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FLARE GUARDIANS  作者: 睦月火蓮
PART.1
17/108

Episode.14 「己の愚かさを思い知れ、戯け者ども」

「戯けが。愚か者どもが。…調子に乗りやがって」


その声とともに、出てきたのは…



「ルル!夕陽!」


ルル「…皆!」


ラトナ「…!?おいなんだよあれ…」


夕陽「…月火」



月火蓮花。彼女で間違いない。

…だが…



赤茶だった髪は黒く染まり…毛先が赤い。

髪をまとめていた筈の髪止めとサンパイザーがなくなっていて、前髪が左目を覆うように垂れている。眼に関しては…元々赤いんだが、鮮血のような赤へと変わっている。

…まるで、別人のようだった。


「…やってくれたな。嬢ちゃん」


夕陽「!」


いつの間にか、俺とルルの背後に奴…ジャーナリがいた。

…掠り傷?


蓮花「戯けが。…本気で俺を怒らせた恐ろしさ、理解できぬとは。

 まったく哀れなものだ」


(ラトナ:…中二病?)

(ブレイズ:…違うだろ)

(リュー:うーん俺的に君のほ…)

(ラトナ:あ゛?)

(リュー:あはは怖い怖い)


蓮花「戯け。黙らぬか民衆」


三人「「はいすいませんでした(即答)」」


…もはや別人だ。

…眼力が凄い。下手すればこっちにも怒りの矛先が…


蓮花「…坊や。安心しな、俺は基本的に目的の奴以外に手は出さない」


夕陽「……坊や?」


…なんだこの睨み合い。

…ん?


「はいはい。どいたどいた」


…この声は…


ルル「あ、夜咲先生だ」


ネート「ホントだー」


夜咲「…まったく、世話が焼けるねぇ。君は」


蓮花「…フン」


夜咲「ま、さっき理事長から許可はもらったよ」


夕陽「…許可?」


夜咲「ふふん…武道場の使用許可♪」


「「…え?」」

------------------------

──武道場。


そこは普段、授業ぐらいでしか使わない場所だ。

…まあ、使用許可と最低でも一人教師いれば生徒でも自由に使える。


夕陽「…旭ヶ原先生。いったい何がしたいんですか?」


夜咲「…なんだろうね?」


…正直、この人は苦手だ。

何考えてるか全く分からない。リューも同じだ。

…あの飄々とした態度がどうも…


夜咲「はいはい夕陽君、俺へのコメントはいいからナレーションしてー」


夕陽「ナレーションとか言うのやめてください。あと勝手に読心しないでください」


…クッソ…ホント何なんだこの人は…。

…というか、さっきから月火のくわえてるのって…煙草に見えるんだが…


夜咲「武道場内での飲食は禁止だよー」


蓮花「…チッ」


夕陽「…あれ煙草じゃないんですか」


夜咲「ん?アレ?アレねー、煙草に似たラムネ菓子。一応魔力の補充品かな」


夕陽「…そうですか」


ジャーナリ「…で、こんなところに移動させてたのは何ですか?」


夜咲「うん。二人とも喧嘩しそうだったから」


ジャーナリ「……は?」


なんだその理由は…


夜咲「えっと…規則上、外か武道場のどちらかで、教師が最低でも一人ついていればバトルは可能。

 …っていうのがあるんだけど。…あれ?皆知らなかった?」


知らないから。そもそもここの規則はどこにあるんだ。


ジャナーリ「…そういうことらしいな」


蓮花「…面倒だ。さっさと終わらせた方が身の為か」


ジャーナリはまだ左手にカメラを持っている。

…あの中に、ルルの弱みを握られた写真があるのか…

……対する蓮花は。…って…


「…おい、どういうことだよ?」


「ジャーナリに背を向けてるぞ」


「しかも目を布で覆ってるわ」


夕陽「…どういうことだ?」


夜咲「あらら……」



ジャーナリ「…どんなマネだ、嬢ちゃん」


蓮花「…これは“蓮花”の『修行』だ。まあ、俺自身どうでもいいがな」


…月火の修行?…俺自身どうでもいい?

…どういう意味なんだ。



夜咲「…」


夕陽「…?」


…旭ヶ原先生の目が変わった?



蓮花「…さ、かかってこい。俺はこの状態だからいつでもいいぞ」


…これがもし、俺がコイツをあいていていたら徴発されてるとしか思えない。

現に、ジャーナリは…


ジャーナリ「──!」


…え?


蓮花「…刹那狩(セツナガリ)


夜咲「はい、そこまでー」



…いったい何が起きたんだ…?


ルル「…?」


リュー「…カメラ、どこいったんだろうね」


夕陽「…カメラ?」


…そういえば、ないな…?


暁美「兄ちゃん兄ちゃん、さっき映像撮ってみたんだけどさー」


夕陽「…撮ったのかよ。それで、どうだったんだ」


暁美「はいこれ」


暁美の撮った映像をスロー再生して見てみると…

月火は…何かを四方八方に飛ばすと同時に物凄いスピードでジャーナリの前まで移動し、ジャーナリが手に持っていたカメラを蹴りあげた。そこで元の位置に戻って回し蹴りをして風を起こし、ジャーナリを壁まで吹き飛ばした。

…肝心のカメラは映像に映っていないが…



「えっとー?これどうすれば見れる?」

「あー、これはですねー…」


…なんとなく、予想はできた。


リュー「…という感じで操作すれば、ほら」


夜咲「…これはちょっと見逃せないかなー」


ルル「なんで夜咲先生がカメラを持ってるんですか?」


ネート「夜咲先生は機械操作とか苦手なんだねー」


夕陽「…(そういう問題じゃないと思うぞ)」


…ん?

何かが落ちている…カード?…俺の足元にも一枚あるな。


夕陽「…そういうことか」


あの蹴りあげたときにカメラは、旭ヶ原先生の手元に飛んでいた。

…つまり、月火は…


夕陽「……計算済みだった、ということか」




蓮花「…己の愚かさを思い知れ。戯け者が」



ジャーナリにそういったかと思えば、目隠しを外し月火は俺達の方を向いた。

そして…



蓮花「…民衆も民衆だ。他人の弱み付け込んで、罵る。皆がやっているから自分も…ってな。


──ふざけんじゃねえよ有象無象どもが!!それでいいと思ってるのか!!


こんな写真ばらまいたコイツが悪いだが、お前らの方がよっぽどタチが悪いんだよ!!

テメーらはそんなこともわからねぇガキか!!

アイツらがどんだけ苦しんだのかわかってんのか!!自分の身になって考えてみろ!!

そんな簡単なこともわからねぇのかよ!!あぁ!?」


…月火…。




『そこまでにしときなさい。蓮花』



蓮花「!…うっ…」



突然、月火の影から“影”が飛び出した。

そして、月火の頭を軽く叩いたかと思うと…月火が倒れた。


ルル「…レンゲちゃん!!」


夕陽「月火!!」


俺達が駆け寄ると“影”が月火の影に戻った。

どうやら眠っている…姿もいつもの月火に戻っている。


…ん?何か握っている…


夕陽「…これは…?」


…黒紫の石…?


夜咲「んー、夕陽君ー。どうかし……!?」


その石を見た途端、旭ヶ原先生の顔が変わった。

…どうやら危険な物らしい。


夕陽「…渡しておいた方がいいですか?」


夜咲「…その方がいい。あと、カーラ君と月火ちゃん。太陰君も…いや、おそらくチーム・PJ全員気絶しているだろうから、医務室に運んでしばらく安静にさせておいてくれる?

 …おそらくこの石がついてる可能性もあるだろうしね。見つけた場合は俺達教師に渡すように」


夕陽「…えっ?」


夜咲「…俺は、コレについて調べないといけないことになる。

 …頼むよ」


夜「あ、彼は私が…」


「…蓮花ちゃんは、私が運ぶ」


ルル「…えっと…どなた?」


「…人間バージョンの旭だよ?」


ルル「えっ」


…俺たちは、ルームDにいるはずの彼らを運ぶとするか。

…それにしても、あの石は一体……過去に、どこかで見た気がする…

――――――――――――

(?side)


「…フゥ、世話が焼ける。レンゲといいフレアガーディアンズといい…

 暴走そうしていたとはいえ一度に全員を正気に戻すとは…I was really surprised」


…おっと、いけないいけない。

ついクセが。


「…さて。力を使って気配を消しているとはいえ、そろそろ去らないと。エレメントは案外勘が鋭い子もいるみたいだし」


本当、姿といい性格といい…レット、あの子とそっくりだ。

…なーんてね。










「僕は『エオル』として、レンゲをサポートする。…あの子と、会わせるまで」

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