表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
FLARE GUARDIANS  作者: 睦月火蓮
PART.3
31/108

Episode.25 若き頃の記憶

おばあちゃんは昔『ダイアモンド・ファイア』っていう組織にいたらしい。

その時は別の名前で呼ばれてたんだって。

…あ、ちなみに今回の蓮花サイド終了。


(アケミside)


「兄ちゃーん!カレンさーん!」


「ゴフッ!」


「ロート!…レット!?」


幼少期からずっと、私には仲間がいた。

兄ちゃん、ルビー、ガーネットちゃん、アニー、ディン、ファイ、フィー、ラナーテ、ブレイ、カレンさんに紅蓮、シャーマ。私を含めて13人。

今は皆引退して、それぞれのやりたいことをしてる。私は…元の世界には戻らないで、ここで暮らして、息子を産んで、孫にも恵まれて…幸せな生活をしてる。


まだダイアモンド・ファイアにいた頃の話を一つ。

あの日も親友のガーネットちゃんと兄ちゃんへの悪戯を考えていた。


ロート「なあガーネットちゃん。こんなのは」


ガーネット「うん。良いと思うよロートちゃん」


早速仕掛けようとした時、窓の外から何か物音がしたんだ。


ロート「…なあガーネットちゃん。何だろうな」


ガーネット「どうする…?今皆いないよ」


ロート「うーん…」


その時は丁度、皆依頼とか食料とかの調達でいなかったから、私とガーネットちゃんとか、当時のちびっこ組だけだったんだ。

「何かあったらすぐ連絡」って兄ちゃんに言われてたけれど…好奇心旺盛な二人はそれを忘れて、外に出て様子を見に行った。


ロート「えーっと、たしかこの辺だったよな…」


ガーネット「…ああー!」


ロート「ガーネットちゃん見付かったー?…ん?」


振り返ったガーネットちゃんの腕には、何かモコモコしたものがあった。

触ってみると、何か動いていた。


ロート「…動物?」


ガーネット「うん…ねえ、この子怪我してるみたいだよ…」


ロート「えっ?…うわっ、ホントだ!」


自分の手を見たら血がついてて、よく見るとガーネットちゃんの腕にも赤く滲んでついていた。


ガーネット「どうしよ…」


ロート「と、とにかく連れてって手当てしよう!」

------------------------

…連れて来たのはいいが、残っていた皆じゃどうしていいのかよく分からず…。

とりあえず体を綺麗にしてタオルでくるんで、救急箱を探してたら皆が丁度戻ってきた。


ルビー「あれ、二人とも?…って、どうしたの!?」


レット「怪我したのか!?」


ガーネット「ううっ…お姉ちゃーん…」


ロート「兄ちゃーん…うわぁあん…!!」


ルビー「えっ?ええー?」


レット「…?」


カレン「…二人とも、何があったんだ?」


…私達二人は大泣きして、代わりにディンとフィーが事情を説明してくれた。


ルビー「…そうだったの」


レット「それで…その保護した動物は?」


ロート「これ…」


タオルにくるんだ状態のまま、皆に渡した。


カレン「レット、貸してくれ」


レット「…物扱いかよ」


よく見えなかったけれど、カレンさんがその動物の足を見て、紅蓮に指示したりして治療してたのをよく覚えてる。

数分後には、包帯も巻かれて無事治療が終わったようだった。

この時にやっと正体が分かったけど、子狐みたいだった。それも尾が九つに分かれてる。


カレン「昔、母上に教えてもらったことがあるんだ。少しは役に立つかなと…」


ロート「カレンさんありがと!(小声:流石将来の義理の姉…ヘッヘッヘ)」


紅蓮『(ピクッ)』


レット「…?ロート、何か言ったか」


ロート「何でもなーい」


「…うぅ…?」


ガーネット「あ、気が付いたみたい」


その子狐は、キョロキョロと周りを見ていた。

警戒、というよりは興味を示しているようだった。


「…あ、あの。…ここってどこですか?」


ロート「うっわ喋った!」


「あ、脅かしちゃった?」


レット「…紅蓮とはまた違うか」


「…あー、君、文月火蓮ちゃんでしょ」


カレン「…どうして私の名を?」


「知ってるよ、理由はいえないけれど。…あのね、頼みたいことがあるの」


カレン「えっ、いや、あの…」


「時間がないの。私行かないといけない場所があるの」


その子狐は、何かを急いでいるように見えた。

だから私達は、理由は聞かずにその子狐が行きたがっている場所に案内した。

カレンさん、紅蓮、ルビー、ブレイでその場所に向かって、皆は指示やサポートに回った。


カレン「…私の故郷と似てる…」


ルビー「カレンちゃんの?…そういえば似てるよねー」


「えっと、えっとー…あ、あっち。あの大きいお屋敷!」


その屋敷はとても大きくて、通信機から何か騒がしいことになっているのが伝わった。

庭のほうから入り、縁側から中を見ると行ったり来たりとしている女性が何人もいた。


ブレイ「…騒がしいね」


カレン「…部屋の奥のほうで、産気づいた女性がいる。あと数時間もすれば生まれるだろう」


ルビー「五感鋭いねカレンちゃん」


「あわわ、急がないと…でもどうやって入ろう…」


こんな状況で中に入れてくれるとは思えない。そう思った時だった。


「こんなところで、何をしてるのかい?」


その場にいない私でも、声をかけられたことに驚いた。

紅色の着物を着たおばあちゃんが皆を見て微笑んでた。


「…その子、中に入りたいみたいだね」


カレン「ええっ…あ、はい…」


「…あ!大奥様!そんな所にいらしたのですね!」


「今行くよ。…安心して、私がちゃんと、これから生まれる『蓮花』のところに連れていくから」


カレン「…れん…げ…?」


「…何なら、一緒に行くかい。ダイアモンド・ファイアの隊員さん達?」


カレン「!」


ルビー「?」


ブレイ「…」


紅蓮『…』


「そんなに警戒しないでいいよ。…ただし、これはちょっと、ある人に聞かれるとマズいというか…

 まあ、屋敷の中にいる間は通信機切ってもらえるとありがたいんだ」


ルビー「…どうする?」


ブレイ「姫はどうしたい?」


カレン「姫言うな。……紅蓮、どう思う」


紅蓮『…どこか、身近な気配を感じる。…あと、俺の嫌いな奴の匂いが微かに…』


カレン「…いたか?そんな奴」


ルビー「グレンが嫌ってる…どうだっけ?」


ブレイ「…(いたよ、チームに)」


カレン「…このお婆様からは、特に危害を加えるような気配は微塵も感じられない。…寧ろ、私達を見て懐かしそうな気配…?」


ルビー「…?」


ブレイ「…信用してもいいんじゃないかな」


『…本気か?』


カレン「レット」


レット『…』


「そう疑り深いのも駄目だと思うよ。もう少し人を信用してもいいんじゃないの」


ロート『私もどうかーん』


レット『おい』


カレン「…レット。お前が心配するのもわかる、でも、信じてくれ」


レット『………分かった。だがn「しつこい男は嫌われるって知ってる?」…』


ブレイ「大丈夫だよレット。…君も今ので分かっただろ」


レット『…終わったら、報告してくれ』


そのあと。何があったのかは知らない。

…『その時』は、ね。

――――――――――――

蓮花「…『その時』は?」


昔話が終わって蓮花が不思議そうに首を傾ける。

私は少し笑いながら言う。


アケミ「言っただろう。これは私の思い出話」


それでも怪訝そうな顔をする。

隣にいた夕陽君は、片手を顎の前に持っていく仕草。

そういえば兄ちゃんもよくやっていたなー。


夕陽「…もしや。その時の子狐が旭。で、その時のお婆さんというのは…」


アケミ「勿論私さ。時空は一定の時間で流れている訳じゃない、それにダイアモンド・ファイアは異世界からの依頼をこなす盗賊団。だから昔の自分に会う可能性だってある訳」


蓮花「ふぇー…」


夕陽「…ところで、月火が生まれるその時になって、旭が初めて月火と対面した時に何があったんですか」


蓮花「あ、それ気になる」


旭「クー…」


蓮花「…って寝てるし」


アケミ「…そうだね…」


さてさて、どう話そうか。というかまだ…


「失礼します」


…あら。


神威「大奥様。客人が…」


アケミ「わかった、すぐにいくわ。

 …ごめんね、二人とも。この話はまた今度」


そう言って部屋を出た。


…それにしても、あの時…












──14年前


カレン「…ひとつ、聞いても?」


アケミ「なんだい?」


カレン「…貴方は…いや、君は、ロートだろ」


ルビー「えっ…」


アケミ「…流石。カレンさんだね」


ルビー「…えっ?」


ブレイ「ちなみに気付いてないのルビーだけだよ」


紅蓮『ああ』


ルビー「…えぇっ!?」


カレン「…何らかの理由があって君はこの世界にいる訳で、私達ダイアモンド・ファイアは常に通信をとっている。

 確かに、過去の君には今の君のことを聞かれてはマズいな」


アケミ「…言いようがないですよ」

------------------------

撫子「…お義母様…」


夜咲「…その子が火蓮ちゃんだね」


アケミ「…ああ。息子の夜咲と嫁の撫子」


カレン「ど…どうも」


アケミ「…この子が、蓮花だよ」


「…蓮花ちゃん」


「あー、うー」


カレン「…この子が…」


アケミ「…不思議だよね、あの人と同じ波長だから」


カレン「……麻奈美さん…と…」


「蓮花ちゃん。…今度こそ私が守るよ。蓮花ちゃん」


カレン「…ロー…ううん、暁美だよな。…ありがとう…私を、わざわざ…」


アケミ「…」


カレン「…いつか、いつか会えるよな…。成長した、蓮花さんと…」


アケミ「……うん…。何年かかるか分からないけど、いつかきっと、会える…」












…泣きつかれたカレンさんを抱えながら皆が帰っていったのを、鮮明に覚えている。


それにしても…


アケミ「…神威。どうしてこうも毎回良いタイミングで入るかな…?」


神威「なんのことでしょうか?私はただ頃合いをみて入っているだけなので」


…確信犯の顔をしてる。


神威「それで客人というのは、実を言うと二組でしてね…」


アケミ「二組ねぇ…」


神威「はい。一方は大奥様のお知り合いと。

 もう一方はまぁ…客人というよりなんというか…」


アケミ「…ああ、それなら二組とも通してくれ。

 知り合いの方は私の部屋に案内してくれ」


神威「えっ…しょ、承知」


やれやれ…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ