Episode.10 ルル・ジュエル
…絨毯、すっごいフカフカだなー。
やっぱ金持ちはすごい。
「…君は、月火蓮花さんだね」
蓮花「えっ?…何で私の名前を?」
「…A教師、といえば分かるかな。
今は休暇を取っているが、一応私もエレメントの教師をしていたんだ。
武術担当でね。今担当しているのは、元は同郷の旧友だからね」
…ってことは、私の情報知ってるってことになるよね?
あんの甘々教師…余計なことを…
夕陽「(…旭ヶ原先生と旧友…だからって、ここまですんなりといくものか…?)」
「…ここが、ルルの部屋だ」
ドアには「LULU」と自分で作ったのだろうプレートがかかっていた。
「…ルル。お前の後輩が来てくれてるぞ」
「…後輩?…分かった、開ける…」
中で物音がして、「カチャッ」と音がした。
そこから出てきたのは…
オレンジ色の長髪。
黒く沈んでいるが、ルビー色の目。
鳥みたいなのがついたリボンの髪飾りを付けた女の子。
…この人がルルさん…身長高いなー。
夕陽「…ルル」
ルル「…」
…無言って…。私空気ー。
「…ルル。私は仕事に戻るが、あとは大丈夫か?」
ルル「…うん」
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ルルさんの部屋に入ると、すぐに…
ルル「…」
…何故に、こんな近いんですか?
夕陽「…あの…ルル。そいつは…」
ルル「…か」
夕陽「…?」
ルル「可愛い――――!」
蓮花「みぎゃあああっ!?」
旭「きゃー」
夕陽「うぇえええ!?…っと!?」
おい何だいきなり何が起きた!?
…ん?あれ、もしかして…あ、状況把握出来てきた。
えーっと…
ルルさんにまず私が抱きつかれたー…それをいち早く察知して逃げた旭を夕陽がキャッチ。
…Σ(゜д゜;)!?
蓮花「うええええぇえ!?どういうことなの!?」
夕陽「俺が聞きたい!」
ルル「小さくて可愛い♪」
夕陽「だーもう!いつまで抱き着いてるんだ!?」
ルル「(´・ω・`)」
蓮花「可愛いから許す」
夕陽「何がだ!?」
旭「大変だねー」
夕陽「…ってお前は他人事かよ!」
夜「時には諦めが肝心ですよ夕陽殿」
大陰「夕陽殿と僕と夜以外は皆、天然です」
夕陽「薄々気付いてたけどな…これはキツい」
蓮花「何が?ていうか、誰が天然記念物だ」
夜「れ、蓮花様…」
大陰「…そういう意味ではないのですが…」
夕陽「…お前は知らなくていい。もうそのままでいいから」
ルル「ホントー?」
夕陽「お前じゃねぇ!!」
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…にしても、意外や意外。
いやね。どっかのゲームで出てくるキャラで引き籠りになった子がいたんだけどさ…
ルルさんの性格明るいって聞いてるし、あのゲームのイメージで暗くなってるのかなーと思ってたら…
なんか、テンション高い人なんスけど。
夕陽「…ルル、一応少しは元気になったのか。
あといい加減ソイツから離れろ」
ルル「んー…」
…え?これで「少しは」?
完全に元気だったらどうなってるんだ。
ルル「ねー君、名前は?」
蓮花「…月火蓮花です」
ルル「レンゲちゃんねー。ね、ユウヒー」
夕陽「…なんだ」
ルル「レンゲちゃん、ユウヒの彼女?」
夕陽「……………は?」
何故にそうなる…。
大陰「残念ながら夕陽殿と蓮花お嬢様は恋仲ではございません」
夜「残念なのか?」
旭「えっとね、蓮花ちゃんと付き合うならねー、その前にあの二人を納得させないと駄目だよー」
夕陽「誰だよあの二人って…第一どうして俺が月火と付き合う前提なんだ!」
蓮花「夕陽ナイスツッコミ(^-^)b」
夕陽「あ、どうも。…って違う!」
ルル「ツンデレ?ユウヒ、ツンデレなの?」
夕陽「何でだよ!?せめてノリツッコミ…あーもう!さっさと本題入れ!」
蓮花「へーい」
(…あれ?そういえば大陰達が自然といる)
(ああ、ピュートが教えてくれたから中に入れたの)
(完全に鳥扱いだな…)
…あ、やっと本題行けた。私達は、ルルさんに事情を聞きに会いに来たというのを説明した。
大陰や夜が聞いたという噂も…。
ルル「…やっぱり、鳥達は分かるんだね」
ピュート「ピー…」
ルル「…でも、半分は正解で半分は違うかな」
蓮花「半分は?」
ルル「私のパートナーの方が違うの。ツバキ、元の世界に帰ってたんだよねー」
夕陽「…元の世界?」
ルル「あ、帰ったと言っても…ブレイスとラトナ、アーネに似てる三人が来て、『ある依頼でその鳥を探していた』…って」
……そっくり、か…。
ん?……依頼?
夕陽「……その三人、どこかの組織とか言ってなかったか?」
ルル「うーん。確かね…『ダイアモンド・ファイア』って、でもエレメントにはいないんだよねー」
…エレメントにいないチーム。
夕陽「…調べてみるか」
旭「ダイアモンド・ファイア…なんか、懐かしい」
蓮花「あれ?知ってるの」
旭「えーっと…蓮花ちゃんは知らないかな」
蓮花「…?」
旭「…(蓮花ちゃん“は”…ね…)」
なんだかよくわからないんだけど旭…。
…あれ?パートナーの鳥の噂が違うってことは…?
ルル「……そして、『弱みを握られた』。
これは正解…かな」
笑ったルルさんの目は、すごく辛そうだった。