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破壊者の友情物語  作者: CLOUDZERO310
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破壊者の招待

魔法と魔術の違い…最初の授業はそんな退屈なものだった。

俺は欠伸を堪えながら教員の話を聞く。

前の席のミラネは相変わらず窓の外に興味があるようだ。

まったく…理解できない。風景が楽しいのか?

「ミラネ・ラグフォード、余裕そうだな。魔法と魔術の違い、言ってみろ」

授業中、集中していない生徒によくあるパターンだ。

普通ならここで、問題に答えられずに赤っ恥をかく。

だがミラネは怠そうに立ち上がると、教員を見下すような眼をして言い放った。

「魔導とは魔法と魔術の総称。魔法が感覚、センス、暗記など芸術、文系の知識が必要になる魔法陣を使うのに対し、魔術は基礎である魔法をふまえた上で、難関な数式に似た術式を解くための応用力が必要になる。よって魔法より魔術のほうが高位である」

一気に早口で喋り終えると、ミラネは腰を落とした。

教室内からちらほらと拍手が上がった。

教員は驚いた顔だ。

ミラネの机をさっと窺うと、教本の類は一切ない。

暗記…魔導師なら当然なのだが、低レベルの中でそれが出来ていたことは、評価出来た。

…やはり…こいつ。

俺は一文字たりともメモをとっていない…とる必要性を見いだせなかった。のページを破く。

そこにペンを走らせた。因みにシャーペンはシャーペンのままだ。

何でも魔導化すれば便利になるわけではない。シャーペンには完成した使い易さがある。

書き終えた紙切れに簡単な魔術式を仕込み、ミラネの背中越しに投げた。

「!……」

ミラネはそれに気づいて紙切れを拾い、俺を睨みつけた。

紙には一言。

Welcomeと書いた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜


放課。

ミラネは紙切れを広げ、そこに魔力震波を放った。

術式に共鳴し、行き先を紙切れから漏れた光が示した。

…あのガゼットとかいう優男…。

一年生が魔術を操るなど、聞いたことがなかった。

「…何者だ…」

光の指し示す方へ、廊下を歩いた。

気付けば人気の少ない場所だった。

…魔法陣資料保存室だ。滅多に人は来ない。

薄暗い部屋の中で目を凝らすと、ガゼットが立っていた。

俯きがちで…不気味だった。

「何の用だ?」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜


やっと来た。警戒した目で俺を見る。

「何の用だ?」

「…ミラネ・ラグフォード。手合わせ願う」

「何を…っ!」

気づかれた。流石、見込みがある。

ミラネは一歩踏み出し、すぐに跳びのいた。強襲系魔術式だったのだが。

「お前っ何のつもりだ…っ!」

慌てるミラネに向かって、俺は飛び掛かった。

ミラネが障壁魔法陣を展開させるが、片っ端から砕く。

「…うぐっ…離せ!」

首を掴み、ミラネを床に押し倒す。強気な眼光の奥に怯えが見え、とてつもなく愉快だった。

俺はミラネに顔を近づけて笑った。

「優男っ…お前!」

「貴様の負けだ。罰ゲームだ」

豹変した俺の態度が理解できないのか、ミラネは目を見開く。違う。

豹変じゃない。これが俺…なんだ。

「や、止めろよ!」

「黙れよ…雑魚が」

俺は口を大きく開けると…

ミラネの首に噛み付いた。



誤植訂正しました

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