Episode.13 その頃の彼ら
(夕陽達side)
俺達はエレメントについて、大急ぎでフレアガーディアンズの部屋へ向かった。
夕陽「──月火!」
…いない…。
「お、おい兄ちゃん…大丈夫か?肩貸すぞ?」
夕陽「…悪い…」
真っ先に俺の体調を気遣って、暁美が俺に肩を貸す。
…兄として、情けない。
ルル「ユウヒ!レンゲちゃんは…!?」
暁美「……ん?…ルルネェ!?」
…やはり、こうなったか。
ルルが戻ってきたことに、皆が騒ぐ。
ルル「ごめん…皆…」
ラトナ「…ところで、コイツは?」
夜「烏天狗の夜と申します。以後お見知りおきを」
ラトナ「あ…こちらこそ……ん?(何か違くね?)」
ルル「…ね、レンゲちゃんこっちに戻ってこなかった?」
アーネ「蓮花さん?…いいえ、ルルに会いに行くって言って、夕陽君があとを追うってからは…」
ルル「そんな…」
夕陽「…マズイかもな」
ブレイズ「…彼女が、どうかしたのかい?」
夕陽「…実は…」
…俺は、ルルの家で月火やルルと話したこと。そして、一人で飛び出して行ったことも伝えた。
ヒナ「ちょっと…それマズイでしょ」
カイ「無謀にも程があるだろ…」
リュー「…フィル。分かる?」
フィル「……うん…」
ルル「ホントっ!?」
先程から俺の話を聞きながら、カードで占っていたフィルの発言に、ルルが飛びついた。
…だが、フィルがかなり怯えている…
フィル「…あ、あのね……蓮花のお姉ちゃん…ルームDに…」
ルル「ルームD?…って、まさか…!」
自分の顔が一気に青くなっていくのが、手に取るように簡単に分かった。
…ルームD。つまり…
夕陽「…アイツら…チーム・PJの部屋だ」
…アイツは勧誘された。と言っていた。
つまりは…
フィル「あの、ね…蓮花のお姉ちゃんの他に…九尾の子と、烏天狗のお兄ちゃんがいるんだけどね…」
夜「烏天狗……!!…まさか…兄上!」
夕陽「……落ち着け」
夜「!……申し訳ない…」
…実際、取り乱しているのは俺かもしれないがな…。
夕陽「…それで、月火は…」
フィル「…ごめんね。なんだか黒くてよく分からないの…」
…黒い、か。
フィルは俺達の中でも『千里眼』の能力が優れている。
見えないとなると…少々厄介だな。
「…」
──ヒュンッ
夕陽「!」
突然、何かが飛んできた。
それは、一枚のカードだった。それを取ったとき、何か気配を感じた。
『まったく、世話の焼ける連中だ。こんな連中にあの子任せられるのやら』
…なんか、悪口を言われた気がした。
カードには、あるものが書かれていた。
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今のレンゲは相当危うい。
早く行ってあげなよ。
それが、仲間ってものじゃ
ないかな?
ま、僕の意見だけどね。
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…どういう意味だ。
暁美「…なあ兄ちゃん。今幻聴で『まったく、世話の焼ける連中だ。こんな連中にあの子任せられるのやら』って言われた気がする」
夕陽「安心しろ。それは幻聴じゃなく本物だ」
それはいいとして、『相当危うい』というのは一体…?
──ドォオオンッ…!
夕陽「!?」
ラトナ「オイ何だ今の!?」
ルル「…嫌な予感がする!」
アーネ「あっ、ルル…!」
部屋の外へ飛び出したルルの後を追って、ついた場所。
そこは…ルームD。
ルル「…ねぇ!大丈夫!?」
夕陽「…!?」
ルルが必死に揺すっているのは、傷だらけになった月火の式神、太陰。
腕には月火が肩に乗せていたあの九尾の子狐、旭がいた。どうやら気絶している。
…体といい、特に羽根の損傷が酷いな…
夕陽「…何があったんだ!?」
太陰「…れ、蓮花…お嬢…様……」
夕陽「おい!?…クソッ…」
太陰は俺に倒れこむ形で気を失った。
…どうやら中で何かが起きたらしいが…いったい何が──
「戯けが。愚か者どもが。…調子に乗りやがって」
その声とともに、ルームDから出てきたのは…