10話:はじめての国
10話目を迎えられて嬉しく思います。
この話もお楽しみいただけたら嬉しいです。
冒険者の国、アルヴェリア。草原から少し歩いたところに、その国はあった。冒険者ギルドの本部を抱える国で、貿易が盛んらしい。住みやすくて良い国だ、とタークスさんは言った。
「壁たっか、……威圧感すご」
「魔物除けの壁よ。ウラナの世界にはなかったの?」
「私のいた世界では魔物なんていませんでしたから」
こんなでっかい壁が必要なくらい魔物がいるのか。異世界って怖いな。
「キミ、旅行者かな。ギルドカード、もしくは免税証明がないなら、入国税を払ってもらうよ」
国に入るのにも税金がかかるのか。いかにもファンタジー小説っぽい話だ。しかし困ったな。私は無一文である。税金を払えない。
「すまん! 言っとくの忘れてたわ。入国税って銀貨1枚だったよな」
「そうだよ。タークスが立て替えるのかな?」
「この子はちょっと訳アリでな。保護した手前、助けてやりてぇだろ」
「相変わらずのお人好しだな。キミ、保護したのが小さな盾で良かったな」
「バックラー?」
初めて聞く単語に首をかしげる。ミケが後頭部から落下しない程度に抑えたんですが、居心地が悪くなって結局怒られた。頭皮に爪を立てるのはやめてください。ハゲてしまいます。
「俺たちのチーム名だよ。小さな盾でバックラー」
「手の届く範囲で人を助けたいっていう願いを込めてるのよ」
「おお、素敵なチーム名ですね」
「でしょ? 私も気に入ってるのよ」
手の届く範囲で助けたい。素敵な願いだ。私も親友を助けられるように強くなるぞ。
入国税はタークスさんが支払ってくれた。今は手持ちがないけど、いずれ絶対返すぞ。3人は気にしなくていいって言われたけど、こういうのはしっかりしないと。助けてもらってばかりはダメだからね。
「そういや、猫の入国税ってあるのか?」
「猫にまで税金をかけるほど、この国は貧しくねぇよ」
「だっはっは! 違いない」
タークスさんが豪快に笑い飛ばす。貧しい国だと猫にも税金をかける場合があるんですか!? 早くミケを養える程度の生活力を身につけなければ。
ちなみに、3人はギルドカードを守衛さんに見せて素通りしてた。ギルドカードを持っていれば入国税が免除されるらしい。冒険者になれば全員もらえるカードだそうだ。まずは冒険者になるのが目標だなぁ。審査とかってあるんだろうか。
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