Episode.33 罠
リュー「大変だね蓮花ちゃん」
蓮花「なんでそうも飄々としてるんだよあんた」
リュー「…年の功?」
蓮花「キミが言うと違和感がないな☆」
リュー「よく言われるよ★」
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(夕陽side)
夕陽「…」
何故だろうか。元々だが居心地悪い。
気のせいか最近ラトナと話をしにくい。
というか誰だ。この人選をしたの。…ルルといとこか。
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(蓮花side)
…うーん。
なかなか見つからないな。えーっと、指輪?銀色なんだっけな…
蓮花「むぅ……ん?」
…うっわー。こんなところで鏡とかないわー…。
…?
蓮花「…うわあ!?」
旭「わ、わわっ…」
い、今鏡の中の私が「ニヤッ」ってした!?
いや気のせいだ絶対そうだうんそうだそういうことにしよう!!
おーいて…驚いた拍子に尻餅ついちゃったよ。
旭「…蓮花ちゃん急にどうしたの」
蓮花「いやー、ちょっと鏡を見て驚いちゃってさ…」
リュー「鏡?……」
旭「こんなお化け屋敷もどきに鏡があるなんて怖いね…」
リュー「…(埃が積もっていない。つい最近、置かれた…?それにこの鏡は…)」
蓮花「いやー、こんなことで驚くなんてねー。さてと、いい加減立つとす…?」
…あれ…?おかしいな…。
旭「…蓮花ちゃん?どうしたの?足、怪我した?」
肩から降りて足元から心配そうに私を見る。
…違う…怪我なんかじゃない…。
リュー「…大丈夫かい?」
蓮花「…」
この感覚知ってる…。前世だ…。
まったく歩けない…まったく動かない…あの感覚…。
蓮花「…足に力が……入らない…?」
リュー「…なんだって?」
蓮花「…は、はは…?なんで…?」
今、自分が泣いているのか笑っているのか分からない。
リュー「…とにかく、部屋を出よう」
旭が再び私に肩に乗り、リューに背負われて部屋を出ようとする。
嫌な予感…後ろも…前さえ見るのが怖い…。
いっそ、目を閉じていた方が楽──
「──…ざーんねんでしたー。…そう簡単に帰さないよ。Ms.レンゲ」
蓮花「っ!?」
リュー「!…誰だ君は!?」
「…ふぅん。お前、別分岐の元影の王か」
リュー「!…」
「面倒なことになるけどいいよねぇ…?君の答えは聞いてないけど」
…赤い紙?…お札!?
血に近い紅い炎があの少年の手にあるお札が燃え上がって…床に落ちた。
床が燃えるかと思ったけれどそんなことはなく…寧ろ、あの不気味な鏡が現れた。それも彼が手に持っている訳じゃないのに、
直感的に危険なものだってわかった。だから…。
鬼蓮!旭を私の『影』に引き込める!?
鬼蓮『!?…わ、わかった、何とかしてみる!』
旭「?…わ、わわっ!?」
肩から旭の重さが消え、あの少年がつまらなそうにため息をついた。
「…あーあ。一人逃げられちゃった…。ま、『目的外』だから特に何の支障はないんだけどさぁ!」
急に鏡が黒く光った。その瞬間、見たことのある姿が映し出された。…いや、鏡から飛び出した。
山風麻奈美だ。
『お前は、私だろう?だったら、昔に戻ろうか…?…なぁ?
ふ、ふふ…はは『はは『ははは『あはは『あっははは!『はははは!!『ははははは!『あっははははははッ!!!!』
蓮花「ひっ…あっ…」
声が反響するような部屋じゃないのに…山風麻奈美の声は奇妙に、不気味に、私は怯えてリューの服を強く握りしめることしか出来ない。
山風麻奈美は黒い霧になって、私にまとわりついた。
…それ以降。記憶がない。
ただ、こんなことをしたあの少年の顔。
それと何故か…『鶏』。その二つだけが深く印象に残っていた。