7話:ヒーローか、はてまた
この話もお楽しみいただけたら嬉しいです。
衝撃が来ない。恐る恐る目を開くと、近くにいたはずの熊はいない。
「よっしゃ! こっちこいやー!」
「グオォオオオ!」
私の背後、坂の下の方から声がする。熊の雄たけびと、人の声だ。視線を向けると、大きな盾を構えた男性と、猫耳の生えた男の人が熊と戦っている。
「瞬間刃」
猫耳さんが呟くと、短剣がきらめいて熊に幾筋もの傷をつける。すごい、何が起こってるのか全然見えないよ。あの人たちは味方なのだろうか。控えめに言って、あの熊を翻弄する程度の実力はありそうなんですよ。そんな方々が敵になったら即死も免れない気がするんですね。私の明日はどっちだ。
「あらあら、ひどい怪我ね」
「うわっ!? 誰ですか!?」
「驚かせてごめんなさいね。貴女を助けたいから、暴れないで欲しいのよ。できる?」
「ア、ハイ」
いつの間にか近くに金髪でナイスバディの美女が立っていた。白いローブを着ていて、杖を持っている。聖職者、なのかな。
「まずは傷を治しちゃうわね。治癒」
杖の先から優しい光が溢れ出し、私を覆う。あっという間に痛みが引いて、怪我が治った。ちょっと見られないくらいひどい擦り傷があったのに、痕も残ってないよ。
「他に痛いところはあるかしら?」
「あ、ないです。ありがとうございます」
「どういたしまして。……あっちも終わったわね」
美女が視線を向けた先には、熊が血だまりを作って地面に転がっていた。えぇ、たった2人であの熊を倒したの? 見た感じ、お2人とも無傷ですよね。控えめに言って人間卒業してらっしゃるのではなかろうか。
私がぽかんとしてその光景を眺めている時、ミケは後頭部に張り付き直して「ほぁー」と鳴いた。いや、どうでもいいって、ミケさん大物過ぎませんか。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
感想やリアクションをいただけると、今後の執筆の励みになります。




