33話:ゴブリン、多くない?
ポテラ村の近くまで来ました。現在、戦闘中。
「ウラナ!」
「暗殺刃!」
ゴブリンの視覚外から短剣で切り付ける。急所にも入ったおかげで、ゴブリンは「ウギャッ!?」と悲鳴を上げて絶命した。命を奪い取った感覚に怯んでる暇はない。
「次が来たぞ!」
「ぶるるっ」
「ちゅん!」
草むらから新たに現れたゴブリン。1体はクロが頭を打ち砕き、もう1体はちゅんが幻覚を見せて惑わせる。混乱している間に、ミケが影魔法でとどめを刺した。
「これで、全部かしら」
「3体かと思ったら5体もいたな。ポテラ村はすぐそこだぞ。どうなっているんだ」
「村の周辺で出ていい数じゃないな」
そう、ゴブリンの数が大分多い。ポテラ村まであと少しの看板付近ではチラホラと見かける程度だったのだけれど、近づくにつれてゴブリンとのエンカウントが増えてきた。幸い、上位種との遭遇はまだないんだけど、こうも連戦だと気が滅入る。
「これは、もしかしたらゴブリンのデカい群れができてるかもな」
「面倒なことになりそうね」
「ウラナ、周辺をちゅんに偵察させてくれ」
「了解です」
ちゅんに周辺の偵察をしてもらう。偵察に出しておいて何ですが、偵察結果をどうやって判別したらいいんだろう。ヴィンセントさんに言われるがままにGOサインを出しちゃったけど、ちゅんの言葉なんてわかんないぞ。なんとかなるか?
「ホァー」
「次があるかもしれないから、気を抜かないでよ」
「にゃん」
ミケは人間の言葉をわかってるっぽいんだよなぁ。きりっとした顔をしちゃって、可愛いね。緑子もやる気があるアピールなのか、頭をゆらゆらと大きく揺らしている。クロは、ちょっとアドレナリンが出てるみたい。涎がだらっだらである。こうやってみるとランページ・スティードなんだなぁって思うよ。顔を撫でて宥める。首を振られて涎がかかった。うん、興奮してる時に近づいた私が悪い。
「ぢゅん!!」
「あだぁ!?」
涎をタオルで拭いてたら、後頭部にちゅんが突き刺さった。HPがゴリッと減ったんですけど、私、弱すぎ?
「ぢゅぢゅ! っぢゅん!」
「ちゅん、落ち着いて、髪の毛が、それよりもHPが」
「シャア!」
ミケの一喝でようやく落ち着いたようだ。私のHPは4割ほど減ってます。キャシー姉さんが回復してくれました。お手数をお掛けして申し訳ない。
「偵察で何かあったのかもな」
「なにを言ってるのかさっぱりわからないわね」
「ちゅーん……」
一生懸命に説明しようにも、言語の壁が立ちふさがる。仲間になってからの経歴が長ければ、鳴き方や身振りから読み取れるんだろうけど、今はまだ歴が浅くてあてずっぽうだもんな。どうしたものか。
「ちぃ!」
「とりあえず、ちゅんが見た物の場所に案内……えっ!?」
「どうしたの?」
周りの景色がにじむ。しばらくすると、森の風景が浮かんできた。これは、ちゅんの幻覚か! 空を飛んでいるように景色がすぎていく。かなり高い所なので、高所恐怖症の人にはとてもおすすめできない光景だ。まぼろしってわかってなかったら、今頃転げてると思います。
『ぎゃぎゃっ!』
『ぎゃー!』
ゴブリンの鳴き声だ。ちゅんも気づいたようで、高度を下げて探っていく。しばらくして見えてきたのは、大きな猪を袋叩きにしているゴブリンの群れだ。猪はクロよりひと回り小さいくらいのサイズ感。これを袋叩きにしてるって、狩りをしてるってこと? 1頭はすでに動かなくなっていて、1頭も危なさそうだ。ちゅんは急いで方向転換し、すぐに私の後頭部が見えてきた。
「ゴブリンが大きな猪を狩ってたみたいです」
「大きい猪、ここらへんだと大猪がいるな」
「上位種も交えて狩りをしているのだとしたら、おかしくないわね」
「場所はどこだ」
ちゅんに先行させて、ついていく。道が悪いので、馬車の護衛としてクロと緑子を残していった。クロはともかく、緑子は危ないんじゃないかって? 大丈夫。あの子、さっきも毒液でゴブリンを毒殺してた。クロの体に張り付いてれば、やられることはないと思う。
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