34話:前に出たくて出てるわけではないんです
ちゅんの案内でグレートボアが襲われている場所に到着した。1頭はすでに事切れていて、1頭もボロボロの状態だ。
「上位種がいない? ゴブリンだけでグレートボアを討伐したってことか!?」
「異常ね。どうする?」
「ゴブリンを倒すぞ。イレギュラー相手に食料を与えるわけにはいかねぇ。ヴィー、一緒に突っ込むぞ」
「わかった」
タークスさんの掛け声と同時に、ヴィンセントさんも飛び出す。タークスさんがフォースロックで視線を集め、ヴィンセントさんが1体ずつ仕留めていく。
「ウラナ、ちゅんをクロ達のところに行かせて。今回のゴブリン達、ちょっと異常だわ」
「わかりました。ちゅん、クロ達のところに」
「ちゅん!」
私はいまいち危機感が分からないけど、3人にとってこの状況は危機感を覚えるもののようだ。キャシー姉さんはすでにタークスさん達のサポートに入ってる。私も援護しないとな。
キャシー姉さんに近いゴブリンを倒す。私は『暗殺』のスキルを使って、視覚外からの攻撃。ミケは私の肩にしがみついて影魔法を打っている。ただのゴブリンしかいないので、すぐに倒せるんだけど、数が多い。
「ギャア!」
「グゥッ!」
ゴブリンがグレートボアを攻撃してる。これ、倒されたら経験値入って、進化する可能性とかあるよね。私はグレートボアの前に立って、ゴブリン達の追撃を受け流す。手袋でも買えばよかった。木の棒を流すときに棘が刺さって痛い。
「ブモッ!?」
「下がってて、って言ってもわからんか」
「にゃあ!」
ミケがひと声鳴くと、グレートボアは戸惑ったように後退した。暴れる様子もない。どうやら、ミケが大人しくするように言ってくれたようだ。できる猫ちゃんである。
「ウラナ、前に出るな!」
「あれ? ヴィンセントさんとタークスさん、なんで後ろから」
「お前が俺らを置いてグレートボアを助けに入ったんだって!」
後ろから2人が追いついてゴブリンを倒していく。おっかしいな。追い抜いた覚えがないんだけど、気づかないうちに追い抜いてたってことか。これがDEX3桁の力ってことか。召喚士って中距離で戦うジョブのはずなのに、その自覚がない。
その後もたびたびヴィンセントさんに叱られながら、ゴブリン達を倒した。上位種は1体もいなかったようだ。数だけ多いって厄介だね。
「お前、しばらくはキャシーの横で魔法職の距離感を勉強しろ」
「はい。すみませんでした」
「ヴィーがずっとはらはらしてたな」
「当たったら瀕死の自覚がない所がねぇ」
ヴィンセントさんがめっちゃ怒ってる。おっしゃる通りなので、甘んじて叱られておく。ただ、ここで言い訳をさせてもらえるなら、私の攻撃手段が『暗殺』スキル限定なのも悪いと思うの。短剣だから、近づいて背後から切りかかるしかないんですよ。私のDEXが高いから、一撃で仕留められるから、サクサクと倒せちゃってね。ついつい、敵のど真ん中にいっちゃってさ。遠距離の攻撃手段を覚えるしかないよね。
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