Episode.89 後日談
「「……はああぁああああッ!?」」
ひっさびさの蓮花ちゃん視点に戻ったかと思ったらいきなりの重大発表かよ!?
ブレイズ「ねっ…姉さんどういうこと!?」
イブ「そのまんまだ。なぁ桃千」
蓮花「聞いてないってのそんな重大発表!」
桃千「うん、だって言ってないもん」
蓮花「いやいやいや!普通言うでしょ!?──イブさんと、桃兄が婚約者だったなんて!?」
桜花「安心しなさいな。ウチ公認やから」
蓮花「安心出来ないよ!?」
夕陽とめでたく交際を始めた数日後。
(何故か早朝の)ルームFに呼び出されて突然言われた新事実。
ブレイズ「そんっ…!…俺今日から夕陽と蓮花にどう接すればいい訳!?」
桃千「頑張れー」
イブ「ファイトーp(^-^)q」
桜花「すんまへんな」
ブレイズ「(イラッ)」
蓮花「ブレイズブレイズ」
ブレイズ「……何?」
蓮花「p(^-^)q」
ブレイズ「いや君もだからね?……今の何語!?」
あのあと、何故かチーム内で交際の件が広まっていた。
(※夕陽は狼化した兄ちゃんに頭を噛みつかれながらルームに戻った)
そして、ブラックの処分が決まった。
「…あっ、蓮花!」
「よー」
蓮花「おっ、なんか珍しいね二人。こんな早い時間帯から」
『学園内で学業に励め』。なんてことを言われたらしい(固い床の上で慣れない正座させられて)。
で…。
ブラック「あんの野郎に集合命令だされたんだよ…。あー眠ぃ…」
ブラッド「もう、バトラにも言われたじゃんか。早く寝た方がいいって」
「俺に文句あんのかー?クロちゃんよー」
ブラック「あぁ?…やんのかゴラァ」
「お前ら早朝から何してんだよ」
蓮花「おー賑やかー」
ちなみに…二人が所属するのは、PJ。
理由はというと…
──お前に勝つまでゼッテー諦ねぇぞ!つまりお前を傍に置くのは俺ん所だ!文句あっか!?
という、ジャーナリの負けず嫌いという意外な一面。
まぁ、お母さん自身もそれを踏まえ。ほかのチームの意見を検証して踏まえ。
結局のところ、ジャーナリのチームが一番いいということに。
まぁ、負けず嫌いはいいとして…。ヒカルのこととしいい、ブラックのこととい…面倒見がいいな。
…「兄貴」、か。こういう兄が欲しかったなー(真顔)。…じょ、冗談だよ?
ブラッドはというと、特にエレメント学園に通う必要はないんだけれども…。
本人が、決めたらしい。
『僕、色んな世界を見てみたい!色んなこと、学んでみたい!』
…ふんふん。まぁあれからブラッドなりに成長してるらしい。
私から見ても…ああ違う、一番近くで見ていた私だからだ。ブラッドの成長を感じられるのは。
両親が亡くなって、お互い独りが二人になって、私が一方的に閉ざして、以来「成長」を閉ざした。
おそらく…あれだ。ブラックはツンデレみたいなもんだ。
これは私の勝手な考えだけれども、多分…。
魔道書【ナイトメア】に触れた時、闇に染まった…いや堕ちた?まぁいいや。
とにかく闇に触れて、ブラッドが本来ああなる筈だった。だけども、そうはならなかった。
「成長」をしない。汚れることが無い。純粋なまま時間が動かない。
なんらかの形で、ブラッドからブラックという存在が切り離され、生み落とされた。
何にも覚えてないというのは…何かエラーが生じたのかそれとももっと他の何かなのか…?
まぁおそらくはブラックの方が覚えて…いや知っているのだろうけれど、私は敢えて聞かないことにしよう。これは彼の中で、彼が話す気になるまで保存してもらうことにしよう。
まぁ所詮ブラッドという幼い精神の少年から生まれた存在ということだけはあって、結局のところ人は殺せなかったというわけだ。…いや、そもそも人を傷つけるという行為自体無理をしていたのかもしれない。
…なるほどなるほど。そういうこともお母さんは見抜いていたのかもしれない。ふぅむ、流石だ。
どのタイミングで彼が「どうやってブラッドを成長させるか」を考え出したのかは謎だが、「どうやって俺という存在を消すか」を考え出した期間は多分、それを考え出した時だろうね。…あ、でも勝手な推測か。
最初は、ブラッド自身を怒らせようとでも思ったのかもしれない。だけど、そんなことはあの純粋少年には通用しなかった。むしろ、恐縮するだけだった。
次に目を付けたのは、私だったのかな?…なら、説明がつくかもしれない。私に「山風麻奈美」としての記憶を思い出させたのは、ブラッドという少年を思い出してもらおうと。だが、これもまた誤算だった。記憶というのは肝心なものが抜けていることもある。
そのあとは…あぁ、色々やってたなー。結局これも全て失敗。
と…焦り出したのか、ついに強硬手段に出たわけだ。
己を、倒すべき存在として。
…結論。彼はすべて失敗している。と同時にある種成功した。
ブラッドは成長した。そして、今に至る。
…そうだな。もうこれ以上は、あまり詮索しない方がいいかな。
もうここから先は、彼らがいつか、直接語ってくれる時まで待とう。
ここから先は、彼らの物語だ。
私の物語じゃ、ない。