明日はセンター試験
僕は家を出て、自転車で少し遠い場所へと出かけた。特に用事があったわけではなく、暇な時間が2時間ほどあったので、散歩がてら出かけてみた。
「明日センターかあ。時間もう少し欲しいなあ」
「でも、センターの勉強はもうしなくていい、苦手科目の勉強をしなくて良くなるって思えば楽に思えるよ」
「まあね、じゃあ塾に行くからまたな」
「おう」
男の子は僕の乗っている自転車の方へと向かってくる。僕は立ち止まったまま、彼を見る。彼は下を向いていたので僕のことに気づかずぶつかってしまう。
「すいません」
「気をつけなよ」
「明日センター試験で、考え事をしていたので」
「明日センター試験かあ。でも、前日に車にはねられて受けられないとかになったら、1年棒に振るどころか、人生が終わってしまうかもしれないから、気をつけてな」
「そうですね。下を向いて歩いて、事故に遭わなかったとしても、下を向いた気持ちになってしまいそうですもんね。しっかりと上を向いて歩きます」
「そうだね、上を向いて頑張って」
「頑張ります。では、失礼します」
彼は走り去っていった。上を向く、なにか僕に刺さる言葉を言われた気がした。