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召喚士なのに前に居る  作者: マナ
2章:駆け出しの冒険者

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24/33

24話:初契約は青虫

「いったい何が起きたんです?」

「なんだ、気づいてなかったのか」


 ヴィンセントさんが言うには、ランページ・スティードを倒したのは私らしい。暴れるヤツにしがみついていた時に、短剣が首にぶっすりと刺さっていたらしいのだ。打ち上げられたときにも、短剣を離さなかったおかげで、動脈がばっさりと切れた。私が打ち上がってる間に血しぶきもばらまかれ、ランページ・スティードは事切れたということだ。

 私はそんなことになってるとは全然気づいてなかった。なんか右手が熱いって思ってたけど、血を被ってたからなんだね。短剣を握っていた腕は真っ赤になっていた。うへぇ。


「偶然とはいえ、ランページ・スティードを倒せるなんてな」

「ラッキーなのかな。いや、乱入されたことを考えるとアンラッキー?」


 ちょっと判断がつきませんね。


「うるるる”っ」

「さっきから何してんのさ」

「このグリーンワーム、ずーっといるのよねぇ」


 ミケがまたグリーンワーム相手にシャドーボクシングしてた。こう、攻撃しようとやってるんじゃないんだよ。肉球だけでソフトタッチしてるの。傷つけたり、狩ろうという意思はないようだ。グリーンワームも何考えてるのかわかんない顔でじっとしている。猫と違って表情ないもんな。


「にゃーん」

「なに?」

「うるるる”っ!」

「どうしたのよ」


 ミケが服をよじ登って肩に乗ってきた。そのまま、甘えた声を出して私にすりすりしている。何をどうしたいのよ。あと、喉を踏むの止めてね。苦しい。

 うろちょろされるので、ミケをだっこした。そうしたら、今度はグリーンワームが私の体を登ってくる。私の体は山ではない。


「仲間になりたいんじゃないかしら」

「グリーンワームがそんなこと考えるか?」

「ミケちゃんは気に入ってるみたいよ」


 キャシー姉さんの言葉は一理ある。なぜって、グリーンワームが二の腕に張り付いて落ち着いてしまったのだ。ミケは肩に乗っている。肩からグリーンワームに向かって前足を伸ばしているが、明らかにグリーンワームの頭を撫でているのだ。いつの間にそんなに仲良くなったんだよ。会ったの、ついさっきだろ。


「仲間にしたいの?」

「うにゃあん」


 可愛い声で鳴きよる。


「キミも、仲間になりたいの?」

「……」

「うわ、びっくりした」


 なんとなく問いかけてみたら、糸を吐いてしがみついてきた。私とミケと自分を糸でひとまとめにしている。これは、肯定と受け取っていいんだろうか。


「初討伐の次は初契約、やっちゃいましょう」

「グリーンワームなら飯代もそんなにかからないしな」

「ウラナが虫嫌いじゃなければいいんじゃないか」


 虫は苦手だけど、グリーンワームはファンタジー感があるので耐えられますね。試しに契約してみるか。それにしても、契約ってどうやるんだろ。

 ミケは女神がくれた召喚獣だ。契約っていうものをした覚えがない。私がミケにしたことと言えば、名前を付けたくらいだ。


「……緑子(みどりこ)

「にゃ?」

「お前の名前は緑子にするよ」


 試しに名前を付けてみる。今回も直感だ。緑色の子だから緑子。若干女の子っぽいが、雄でもギリ大丈夫でしょう。緑子の様子を見ると、頭を上下にゆらしている。これは、喜んでるのか?


-----

名前:緑子(みどりこ)

性別:♀

種族:青虫(グリーンワーム)

スキル:糸、毒液


LV.8

STR:6

DEX:3

VIT:6

INT:10

MND:15

-----


 ステータスを見られるようになった。へぇ、INTとMNDがちょっと高めなんだ。毒液というスキルもあった。毒使えるんですか?


「契約できたか?」

「できました。グリーンワームってけっこう危ないんですね」

「グリーンワームは雑魚の代表格よ」


 毒液スキルのことを伝えたら、3人とも驚いていた。グリーンワームが毒液を使う所を見たことがないし、聞いたこともないようだ。基本的に、糸を吐いて、そこら辺を這ってるだけの魔物らしい。


特殊個体(ユニーク)なのかもな」

「はぇー」


 稀に、レアなスキルを持って生まれてくる個体がいるようで、そのことをユニークと言うようだ。ファンタジー。それにしても、たまたま遭遇して、ミケの玩具にされてたヤツで、初契約した魔物がユニークだなんて、どんな確率だよ。めっちゃレアな体験をした気がする。

 ちらっと『豪運』のスキルが頭をよぎったが、目をそらしておいた。気にしたら自己主張が激しくなる気がしたからね。そっとしておいた方がいいのよ。私の種族と同じ感じ。

お読みいただき、ありがとうございます。

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