Episode.87 蓮花と夕陽
茜「うん。ただの疲労だねー。安心して一気に出たみたい」
リューが妙に落ち着いている理由がよく分かった。
蓮花「メンゴ☆(*ゝω・*)ノ テヘッ」
ラトナ「女子でもお前じゃなかったら殴ってた」
蓮花「女でよかったー(;゜д゜) セフセフ」
カイ「顔文字多いな…」
ヒナ「そういうもんよ…」
茜「さてさて、これから臨時職員会議と、各チームリーダーの会議があるみたいだよ。ルルちゃん」
ルル「…What?」
ジャーナリ「コイツの件だとよ」
ヒカル「職員と理事長、生徒数人に傷害。どう対処されるんだか」
ブラック「へいへい、悪うございやしたー」
ブレイズ「さてと、俺達もそろそろルームに戻ろうか」
リュー「だね」
夕陽「…」
ラトナ「お前はここに残ってろ」
夕陽「…だが」
ラトナ「少しは察しろ」
周りを見ると………妙にニコニコして……。
…コイツ等…。
ラトナ「頑張れよー(笑)」
夕陽「……お前ら…(怒)」
旭「皆まってー」
ネート「どうする暁美ちゃん、またイタズラする?」
暁美「んー……。……いい、今回は、いいや。
兄ちゃん、やっと素直になったんだからな」
ネート「そっか。じゃあ、行こっか」
暁美「うん!
…まったく、やっと前の兄ちゃんに戻ったな…。……羨ましいぜ、蓮花ネェ」
…何か言われたような気がするが、気のせいだと思いたい。
…くそっ、ヒカルもジャーナリもアイツらまで…。
蓮花「皆して用事あんのかー…。ていうか旭まで行っちゃたんだけどどゆこと?」
夕陽「さ、さぁ…」
アイツ意外と腹黒…いや、天然だ。そうだ天然だ。悪気はないし悪意なんてものは旭にはない。
あったとしても認めない。俺は絶対認めない。
…最近本当に蓮花に感化された気がするな。
夕陽「…なぁ。もしやと思うが、あの時…」
蓮花「あー、うん。たぶん感化されたと思う。一か八かでどっち出るかやってみたんだけどさ、あれ『紅蓮』の方だったら確実に殺っちゃったねー。…本当、『焔』でよかった」
…つまり、ドラゴンブラスでのあの状態になっていたかもしれないということか。
いや…もしかしたら、あれより──考えたくない…一瞬考えただけでも恐ろしいな。
本当に、そっちじゃなくて良かった。
蓮花「まぁ、結局のところどっちだったとしても、どの道殺しはしないよ。流石にそういう制御はできるから。違いといえば…そうだな。何でも力で片付けようとする超暴力的になるか、宛ら何でも知っているかのような口振りの似非専門家になるか…まぁその通り『焔』を持っている間はありとあらゆる『情報』が『知識』になるんだけれども。そのどちらか二つ。
暴力陰陽師、似非専門家。それを足して二で割ったのが、ドラゴンブレスでの状態だから…超暴力的な、かつ何でも知っているといっても過言ではないような感じだよ」
所謂、妖怪みたいなものかな。
寂しげな笑顔でそう言った。
夕陽「……まぁ、一応は安心した。その、もし『紅蓮』を出しても…お前が誰かを傷付けたとしても、蓮花は蓮花のままで…」
蓮花「あ」
唐突に、何かを思い出したかのような声を出した。
蓮花「夕陽さ、私のこと。『月火』から『蓮花』にしたんだ?いつの間に変えたのさー」
夕陽「?…あ…確かに、な…。…いつだろう。殆ど無意識に言っていた気がするな」
蓮花「へー、無意識ねー…?」
夕陽「からかうなよ…、今気付いて…なんか、こう…」
蓮花「別にからかってはないって。たださ、やっと『認めてもらえた』って思ってさ。
ほら、私のこと『月火』ってまだ呼んでたの夕陽だけだったし」
夕陽「…そう言われてみれば」
蓮花「嬉しいんだよ。やっと名前呼んでくれたってこと。
…実を言うとさ。喋れなくなってても、見えて、感じてることは出来た。こうして話している時よりも…『心』から感じ取れた」
夕陽「…心…」
…? 待てよ。もしや…?
蓮花「『蓮花』って呼ぶ声がさ、響いてくるのよ。目を開けたら、夕陽がブラックに銃を構えてるのが見えてさ…咄嗟に言ったんだよね。
『いっけーえっ!!夕陽―――――ッ!!』ってさ」
夕陽「…そうか。…そっか。…そういうことか」
蓮花「え?何々?」
あれは、幻聴じゃなかったんだ。
蓮花本人の、声だったんだ。
そう思うと…本当に、良かった。
夕陽「…」
折角の機会。ラトナ達が気を使ってくれた、折角のチャンス。
遠慮なく、使わせてもらおうじゃないか。
夕陽「…あのさ、蓮花」
蓮花「んー?」
夕陽「…率直な意見を聞かせてくれ。変に気を使うとか、そういうのはいらない」
蓮花「お、おう…」
…こういうのは、妙に緊張するな。
一度深呼吸をして、気持ちを落ち着かせる。
夕陽「…蓮花。俺は…」