Episode.11 「あの野郎…今度会ったら蹴り○ろす★」「はいはい」「…その程度の反応か!?」
まさか…弱みを握られたほうが本当とは…。
…ま、まあ。確かに、こう自宅に引き籠る理由としては頷けるというか…。
夕陽「…奴か」
…声のトーンが低くなったね。君。
あ、ってことは今回シリアスなんだね。
じゃ、シリアスモード入ります。…たぶんな!
太陰「……奴。というのはいったい?」
夕陽「…奴の名は…」
「カーラ・ジャーナリ」
夕陽「!!…」
私が発した言葉。いや、名前にルルさんと夕陽が反応した。
…夕陽はどうやら基本的にポーカーフェイスのようだね。ルルさんは顔が見えないけど、動揺して一瞬腕が震えたからわかる。
蓮花「…一応私ね、情報網は広い方だから彼のことは大体知ってる。
しかもそいつ、やたらと勧誘してきたから余計」
夕陽「…勧誘?」
蓮花「…ストーカーみたくしつこくてね。面倒だったわよ正直」
まぁ魔術札使って逃げたんだけど。
夕陽「…カーラ・ジャーナリ。月火、お前はどこまで知ってる」
蓮花「…一応、顔と名前は知ってるけど…頭の中では記憶したくない」
腰のバッグの中に入っている手帳を取り出す。
頭の中に記憶したくない者は基本、ここに書く。
…一人例外はいるけど。
『カーラ・ジャーナリ』のページを開き、手帳に付いてる紐を挟む。それを夕陽に渡す。
蓮花「…はい」
夕陽「…俺に読めと?」
蓮花「何か問題でも?」
夕陽「……ハァ」
その手帳を見た時、夕陽の目が変わった。
夕陽「…この情報は…」
蓮花「あ、手帳に書いてあるのって私的に重要だと思った部分。
…何か足りなかった?」
夕陽「…いや。俺が見落としてた部分まで書いてある…」
…見落としていた?
ルル「あのー、私話についてけなーい」
夕陽「…この内容は、さすがに読みたくないんだが…」
ルルさんの言葉を受け、私の手帳を面倒臭そうに読む。
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カーラ・ジャーナリ
高身長の為エレメントの高等部に見えるが、中等部。
私的に、老け顔に見える。実物見た時教師かと思った。
半年前から、ジャーナリは不審な動きをしていた。
元々不審な動き=ジャーナリなのだが、半年前からのは特に不審だった。
彼の性格からして、気に食わない奴の噂を流すのが趣味のようだ。正しく能力を使えばいいのに。コイツ反省文書かされないかな。五十以上百枚以内で。
どうやら標的はチームのようだった。詳しく調べてみると、まさかあのチームだった。彼は何が気に食わなかったのだろう。いや、そんなことよりコイツの事必殺「蓮花流★死刑執行」を急所に食らわせたい。
直接会ってみると、いやストー勧誘にあたっただけだが、しつこい。しつこいからわざわざ魔術札使って逃げてやった。自分で言うのも何だが、私の足は速い方だ。逃げ足は更に速い。それでもついてくるとは、彼の執念深さは相当なものだろう。
半年前の動き
・あるチームのデータなどをあさる。使えそうな情報があると自分の手帳に書き写す。
・下調べ。そして盗撮という名でシャッターを切る。
・噂と写真を流し、チームを追い込んだ。
追記:彼の観察能力はとても優れ過ぎている。私も気を付けないと、変な噂を流されそうだ。
更に分かった事は、どうやら他にも能力があるようだ。ルル・ジュエルが自宅待機になった原因も、おそらく彼も関わっている。
不思議なことに半年前よりも前の経歴などを見ても、特に悪い噂を流すなどといった目立ったことをしていない。いったいどういうことだろうか。さらに調べる必要がありそうだ。
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夕陽「…お前のコメントはどうでもいいとして、まさかここまでとは…」
オイ酷くないか?
夕陽「…あるチームって」
蓮花「…アンタの考えてる通り」
ルル「私分かんなーい」
夕陽「…お前な、話聞いてたか?」
ルル「理解できなかった」
夕陽「…ハァ…つまり…」
ここからは夕陽による解説なんで、私は聞き流す。
だって分かってるしー。
(私達空気だねー)
(…そ、そういえば……)
(作者の扱える人数は三人が限界だから、所詮脇役の僕達は省かれたんだろう)
(兄上そういうことは…)
夕陽「…ということだ」
ルル「…えっとー。
あのチームっていうのが私達フレアガーディアンズで、カーラ君は私達の何かが気に食わなくてあの噂を流した犯人?」
夕陽「コイツの手帳に書いてあることからしてそうだろう。
ルル、お前が引き籠りになった日付にも大体合ってるしな」
蓮花「……大体?」
夕陽「…ルルが引き籠ったのは、俺達の噂が流された約一週間後。
月火が『暗っ』と思った通り皆暗くなって…」
蓮花「オイ待てコラ。何で知ってる」
夕陽「…顔に出てたぞ」
蓮花「…マジで?」
…ま、まあ。
大体の真相は分かったし、さっさと解決しないとね。
蓮花「行くよ。旭、大陰」
旭「はーい」
大陰「御意」
夕陽「お…おいどこ行こうと…?」
蓮花「決まってんでしょ、犯人懲らしめに行くの」
夕陽「はぁ!?」
ルル「い、いくらなんでも無謀すぎるよ…」
二人の止めようとする声が聞こえる…
…でもね。
蓮花「…そんなの、やってみなきゃわかんない!」
二人にニッと笑ってみせ、私はそのまま向かった。