30話:打ち上げ
ちゅんと契約したので、従魔登録証を貰いに冒険者ギルドに戻りました。手続きしたら、リズさんびっくりしてたな。ミラースパロウをテイムする人はいるけど、森にいる個体の方が強いから、首都にいる個体をテイムする人はなかなかいないらしい。ちょうど良く降ってきたから仕方ないね。明日の遠征でも馬は契約することが決まってるので、従魔登録証を2個貰っておいた。1個は予備だね。登録証がないと、国に入れないから、余分に貰っておくテイマーも多いみたい。
必要なものの買い物を済ませ、タークスさん達がおすすめのご飯処へ向かった。ランページ・スティードの肝刺しを食べるんだって。楽しみなような、怖いような。
お店はテーブル席とカウンター席があった。すでにお酒が入った人達がいて、とても陽気な雰囲気に包まれている。看板娘のステラさんがテーブルに案内してくれて、注文を聞いてくれた。タークスさんは鞄からランページ・スティードの肝を取り出す。汚れないように、クッキングシートみたいな、油紙ってやつに包まれてるよ。さすがに内臓を鞄に直はない。魔法がかかってても、衛生的にアウト。
「わぁ! ぷりっぷりに太った肝。美味しそうですねぇ!」
「肝刺しにしてくれ。タレはいつものやつを頼む。あとは、ウラナって酒飲むか?」
「ジュースかお茶をお願いしたいです」
「わかった。エールを3杯と、アップルハニーを1杯。肝刺しにあう飯を少し頼むわ」
「わかりました! 肝刺しは今からさばくので、少々お時間いただきます」
肝をもってステラさんは厨房らしきところに入って行った。失礼にならない程度に周りを見回す。隣のテーブルで食べてるトマトソースのパスタが美味しそう。トマトソースっていうより、ボロネーゼかもしれない。ボロネーゼよりもお肉がゴロゴロ入ってる。トマトベースのスープもある。
「ここは日替わりで色んな料理が食べれるんだよ。今日のパスタはトマトベースみたいだな」
「大量に仕込むから、味に深みが出て美味しいのよ。ここのエールは氷魔法でキンキンに冷やしてくれるし、アップルハニーも果汁と蜂蜜の配合がちょうどいいのよ」
「魚も美味いぞ」
「にゃっ!」
魚が美味しいという言葉にミケが反応した。緑子は何を考えてるかわからない顔で二の腕に張りついたままです。ちゅんは緑子とは逆の肩に乗ってる。ミケが動くたびにビクッとしてるから、ちょっと怖がっているようだ。早く慣れようね。
「お先にエール3杯とアップルハニー、焼き魚の塩抜きに、青菜の盛り合わせドレッシング抜きと、炒ったナッツの盛り合わせ塩抜きになります!」
「わ、ありがとうございます」
「いえいえ。ごゆっくり!」
木樽のような見た目のカップになみなみとジュースが入ってる。漫画やゲームでみるやつだ。ちょっとテンション上がる。焼き魚と青菜とナッツはミケ達のご飯だ。ナッツは人間も食べるから、量を多めにしてもらってる。
「よし、じゃあウラナの加入と初戦闘に初契約、初報酬を祝って、カンパーイ!」
「かんぱーい!」
「乾杯」
「か、かんぱーい」
カップをごちんごちんとぶつけ合う。3人は全員とあわせ終えると、エールを一気に飲み干した。私も真似をしてカップをあおる。リンゴ果汁と、はちみつの甘さが絶妙にマッチしていて美味しい。くどくなく、果汁の爽やかさと蜂蜜のまろやかさがたまらない。キンキンに冷えているのも良い。簡単に言うと、めっちゃ美味しい飲み物だ。
「美味しいですね。アップルハニー」
「でしょう? 私も2杯目はアップルハニーを飲むわ」
「女の子はアップルハニー好きなんだよなぁ。甘すぎないから、俺もたまに飲むぜ」
「子供から大人まで飲める、がアップルハニーの売り文句だ」
たしかに、子供から大人まで好きな味をしてるよ。
「ぴちゅちゅっ」
「ん? あ、ナッツが大きいから食べられない?」
「ぴっ」
ナッツが大きくてちゅんのくちばしでは食べられなかったようだ。突いても転がるだけであんまり意味がなさそう。見た目はカシューナッツみたいなんだけどな。指でぎゅっと潰してなるべく細かくしてあげた。細かくしてあげるとちゅんは「ぴゅいぴゅい」鳴きながらナッツをついばんでいる。沢山お食べ。
いつの間にかミケがナッツのお皿に手を突っ込んで、1粒テーブルに転がしてた。そのままちょいちょいっとナッツを転がして遊んでいる。食べ物で遊ばないの。遊ばれているナッツを指でつまむと叩き落として食べそうになったから、急いで回収して私が食べた。猫にナッツを食べさせてはいけません。
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