9話:獣人って、見ちゃうよね
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私とミケがビッグベアと初めましてをした場所。地図を拝借した、ジェイクさんのところへ3人を案内した。捜索依頼を出されていたのは、彼で間違いなかった。
「ビッグベアにやられたんだな。致命傷の跡と、コイツの爪痕が一致してる」
「ウラナの言う通りだったわね。まさか、こんな形で見つけるなんて」
キャサリンさんが傍らに跪いて祈りを捧げる。タークスさんとヴィンセントさんは周囲を確認していた。私は、地図だけ道具袋からいただいたこと、ビッグベアに遭遇したのでカードも持ち出してしまったことを正直に話した。隠してトラブルになったら嫌じゃんか。3人とも、状況的に仕方ないと言ってくれた。冒険者の死体から道具類を持っていく人も多いらしい。
罰当たりじゃないかな、って思うのは私が安全な国にいたからだろうな。
「アンデッド化する前に回収できてラッキーだな」
「そうね。アンデッドになってたら、もう一度死を体験してもらうことになっていたもの」
アンデッド。ちょっと個人的にドキッとしてしまった。私は別に腐敗臭しないからね。人間とほぼ変わりません。
「よし、ジェイクの遺体も回収した。冒険者ギルドまで運ぶぞ」
シート状のもので遺体をぐるぐる巻きにし、板の上に載せた。板には紐が付いていて、そりみたいに引っ張るみたいだね。こんなデカいのどこにしまってあったんだろう。
「ジェイクのギルドカードは私が預かってもいいかしら」
「あ、はい。地図も渡しますね」
「真面目ね。確かに、受け取ったわ」
地図とギルドカードを渡す。キャサリンさんは受け取ったものを小さなポシェットにそのまま入れた。明らかに地図が入らないだろって思うけど、すんなり入っていく。容量どうなってるんだろう。
「魔法鞄よ。見た目よりたくさん入るの」
「へぇー、魔法みたい」
「魔法道具だもの。魔法よ」
魔法ってついてるんだから、魔法だわな。異世界人丸出しで参りましょう。色々疲れてるんだよ。ユルシテ。
「……本当に異世界人なのか」
「ア、ハイ」
「異世界人なら、獣人は見慣れないんじゃないかしら」
見慣れないどころかいませんね。いや、漫画やアニメとか、二次元にはいるよ。けど現実にはいませんでしたね。だからついつい、ピコピコ動く猫耳とか、ゆったり揺れる尻尾を眺めてしまう。セクハラに該当するんじゃねぇかとひやひやしている。純粋な気持ちで見ているだけです。通報だけは止めてください。お願いします。
「ウラナの元いた世界は知らないけど、この世界では獣人差別があってね。ヴィンセントは警戒心が高いの。ツンツンしてても許してあげてね」
「え、いや。私も物珍しさについつい見ちゃうので、怒られても仕方ないというか。訴えられたら普通に負けるというか」
「……少し見られたくらいで怒ることはない」
獣人差別とかあるんだ。私は猫至上主義者なので、獣人だろうが味方でありたいと思います。1番はミケだけどね。
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