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破壊者の友情物語  作者: CLOUDZERO310
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破壊者の憂鬱

お久しぶりです!

狩りの開始だ。

闇夜の冷ややかな風の中、黒い前髪がなびいて目にかかる。

走りながらそれを払い、取り戻した視界には流れる夜景が背後に消えていく。

校舎の屋根上を駆けることは、楽しい。

人間を見下ろし、人間には出来ない力を爆発させるように使う。

「何処だ…?」

2学年の校舎にたどり着いた。

授業のとっくに終了した校舎だが、所々に人の影を見ることが出来た。

おそらく、幽霊の噂を聞き付けた馬鹿な連中が、肝試しでもしに来たのだろう。

本当に…愚か。

何が徘徊しているのかも知らずに…。

視力は人並みにあるし、なにより俺は夜目がきく。

だが視界が広いわけではない。

両眼が顔の前にある以上、人間と変わらない視界。

それを使って人を探すのは効率が悪い。

目を閉じ、聴覚のみを活性化させる。

音が鮮明になり、全ての雑音が消え去る。拾いたい音を探した。

足音を幾つか聞き取る…その僅かな音質の違いから、以前会った夏目夏樹の足音を探さなくてはならない。


…見つけだした。

一つの、明らかに人間とは違っている足音。北西の位置。

俺は強く屋根を蹴り、宙に身を投げ出した。

落下していく。風が頬に当たり、冷たかった。

足音を殺して着地すると、目の前の噛み付き魔は驚いたようだった。

まさか空から人がふってくるとは思わなかったのだろう。

いくら下級悪魔といえど、知能は僅かにあるようだ。

「夏目夏樹だな?」

「…ぎ…ぎぎぎぎ」

骨が軋むような音を、夏樹は喉の奥から漏らした。

焦点が定まっていない。やはり下級。

「貴様に選択肢をやろう。選べるだけ感謝するがいい」

「が…ぁ?」

「聞け、貴様は俺の生み出した悪魔であり破壊者であり吸血鬼だ。貴様には俺に従う義務がある」

言葉の内容と、内容が自分に不利なものであることくらいは分かるのだろう。

夏樹は俺を見て、唸り声を上げはじめた。

主人に向かって、随分無礼なことだ。だが下級ならば仕方ない。許すことにする。

「従うならばある程度の知能をやろう。もちろん、悪魔化すれば知能は無くなる。二重人格に似ているか…人ではないが。断るならば殺す」

「ぎぎ…っ!!」

これだから下級は困る。本能だけの…虫にも劣る存在。

こんなものを相手にするだけで憂鬱になるが、仕方ない。

目的の為だ。

学園を破壊するのは俺だ。

「選べ」

突然夏樹が飛び掛かって来た。下級といえども人間より素早く、尖った爪を振り下ろす。

頭上に迫ったそれを右掌で受け止めた。

尖ったものが皮膚を破る。血が溢れた。

掌から溢れ、手首を赤い筋が伝う。

「…フン…主人に牙を剥くか?」

握り込んだ手を右に思いっ切り投げた。

夏樹は軽々と宙を舞い、石壁に背中を強くぶつけた。

掌が血で汚れて気持ちが悪い。

唇を近づけて、舐め取る。甘い。だが腹は満たされない。

当然だ…吸血鬼と呼ばれようが、俺は血を吸う生物ではない。

首筋に突き立てた牙からは、血を出している。

ガゼットブラッドを注入している。

厳密には吸血鬼ではないのだろう。

両眼に力を込めて夏樹を見下ろした。

翡翠色の魔力を纏い、力の差を思い知らせてやる。

びくっと夏樹は体を震わせ、怯えた目をした。微笑んでやる…頬が痛い。

「さあ…どうする?」

「…ぐ」

頭を垂れた。

満足だ。俺は夏樹の首筋に唇を這わせると、牙を突き立てた。


更新遅めですが、よろしくお願いします!

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