Special episode.Ⅴ
気が付くと、妹と二人で外にいた。
両親はいない。そうか、やっと捨てられたんだ。
「ふわあ……?」
「…」
普段ならまだ寝てる妹は、眠そうな目をこすりながら起きた。
「……」
「…おはよ」
ここがどこなのか、とにかく歩いてみた。
妹はまだ小さい、半年前にやっと歩いた子だから、おんぶして歩いた。
「…」
「大丈夫。…ついてるから」
妹は言葉を知らない。だから、目と雰囲気で話す。
しばらく歩いても、どこなのか分からない。
遠い所に捨てられたんだろうな…。
少し休憩しよう。
「…」
「平気。疲れてないよ」
辺りは薄暗くなって、ほとんど見えない。
でも、大丈夫。昔お爺様とお婆様から貰った「道具」が
あるから。
…それにしても、眠い…。
…ちょっと、寝よう。
…?
ここ、どこだろ…。
「最近の親は分からないなー。折角生まれた子供を簡単に捨てるんだから」
「…誰…?」
「ん?あ、起きた?」
ニコニコした女の人。…あれ、服が違う。
…本で読んだことある、「中世」っていう時代の洋服を着てるんだ。
「いやー、よかったよ。昔の服あって」
「…ここ、どこ?」
「ここかい?僕の屋敷、家だよ。ヴァンフェーニ邸」
「…」
「ふぅん、見たところ吸血鬼ハンターの武器を所持してるみたいだね」
「吸血鬼ハンター…?」
「知らない?…まぁ五歳ぐらいじゃ知らなくておかしくないかー…」
「…おねーさん、誰?」
「僕はレッドルーン・ヴァンフェーニ。吸血鬼のお婆さんさ」
「?…おねーさん、だよね?」
「んーん、おばさんどころかお婆さん。かれこれ何百年も生きてるよ。ま、二十代に見えてもおかしくないなー」
「何百年…」
キィと音がして誰か入ってきた。
男の子。同い年ぐらい。
「…お母さん、あの子達は?」
「今日から一緒に暮らす、家族だよ」
「家族?」
「……家族……どうして…」
「そうそう。この子は息子のブラッド。もう寿命でいないけど旦那が人間だったから、この子は吸血鬼ハーフ、かな。…えーっと、二人とも名前は?」
「…なまえ?」
「んー?もしかして、キミたち名前無いのかな」
「…うん、妹も」
「あれあれ?もしかして君は一人称とか分からないかな?」
「…?」
「うーん、よし。僕が一から教えてあげよう!
と、その前にまずは…食事にしよっか」
「はーい。お母さんの料理おいしいんだ」
「あ…」
…あの頃は、楽しかった。
「私」に「バトラ・ディーコン・ヴァンフェーニ」、妹に「メード・サーバンド・ヴァンフェーニ」という名をくれた。
何よりまだ、レッドルーン…お母様も生きていて、あの方も正気だった。
何故、こうも狂ってしまったのだろう…。
「バトラ、メード。そろそろ来るよ。…いいね?」
「了解…」
「…畏まりました」
もう、私には止められない。
私とメードは、それぞれの武器を構えた。客人と対面する為。
…誰でもいい、ブラッド様を…止めてくれ。




