Episode.07 鳥使いの町ウィンド
現在、鳥に変化した大陰に乗って移動中。
…やっぱ気持ちいいなー。
夕陽「…高いな」
旭「ななな…何で二人とも平気なのっ?」
蓮花「…さあ?」
そんなこと言われても…。こればっかりは何とも言えない。
…そういえばなんで旭は高所恐怖症なんだろ。
夕陽「…そろそろつくぞ」
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…風が流れる町ウィンド。住民の多くが鳥と共に生活している為。別名、鳥使い達の町と呼ばれる…」
夕陽「…一人言大きいな、お前」
蓮花「そうなの?」
旭「蓮花ちゃん。昔からのクセなんだよね」
……そうだったのか…気を付けないと。
夕陽「…彼は連れて行かなくていいのか?」
蓮花「…うーん、大陰は人が多い所は苦手らしいからね。私達が戻るまで、鳥の姿で待ってるってさ」
夕陽「…そうか」
スタスタと夕陽が歩いていく。
置いて行くつもりか!
蓮花「ちょっ…、ちょっと待ってよー!」
「……」
蓮花「…?」
旭「…どうかした?」
蓮花「…気のせいか」
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夕陽「…うちのリーダーの名前、知ってるか?」
蓮花「…ルル・ジュエル。財閥令嬢だったわね。確かこの町の…──」
「泥棒ーっ!」
…今日はよく遮られるな。そろそろ泣くよ?ま、嘘だけど。
旭「蓮花ちゃん、こっちに来るよ。怪我させない程度にね」
蓮花「うん。分かってる」
「邪魔だ小娘!」
夕陽「!?…オイ月火!!相手はナイフを…!」
蓮花「……大丈夫。想定内だから」
夕陽「…え?」
私は少し腰を落とし、構える。
そして素早く…。
「…!? 消え…──」
蓮花「でぇえりゃッ!」
「がはっ!?」
背中を思いっきり回し蹴りで蹴る。
ドサッと音を立てて倒れる泥棒の男。モブらしい見事な最期だ…(※死んでない)
旭「蓮花ちゃん、お見事」
夕陽「…月火」
蓮花「おー夕陽ー」
──パシッ!!
……ん?
夕陽「馬鹿か!下手したら刺されてたんだぞ!」
蓮花「……」
いやー、だからって人の頬叩く?
旭「大丈夫大丈夫。刺されたとしても、蓮花ちゃんは頑丈だから」
蓮花「旭それ酷くない?」
夕陽「……怪我がないなら別にいいが、無茶するな」
蓮花「…はいはい、分かりましたよ」
………ある意味初めてか。これで心配されたのは。
……思ったより、痛いな。これは…
旭「あ、蓮花ちゃん泣かせた」
夕陽「え?…あっ!?その、ごめん…痛かったか…?」
蓮花「え?あ、ああ…平気平気。この程度どうって事ないって」
…こっちは、な。
いやいや。優しくされるのも慣れが必要か。
蓮花「ほら、さっさと行こうぜ」
夕陽「…」