6話:猫好きとして守らねばと思いました
この話もお楽しみいただけたら嬉しいです。
熊の実物を初めて見ました。高さは私の倍、横幅は私の3倍以上ありそうです。熊ってすっごくおっきいんだなぁ。
んなわけない。
目線を合わせながらじりじりと後退する。ビビりすぎて一周回って冷静になってるよ。動物園とかテレビで見るよりも明らかにサイズ感がおかしい。一撃でも当たったら死ぬってば。
「ッシャアアアアア!」
ミケはずっと威嚇してくれてる。しかし、肩の上だと逃げる時に落とすかもしれないので、ゆっくりと私の腕の中にしまった。私とミケのDEX差的に、落としたら追いつけないからね。
じりじり、距離がだいぶ開いたけどもまだ怖い。足元の草の背が高いんだよね。油断したら絶対転ぶやつ。もっと離れたいんですよ。
「ギャアアアアア!!」
「無理っすよね、そうっすよね、襲いますよね、知ってた!!」
距離がある程度離れたところで熊が威圧するように後ろ足で立った。その隙に私は振り返り、全力で走る。両腕はミケを捕まえてるから走りづらさがあるけど仕方ない。命がけで走れ、走れ!
鈍い音が後ろをついてきている。絶対に追ってきてるね。私にはわかる。だって、命の危険的な感じがビシビシとするんだもの。足を止めたら死ぬやつですわ!
「ローファー走りづらいんだよぉ!」
「フーッ」
「え、なに!?」
ミケが腕の中で移動する。落とすから止めてくれ。ミケが見ている方に視線を向けたら、下り坂っぽくなっていた。
私は下り坂に向けて走り出す。熊は体の構造的に、下り坂を走るのは苦手って何かの漫画で見た! その可能性にかけて走る。
「グゥ!」
下り坂をローファーで走るのは辛い。知ってた。それ以上に熊も走りづらそうだ。明らかに声が若干遠くなっている。漫画知識って馬鹿にならないんですね! ありがとう、何かの漫画!
「シャア!」
「おあっ、何!?」
足元から何かが出て来た。それは後ろの方に向かって行ったが、詳細は見えない。後ろの方で「ギャア!」って声がしたから、何かあったんだろう。一生懸命に足を動かしているので見えないんですけどね!
「急げ、急げ、頑張れ私の足!」
転ばないように、かつ、スピードを落とさないように走り続ける。長い下り坂だ。どこかで熊をまけるといいんだけど。
「あっ!」
「ウァン!?」
ローファーが脱げた。恐れていたことが起きてしまった。その衝撃で私は坂を転がり、ミケも投げ出される。私は坂を何回かゴロゴロと転がり、いろんな所を打ちつけながら止まる。
「うっ、いたぁ」
「にゃぁん。ッシャーーー!!」
ミケが私の前に立ち、熊を威嚇している。熊は私が止まったことに余裕を見せているのか、ゆっくりと追い詰めるように距離を詰めてきていた。ミケが尻尾を強く振るうと、影が伸びて熊に襲い掛かる。しかし、力の差がありすぎるのか、影は熊の手によってかき消されてしまった。
「逃げなきゃ、いったぁ」
「シャアアア!」
「オォオオオオ!」
「ミケ!」
熊がとうとう近くまで来てしまった。前足を振り上げてミケに攻撃しようとしている。猫を愛する者として、猫は守らねば。ミケを強く抱きしめる。
「強制注視!」
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
猫の下僕としては、猫の安全を第一に考えたいですね。
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