかいたかいをあんのクソ兄貴にされて以来中途半端に高い所はあの頃の悪夢とか恐怖とかが甦ってくるんでホント無理なんです!つーかどんだけあそこん家でトラウマ植えつけられてんだ私!実家だよね実家の筈がどーしてトラウマ発祥地なんだよ!ああそうかそういうこともあっておかしくもないよねだって夢と希望に満ちあふれた純粋なチビッ子時代の出来事だしねハッハッハ!!」※早口+混乱中+半泣き
カイア「…娘。お前は何を言っている」
リエラ「ちょっとアンタ。おろしてやんなさいよ」
おっとこの紫竜あっち系!?いや違う…口調だけオネェだ!
レグノ「ふん。ガキ相手に大人げないものだな」
カイア「いや我はだな…。…?」
蓮花「ん?なんですかどしたんですk」
「…れーんーげー!!」
蓮花「…のうぇっ!?」
おっとこの声は…第二のシスコン!!(第一は桃千)
カイア「…愚かな」
狼の渾身の一撃はいとも簡単に赤竜に避けられてしまいましたー。
しかも私肩に担がれたし…完全に物扱いかよ。
牙月「チッ」
蓮花「…お、おーい…に、兄ちゃーん?なにしてるのかなー?」
牙月「妹をいじめる奴は許さん。そしてそこの小僧と手を出そうとする野郎どもは更に許さん!」
夕陽「えっ!?」
蓮花「何言ってんだこの人!?…ちょ、二人ともタンマタンマ!!何構えてんの!?」
…それからかれこれ数分。
私と旭と夕陽による説得でなんとかその場はおさまった。
蓮花「で、よ?兄ちゃん。仕事はどうしたのさ」
牙月「桃千から、『やりすぎたらダメだよー』と言われ…」
蓮花「事前注意!?ていうかアイツ放棄しやがった!」
牙月「…何もないなら、俺は帰る。…それじゃあな、蓮花」
それだけ言うと私達の通った道(というか下に見えていた森)の木々を飛び移りながら去って行った。
…何がしたかったんだ…。
アーネ「…何が、したかったのでしょうか…?」
ブレイズ「さぁね。元々あの人、地元でも他人とあまり関わろうとしてこないタイプだからね。俺なんて一度も会話したことないよ。
…妹?」
シャナ「さて、早く行こうではないか!ノガード様を待たせていると悪いからな」
ラトナ「…ここまで来たら、会うしかねーのか…」
夕陽「(…良い具合に、話しずらしたな)」