後悔
なんて事をしてしまったんだろう!!!!
あたしはっ!
拓己とセックスするなんてっ!
いや、出来てない!そのほうが問題だ。どうしてダメだったんだろう?
あたしの体がおかしいの?
…でもお父さんとは出来てた!
!!!!!!!!!!!!!!!!
何あたし、何あたし、何あたし!?!
いやだ!!!!
きっとあたしの体をおかしくしちゃったんだ。お父さんのせいだ!あたしの体がおかしいんだ!
ごめん、拓己!あたしのせいだよ。こんな汚れたあたしだったからダメだったのよ。
ごめんね、ごめんね、ごめんね、拓己!!!
涙が止まらなかった…
朝になって、現実の恐ろしさがひしひしとあたしに忍び寄ってきた。
『商品に手を出した』
という事実だ。
今まで慣れない仕事だったけど一生懸命頑張ってきたのに!やっと認めてもらえてきたのに。
とんでもないことをしてしまった。仕事を失うだけでない!もっと恐ろしいのは社長の信頼も裏切ってしまったということだ。
あたしはコレが一番何より怖かった…
しゃちょお‥
ごめんなさい ごめんなさい……
殴ってくれてもイイ、首になってもイイ、ののしってくれてもイイ、でも、あたしをキライにだけはならないで! 社長のそばに居させて!お願いします!
お願いだから、あたしを見捨てないで!!
重い気持ちであたしは仕事に向かった。
拓己はもう楽屋に入っていた。午前の収録は1件、拓己ひとりのゲスト出演。午後は"ジェントルマン・エディケーション"だ。フォース4人は紳士授業を受けている。
「おはようございます!」
明るく入る。
「おはようございます」
拓己は屈託なく微笑んであたしに挨拶した。奇妙な感じだ。
「この番組の衣装を持ってきたので、チェックしてください。朝の番組なので、品よい感じのラインになっています。」
「うん。いいんじゃない?」どうでもいいのだ。拓己は。いつも着せ替え人形のように言われるままになっている。奇抜で清潔感のないファッションでない限りは、文句は言わない。
「おはようございます。佐伯さん、拓己。」
「あれ?倉田さん?どしたの?」
楽屋口に倉田マネージャーが立っている。
「うん、佐伯さんを呼びにきたんだ。佐伯さん、社長が呼んでるよ。後はボクが拓己に付いてるから行ってらっしゃい。」
あたしは内心真っ青になった!!!!
「ちょっと午後は私に付き合ってちょうだい」
悲愴な顔をして社長室に入ったあたしに広海社長は、いつもの調子でこう言った。
「あの…どこへ行くんですか?」
「ああ。六本木のほうよ。今日はウィメンズ・スタディがあるの。規模は小さいんだけど、マダムたちが来るなかなかの集まりよ」
「マダム‥ですか?」
「そう。行ってみれば分かるわ。‥‥優奈ちゃん、どうしたの?顔色悪いわね。寝てる?ご飯たべた?」
ぎくり!
「だ、大丈夫です …あはは…」
「拓己とセックスが上手くいってないんだったら、それはそんなに気にしないほうがいいわ‥」
!!!!!!
心臓が止まるかと思った。
絶句。
あたしの顔に答えが書いてあるのだろう。
「その話はまたこんど!さ、行くわよ!」